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秘密~異世界ハーフの受難~  作者:
2章:白の貴婦人と不機嫌少女
22/26

式典<1>

 行政府前広場では、多くの市民が皇家の旗とシアン侯爵家の旗を手に持ち主役の登場を待ちわびていた。そして、市民の熱気を伝えようと多くのマスコミも詰めかけている。そんな光景を車内のテレビで確認したリリアナは、特大の溜息をつく。


 「何これ。あー、帰りたい」

 「おいおい、始まる前から何言ってるんだ。こんなの慣れだ慣れ」

 「わたしは、そもそも彼らと一緒で一般人。人前に立つなんてことないの」


  そう言ってブツブツと愚痴をこぼす妹を見てサイラスは、苦笑する。確かに妹の立場からすれば非日常の場だ。だが、この程度の事には、慣れてもらうしかない。


 「では、確認だ。車が着いたら?」

 「サイラス兄の手を取って車から降りる。降りたら、フィリップが用意した車椅子に乗る。行政府の入口に行くまで、手を振りながら移動。行政府前に作られた舞台で、兄様方の到着を待つ」

 「まぁ、基本的に終始笑顔でいればいい。もし、不測の事態が起きたらフィリップ達の指示に従って動けばいい」 


 一方、式典会場では時間に追われた式典担当官達が最後の準備に追われていた。今回の式典は、自分達の主が花嫁である皇女殿下を迎える特別なもの。首星はもちろん他の侯爵領でも中継される、そんな中で失態は絶対に許されない。


 「おい、姫様の控室は準備出来たか?」

 「もちろんです。医師や看護師も数名待機させています」

 「分かった。そろそろ閣下方が到着される。お迎えに出るように皆に伝えてくれ」

 「はい」


  侯爵の名で出された突然の発表。その内容は侯爵領に住む人々に衝撃を与えると共に大きな喜びをも与えてくれた。先の戦争で死亡したとされていた前侯爵が存命であり、その上新たなお子様方が誕生している。先の戦争の原因が自分達にあるのでこれまで発表を控えていたが、末のお嬢様の体質がこちら寄りの上、病弱なので公表することを決断したと。勝手を言って申し訳ないとのお言葉に領民は、涙した。


 そんな大切な姫のお披露目と閣下と皇女殿下の婚姻発表の式典を同時に行うのだから街は、お祭り騒ぎだ。会場前は、徹夜をして場所取りをする市民で溢れている。その年齢は様々で老若男女問わず、この式典のスタートを待っている。


 「ん? あそこは撮影許可区域じゃないはずだが」


 マスコミ用の撮影区域から少し離れた場所にカメラを構えた数人の集団が目に入る。腕には今回撮影が許可された印の腕輪型の認証装置が装着されている。あまりの人の多さに場所を勝手に移動したのかもしれない。


 「撮影許可は取っているのか。しかし、場所を移動させないとまずいな」


 耳に着けた通信装置で警備と連絡を取ると同時に式典会場の入口から一際大きな歓声が上がった。どうやら本日の主役達が到着したらしい。


 「マスコミが一部、許可エリアから飛び出た場所で撮影しているので移動させてくれ」

 「本当か。まずいな、姫様達の入場が既に始まっている。一旦、姫様達が入場するのを待ってから移動させよう。殿下が到着される前に移動させる」

 「了解」


 流石にこれだけの規模の式典にトラブルは付きものとはいえ、警備関連の事柄で穴を出すわけにはいかない。自分も移動して、改めて撮影許可区域に彼等のスペースを作らなければいけないだろう。


 「さぁ、急いで移動だ」






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