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秘密~異世界ハーフの受難~  作者:
2章:白の貴婦人と不機嫌少女
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邂逅

 式典の数日前、広報課での取材を終えたリリアナは、アリエル達と市街地へと足を向けていた。次兄が用意してくれたオフィスの確認がメインだったが、すんなりと視察が終わってしまい時間が余ってしまった。すると折角だから市街地を回ってみませんかとアリエルが提案してくれたのだ。


 「うわぁ、大きくて立派な教会ね。見た目は私達の世界の教会と一緒ね。ただ、珍しくこの国って一神教じゃないのよね」


 「そうですね、各惑星事で信じる神は違いますから。各星の神をまとめているのが首星の神とされています。同じ種族ですが、星々で考え方や人間性が大分違うので。我々の神は軍神様ですから、その影響で軍事特化の惑星になっていますね」


 アリエルの説明に確かに平和主義が多い種族のはずなのに、うちの星の人間は血の気が多い人間が多い気がするなと、リリアナは思った。ただ、この星で育った父親を思い出すと納得出来る。普段はのんびりとした穏やかな人だが、戦闘スイッチが入るとニコニコと笑いながら敵を倒していく姿を幼少期から見ているだけに自分もその血が流れていると思うとちょっと反省しないといけないと思う。


 「さぁ、中に入りましょうか。大聖堂は一般公開されていますから」


 「急に行っても大丈夫なものなの?」


 「一般公開されている関係で警備員はいますし、我々もいますから。それに今日の姫様は、外出用のお姿ですからね」


 アリエルに言われて今日の自分の姿を思い出す。といっても髪を黒く染めて目にカラコンを入れているくらいだけど、確かに車椅子で街を移動していても特に周りから反応されることはなかった。


 「じゃあ、行きましょう! 楽しみ!」


 教会の入口に近づくと警備員が車椅子が通りやすいように案内をしてくれた。古い教会なので通りにくいかもと思っていたが、さすが最新式の車椅子多少の段差は問題ないらしい。大きな正面から入り、廊下を進む。天井が高く入口のホールには、軍神をモチーフとした壁画が描かれている。その迫力がありながら繊細な筆で書かれた壁画は、とても素晴らしい。


 「おぁ、ド迫力。それでいて繊細で細かいタッチで描かれていて素晴らしい。国宝級ね」


 「そうですなぁ、一応この星の世界遺産の一つですから。姫様は、美術品にお詳しいんですなぁ」


 「え! 誰!」


 いつの間にか自分の隣に立っていた老人に思わず、リリアナは声を上げた。アリエルや護衛官達は全く動じておらず、その老人を見て大きな溜息をついた。


 「相変わらずご自由な方ですね。姫様、この方は今の教皇を務めていらっしゃるアルフレド様です」


 「教皇様? そんな方がこんな自由に歩きまわっていいものなの?」


 「ほっ、ほっ、ほっ。そういう姫様こそ、ご自由に歩きまわっていらっしゃるではありませんか」


 「私は一応、護衛官達が付いておりますから。今日は、お忍びですので御挨拶は省略させていただきますわ」


 「なら私もただの暇を持て余した老人として扱っていただけますかな」


 「もちろんですわ」


 これが、この国を代表する宗教家との初めての邂逅だった。


 

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