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秘密~異世界ハーフの受難~  作者:
1章:始まりの落下
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ピンチです。

 「これでよしと。ところでリリィ様は、何をお探しで?」

 「その赤いリボンがついたポーチ」

 「これですね。どうぞ」

 「ありがとう」


 セシルからポーチを受け取って中を確かめようとしていると何やら上からじっとこちらを見つめるトリアに気づく。その表情を現すとしたら、呆然という言葉がぴったりだ。


 「どうかしたの?」

 「どうかしたのって、その荷物の量は有り得ないだろう。どう見たって鞄と入っているものの量が合わない」

 「そうですね。私もどうやってしまうのか興味深いですわ」

 「えっ、そこに驚く? いやいや、体が縮んだって事のほうが大事でしょうが」

 「リリィが可愛くなるなら問題なしだ。だけど鞄は別だ」

 「そうですわ」


 そう力説する二人に力が抜ける。

 まぁ、二人がいいならそれでいいのか。いや、よくないけど。


 「じゃあ少ししまって見せるよ。まず、これとこれをいれて鞄を閉める。それで『収納』、はい開けます」


 蓋を開けるとあら不思議さっき入れた荷物が消えました。さぁ、拍手プリーズ。


 「荷物が消えた?」

 「まぁ~、何て便利な鞄。でも、どうやって取り出すのですか?」

 「ん? 『水玉タオル出して』」


 するといきなり鞄の中にさっき収納した水玉タオルが飛び出て来た。この鞄の中はちょっとした異空間になっていて無尽蔵に物が収納可能で、お目当ての物を取り出したい時はこうやって声をかけるとすぐに出てくるのだ。


 「…………ありえん」

 「不思議ですわね」

 「触ってもいいか?」

 「うん、トリア達なら大丈夫。この子は、基本的に女子が好きだから」

 「「女子好きの鞄!?」」

 「さぁ、どうぞ」


 二人の方へ鞄を押しやると恐る恐るといった感じで、手に取り始める。そのすきにリリアナはさっきもらったポーチの中を探る。するとすぐにお目当ての物は発見出来た。これで身分証明は出来るはず。いくらこちらの一族の血筋が絶えたとは言え、この世界で一番長い歴史を持つ国家の直系のお姫様なら知っているだろうし。

 まぁ、最終手段は兄達の誰かに連絡だな。でも一番手っとり早いけど、一番取りたくない方法だから絶対に避けたい。出来る事なら見つかるまえに自分の世界に帰りたい。もしあの事が次兄の耳にでも入りでもしたら恐ろしいことになる。


 「トリア~、ちょっといい?」

 「何だ?」

 「うーん、一応身分証明? はい」

 「…………名刺? 円卓同盟・異世界拾得物管理士 雅・L・香月。円卓同盟!! あの?」

 「トリア様? 円卓同盟とは?」

 「皇家に伝わる伝説の組織。様々な秘術や技術を持ち世界を渡る者達の集団だ。我が国にもそれに属する一族がいたらしい。だが千年も前に絶えたと…………」

 「ということで私を解放してくれる?」

 「君が同盟に連なる者なら我々にはそれを阻む術はない」

 「いや、一応保護してもらったんだから。そこらへんはきちんと筋を通したいの」


 その時だった首筋に冷たい感触がしたのは。首に当てられていたのは、小型のナイフ。さすが、本職の物だけあって切れ味が鋭そうだ。


 「セシル! 止めないか!!」

 「申し訳ありませんがそれは出来ません。そのような胡散臭い集団の人間を近づけるわけにはまいりません。そもそもその髪と瞳の色を持っていながらこの国に関係ないなど言わせません。どうせ、奴らの回し者なのだろう? お嬢ちゃん?」


 ナイフを突きつけてきたのはセシルだった。それまでの優しげな女性から一転、視線だけで人を射殺せそうなまさしく戦う女に変化する。これは、動いたらやばそうだな。どうするべきか。

 トリアを見るととても心配そうな顔をこちらに向けている。うん、トリアに軍人は向かないかも。この場合、セシルの行動こそが正しい。しかし、刺客に間違われるとはけっこうこの国も危ないのかもしれない。

 そんな三人の間の緊張が最高超に達した瞬間だった。突然、大きな声が響き渡る。


 「隊長! 子供相手に何をやっているんですか!!」

 「姉上、いくら何でも子供を殺すのはまずいよ」


 そう言ってセシルの手から電光石火でナイフを取り上げ彼女を羽交い絞めにしたのは、意外なことにカインとオリバーだった。

 




お気にり登録、ありがとうございます。

調子にのって更新しました。

ある程度話を進めたら文章のおかしいところを修正&加筆していきたいと思います。


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