白の貴婦人
お待たせしました。
短いですが2章の始まりです。
「ついに見つけた…………。これさえあれば…………」
薄暗く所々に埃を被った狭い倉庫と思われる一室に男の感極まった声が響く。
その手の物を集めるのが趣味の友人に聞いた珍品。話を聞いた時は、そんな物が存在するはずがないと一笑に付したが他の友人達が噂するのを見てそれが実在するのだと確信を得た。そしてついに見つけ出した。あの噂が真実ならばきっと自分の望みを叶えてくれるはず。
「さぁ、私の願いを叶えてくれ」
木箱の蓋を開けそれに手を伸ばす。すると男の声に呼応するかのように白い光が辺りを照らし、その光の中心に美しい女の姿が浮かび上がった。
白金の髪に紫紺の瞳。そして中世を思わせるドレス姿の貴婦人。その美しさに男は息をのむ。そんな男を見て彼女は楽しそうに笑う。
「私を呼んだのはあなた?」
「あぁ、そうだ。私の願いを…………」
「ええ、いいわよ。でも、私の願いも叶えてもらうわ。それが契約の条件」
「分かった。その願いとは何だ!!」
「私の願いはただ一つ。…………を探して欲しいの」
「よし、いいだろう。私の力で貴女の願いを叶えよう」
「ふふっ、では契約成立よ。さぁ、私をその手に取りなさい。でも、気をつけて。契約は半年よ。契約を守れなければ…………」
「おぉ!すごい、すごいぞ!!」
しかし、女の言葉を最後まで男が聞くことはなかった。そして半年後、男は命を落とすことになる。その姿は顔に苦悶の表情を浮かべたミイラの姿だった。
――――――――――だから、言ったでしょう? あなたの命で贖うことになるって。