父上、一体何を
第十話「父上、一体何を」始まります。
「ふぅー、危ない危ない霞に何言われるか解ったもんでないわ」
初めは軽い悪戯の積もりだからこそ見ないで居たのだが、
徐々にエスカレートしていく由紀に、吉政自身が耐えられなくなって、
浴室を出て与えられた部屋に行く。
吉政が部屋に入ったら、そこには満面の笑顔の霞が居た。
「父上、おはよう御座います」
「お、 おはよう」
霞が居て驚いた吉政だが少し落ち着きを戻すと、
霞とテーブルを挟んで向かい側に座った。
「父上、一体何をされていたのですか?」
霞は何言っているのだろうか?
余が毎朝やっている事は知っているはずなのだが、
だから風呂場の事は、黙っておく事にした。
「えっ、何って朝稽古して風呂へ」
「そう、由紀さんとねぇ~楽しかった?そらぁ~楽しかったでしょうねぇ~」
「あぁ二人で稽古するのは楽しかったぞ」
「だよねぇー稽古の後は特別に」
えっ知ってる訳無いよな。あの時は二人だけだったし、
「・・・」
余が少し黙っていると、
「そうよねぇ~って、何故私を呼ばないのですか?で,何をされていたのですか?正直に言って見たのでしょ」
えっ呼ばないのですかって、
霞はスポーツ万能でも武芸駄目じゃん。
見たって何をだ。
「まぁ、良いわ。見てたから、私にすればいいのに、
で、どうでしたか」
「ちょっと待ったぁ。見てたからって、私にすればって何をだ」
余が霞に吠えた途端正面からハリセンが飛んできた。
「・・・痛いわぁ」
また吠えると、
「静かにしていただけない事、結果はどうでしたか?」
えっ、使った事もばれていたのか、
「使えるみたいだ」
「そう、で使うときは慎重にしてね」
わぁー、やっぱばれているよ。
笑顔の霞を見て、冷や汗が流れ出しているのではないかと感じる吉政であった。
「入っていいでしょうか?」
「ちょうどいいわ、入って貰って」
霞が返事をしたが、余も言った方が良いだろう。
「いいぞ」
扉を開けた由紀さんをみれば、照れ顔満載であった。
「由紀いらっしゃい。どうしたの真っ赤になって」
「何でもないです」
由紀は俯きながら答えた。
「まぁ、いいわ、入ってらっしゃい」
由紀は、吉政を見つけると無意識に吉政の隣に座った。
其れを見た霞が微笑み、話し出した。
「そう、由紀さんも聴いてね」
「はい」
由紀は顔を上げ元気に返事した。
「父上の籍を作ってきました」
「えっ、今何て言った」
霞の言葉に吉政は聴き間違いかと思い聴きなおした。
すると霞は簡単な言葉に言い換えて話した。
「父上は私達の子になりました」
次回「ここでは無意味」お楽しみに。