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「マラッカ海峡漂流記」 7

 「フランコ嫌な雲行きだろなぁ、イカダをしっかり結び付け。流されないようにイカダの上の物を

シートで多いロープで縛ろうか」

 「それもそうだが、俺達が流されたらお陀仏だぜ。とにかくイカデは舵取りも効かない。準備だけ

はやって置こうぜ」

 それから1時間が過ぎ海面が荒れだした。風邪も強くなりスコールのような雨が降り注ぐ。

 こんな状態でなかったらシャワー代わりになったのにとフランコが嘆く。

 次第に波が大きくなった。イカダは大きく浮き上がり、高波に流され急上昇急降下を繰り返した。

 二人は救命浮き輪を付け、更に体をロープで縛ってイカダに腹ばい状態で凌いでいた。

 だがイカダが軋む度にモレノのロープが緩み、イカダから落ちてしまった。


 「おーい! モレノ!!」

 ブランコは叫ぶと同時にロープを自分の胴に括りつけた。だが流されて行くモレノまでは届かない

テントで覆っていたロープに自分を繋いでいるロープに足して救命浮き輪をモレノに向かって

投げた。たが荒れる波でまったく届かなかった。

 フランコは最後の手段に出た。荒れ狂う海に飛び込んだ。死ぬかもしれない、そんな事考える

余裕もなかった。ただ助けなくては。

 まだ幸いな事に昼下がりで、アップアップしているモレノが時おり波の合間から見える。

 それを頼りにフランコは必死に泳ぐ、しかも強靭的な力で荒れ狂う波なのに確実にモレノに近づ

いて行った。そしてついにモレノに辿り着く。

 モレノは半分意識が遠のいていた。同じ海の男でも船の上で仕事するモレノと、海を自在に泳ぎ

潜り、時には海の上で殺し合いもして来た海賊のフランコは、正に海の竜そのものだ。

 親が付けたと云うレヴィアタンは、守り神となって姿を現したようだ。


  そのレヴィアタン・フランコは自分の側にモレノのロープを繋ぎ、イタガと繋がっているロープを

手繰りながら徐々にイカダに近づいて行く。

フランコの強靭な体力が、完全レヴィアタン伝説の竜が乗り移ったようだった。

 人は時に想像が付かない程の力を発揮するという。それが幸いして窮地を脱した。

 15分後、二人はイカダの上に居た。皮肉な事に嵐は急激に過ぎ去って行った。

 「俺は……生きているのか?」

 モレノは殆ど意識が飛んでいたが、なんとか目覚めたようだ。

 「おう、どうだ。地獄から這い上がった気分は」

 フランコが冗談まじりで声を掛けた。


  「フランコ……君が助けてくれたのか? ありがとう」

  ありがとうの言葉、これで二度目だ。くすぐったい様な妙な気分だが心が温まる言葉だった。

  「感謝される事じゃないよ。お前が居ないと俺も生きられないからな」

  「フランコ、俺達は神に守られているのか? あの竜巻で船がバラバラになっても今回の嵐でも

そして二週間経つのにまだこうして生きていられる」

  「ハッハハそれを云うなら悪運だろう。いやお前は神のご加護だろうがな」

  「確かにな」


   モレノはそう言いながら胸の前で十字を切った。それを見たフランコは。

  「モレノ。お前クリスチャンか。てっきりイスラム教だと思っていたよ」

  「祖父がアメリカ人だからな。フランコは?」

  「特にない。それと食べ物を制限される宗教は好まん。俺にはレヴィアタンという神が居る」

  「ハッハハ間違いない。フランコは神だ。俺はその神に助けられた」

  二人は大声を出して笑った。こんな笑いは二人にとって、いつ以来のことだろう。

  生きていた事に喜びを感じた二人だったが、それも束の間、イカダにあった物は全て流されて

いた。水も食料も日除けのテントも何もかも消えてしまった。


 モレノは溜め息をついた。もう真水を作る道具も魚を獲る釣り糸もない。照り付ける灼熱の太陽が

二人の体力と水分を奪い。生きる術が費やしてしまった。

 「いやまだ諦めるのは早い。この嵐でイガタの物は流れたが漂流物が何処に浮かんでいるかも

知れない。諦めずに探そう」

 モレノはフランコを励ますように言ったものの、果たしてそんな漂流物があるのか不安であった。

 するとフランコはニヤッと笑った。フランコの腰にはまだロープが巻きつけられていた。

 「俺の名はレヴィアタンだ。海の悪魔にもなるし海の神にもなれる。ホラ見ろ」

 フランコはロープを少しずつ引いた。すると海の中から小さく折りたたんだ袋が現れた。

 袋の中にはガラスボールを浮き代わりに入っており、袋の中にはペットボトルが二本入っていた。


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