私の家族
香月家は、主夫でフェロモン垂れ流しの父、そんな父の暑苦しい愛を受け流す母。そして父の美貌を受け継ぐしっかり者の姉二人と美少女顔な双子の片割れの弟。そしてこちらの世界にも母が違う兄が三人。そして平凡顔の自分。
そのせいで周りからは、落ちこぼれ扱いされる日々。よくグレなかったと誉めてやりたい。まぁ、小さい頃は色々後ろ向きな行動や言動をしてたけどある時バカバカしくなったんだ。だって、容姿や能力なんて遺伝子レベルの問題だもん、本人にどうこう出来る問題じゃないし。それに家族からは、うっとおしいくらいの愛情を受けて育ったからね。むしろそんな事で人生楽しまないなんて損だし。だからわりと好き勝手に生きていると思うよ。自由、最高って感じ。
「上の兄三人は、年が離れているからねぇ。それに私と違って純粋なウィスタリア人だから、正確な年齢しらないし。そう言えばカイン達ってもうすぐ28歳なんだよね………でも」
「俺達は、純粋なウィスタリア人ではないんだ。そのせいか成長は普通の人間と変わらない。まぁ、だいぶ緩やかになってきている感じはあるがな」
「そうそう。今まではちゃんと年齢通りに成長してたんだけどね。それに純粋なウィスタリア人って少ないんだよ。王家や貴族達は多いけど」
「ふぅん。まぁ、そういうもんだよね。あーあ、私もこっちにこなきゃ実年齢通りの外見なのに」
「そう言えば、リリィはいくつなんだ?」
「来月で17歳。まぁ、元々童顔で小柄。あっ、胸だけは育ってるかな。そのせいで変態共に狙われている感は否めないけど」
「いやそれは当たっていると思うぞ。他の姉弟も縮むのか?」
「ううん、私だけ。多分、こっちの血が濃いんじゃない? そのせいでこっちで暮せってうるさいし。そんな事したら私の自由気ままな生活がなくなるっての。それに基本的にやっかい事やめんどくさい事に巻き込まれるの大嫌いだし、こっちで暮らすってことはそういう事に問答無用で巻き込まれるの決定だもん。絶対に嫌」
「そうだなぁ、私もやっかい事は嫌いだからリリィの気持ちは理解できる」
「王族に生まれるだけで大変だもんね。色々な責任もあるだろうし」
「あぁ、かなり面倒だ。どこか田舎に引っ込んでゆっくり暮らすのが夢なんだがそうもいかなくてな。だから、リリィが自由な生活を守れることを切に願う」
「ありがとう、トリア。とりあえず、シアン家から何か言われたら私が闇打ちしとくから」
「それは心強いな。…………それにしてもセシルは遅いな。オリバー」
「はい、確認してきます」
トリアの命令にオリバーは足早に部屋から出て行く。カインも懐から携帯端末らしきものを取りだして何か確認し始めた。その様子を眺めつつトリアと家族について話ていると、オリバーが何やら慌てた様子で部屋に駆け戻ってくる。
「ヴィクトリア様。シアン侯爵と御兄弟方がいらっしゃいました」
「そんな話は聞いていないが…………」
「ヴィクトリア様。シアン侯爵家の軍艦が入港したそうです」
「……もしかして」
三人の視線がいっせいに私に向けられる。
「…………逃げ損ねた」