魔王軍を叩け ③
第117話 「魔王軍を叩け ③」始まります。
泰護に布陣した本陣にいる藤治郎は前方に広がる草原のさらに前方ある竹林を見ていた。その竹林の奥の山の麓だろうと思わしき場所から赤い炎の柱が立ったのが確認された。
そんな折りミツエから念話が入った。
『藤ちゃん、ミツエだけど前衛敵全軍炎で包んだわよ。今総攻撃掛ける時を見ている。期を見て降りた方が良いかしら』
『流石に我が頭脳だけある。これからも頼むよ光ネェ』
藤治郎の言葉に羞じらいながら応えた。
『褒美は前のでいいよ』
ほう、あれで良かったのか。あれで良いなら安いもんだ。
『解った』
藤治郎はミツエの願いを了承すると。ムシュの方を向き、
「ムシュ話がある」
「何で御座ろうか主」
「奴らを向かわせろ。敵は総て掃除しろ、義父上に迂回して降りてくるよう伝えろ」
「はっ、直ちに」
ムシュが陣幕から出て行くと、藤治郎は立ち上がり叫んだ。
「只今より北上を開始する。出陣」
藤治郎は敵本陣を叩く為、泰護を出立つした。敵は二十万を超える。
さてどのようにすっかな。まぁなるようになるか。
炎柱を前に功陣体勢を敷いているカサエル軍の前に、ロックが五羽降りてきて羽を折りたたむと、上からムシュが降り立った。
「マイティ・カサエル大公爵様、ムシュ空隊只今到着しました。藤治郎陛下の御言葉を伝えます。
全軍炎柱を迂回して山を降り敵本隊を向かい撃て。
との事です。我らは此処に残り掃除致します。」
「あい、解った。半刻後ここを出達しよう。ムシュよ火が収まるまで、ここをそなたの本陣とせよ。ここは、良く見えるでの、我らに要望はあるか?」
「ウィルソン隊をお貸し頂きたい」
「うむ、よかろう」
「はっ、有り難き幸せ」
「勘助伝令せよ。急げ」
勘助が出かけたのを確認すると、
「しかしムシュよ。そなた真獣か?人語が上手いではないか」
「我は神獣で御座る。藤治郎閣下の義弟として働いておりました。言葉はその居りに習得しました」
「藤治郎の義弟か、ならばそなたは我が義息でもある訳じゃな。これからもよろしくなムシュよ」
「はっ有り難き仰せ、義父上よろしくお願い申す」
マイティ・カサエルの前に白い前足を出して平伏するムシュの姿があった。
次回「魔王軍を叩け④」お楽しみに m(_ _)m