進軍④
第127話 「進軍④」 始まります m(_ _)m
宴も終わり、三ノ丸の広間と縁を挟んで広場に現在この城にいる全兵力が集っていた。
「さて、将校も揃った事だし、後の事を話して置こう」
一段高めの段上に座りし藤治郎は、横目に流した。そこには、木下家筆頭家老のカール・ティラー公爵がいた。
彼は頷くと、ゆっくりと見渡し、
「まずは、マザー領領都をボースキー子爵を先頭に繖城を落とす。後詰めは本隊がする。そしてマザー領を返して戴く。そして、悪山次郎政秋と右田五郎隆房を先頭に、後詰めに紫屋博太郎とムシュ隊とウォール・ヘンリーで、伊濃領を我が配下に収めよ。明日出立する。各々方準備怠ることなく」
締めくくると、
「解散」
マイティ・カサエル大公爵の大音声が響いた。
そして一刻後には、藤治郎一家と学友たちは二ノ丸の広間でまったりしていた。
が、
エミリー・スペンサー先生が、近くの兵に手伝わせて黒板を運んできた。
「サンタワー秀高学園の人、集合して下さい。時間があるので特別授業を行います。本日は講師としてタツヤ・宮本さんをお迎えました。お入りください」
スペンサー先生の言葉で少年が出て来た」
「今、紹介されましたタツヤ・宮本です」
「建兄なの」
ミツエ・カサエルがタツヤを見て驚き声掛けた。
「久しいな、あの時の宿題はできたか」
「それは・・・何時の話しですかぁ」
膝を付き落ち込む姿を笑っていた藤治郎にタツヤは指を指し
「藤治郎、お前もだ。何やってる我が教え忘れたとは言わんやろな」
話しながら近づき座っていた藤治郎の襟首をつかみ持ち上げる。その行動にカールが建武に近づいた。
「止めろ加賀」
咄嗟に出た言葉に、建武が反応しカールを見る。
「かが・・そうか加賀かぁ、カールだったな。城を見た。貴様が居ながら何やらしとんじゃ。まぁええカールも、其れから其処に隠れている弥生と」
「ひぃーー」
弥生はさらに震えだし父にしがみ付く。
「孝太郎もだ」
「ばれてるーー」
落ち込む孝太郎を見て、
「まぁええ、しっかり覚えておけ。まず石積みの話しな。
石積みには、数多くの積み方がある。
野積み、切込み接ぎ、打込み接ぎ、布積み、乱積み、巻石垣、算木積み、玉石積み、とかがそうや」
石積みの話しから堀、塀の種類をそして櫓や城の造りなど、話していく建武であった。
「おのれぇあの鬼め絶対に許さんぞー」
城内に藤治郎の叫びが響く。立って指揮を上げるならカッコいいのだが、四つん這いの姿勢が崩れて、右頬が畳にくっついている状態で叫んでも意味のない話である。しかし藤治郎だけでなく。講義を受けていた五人以外が足が痺れて動けないでいる。霞と弥生、由紀、ミツエそして意外にもカルロス・カサエルの五人が普通に立ち上がり移動出来たのである。
「御前らさっさと立たんか、弛んでる証拠である。明日から鍛え直すからそのつもりでいろ」
「わしはいいよな」
カルロスの後ろからか細い声がした。カルロスはニヤリとすると、
「当然兄上もですぞ」
その言葉を聞いて、立ち上がろうとする意志が遠のき、俯せになる者、仰向けになる者が増えた。
次回 「進軍⑤」 お楽しみに m(_ _)m