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「マラッカ海峡漂流記」 1

主人公を外国人にしたのは初めてですが、外国を舞台にしたのは二度目となります。

殆どと言ってた良いほど、二人だけの物語です。

海賊と海洋調査船の研究者の組み合わせですが、二人の生きて来た道のりが余りにも

違い過ぎるのが、一つの面白さとも思っております。

10回前後の連載を予定しておりますが、場合に拠ってはもう少し続くかも知れません。

皆様の感想をお待ちしております。

大海原は静かな白波を立ている。太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。

 マレー半島とスマトラ半島を隔てる海峡をマラッカ海峡と呼ぶ。

 マラッカ海峡は幅は約70km~250kmの海峡である。

 南シナ海とアンダマン海を結ぶ主要航路で、年間の通過船舶数は5万隻を超える。

 そのマラッカ海峡を真夜中にさ迷う一艘のイカダが潮に流されていた。

 二人とも海には詳しいが、それだけに焦りを感じていた。

 すぐに何処か近い島か陸に辿り着くと思っていた。どう云う訳か潮の流れが速くマラッカ海峡を

抜けてアンダマン海の大海原に入ろうとしていた。不味い事に漂流した時刻はマラッカ海峡付近

で真夜中だった。いくら船の往来が多いマラッカ海峡でも、どの船も気づいてくれなかった。


 もっともこんな小さなイカダではどの船も気づくはずもない

 その大海原に粗末な材木などで組み合わせたイカダに、二人が乗って漂流している。

幸い海は穏やかだが、二人の間では一触即発状態にあった。

 一人は屈強そうな30歳前後と思われる男。もう一人はその男と比較すると見劣りするが知的な

感じで学者風にも見える。年齢も屈強そうな男とそう変わらないように見える。


 屈強そうな男は恐らく身長190センチ、体重90キロくらいだろう。顔も見るからに怖い感じだ。

 しかも筋肉隆々で竜の刺青が数ヶ所に彫られている。

 学者風の男は180センチ、75キロくらいだろうか。まぁ大きい方だが、やはり見劣りする。

 だが学者風な男は怯んだ様子はみられない。何か秘めたものを持っているようだ。

 その二人がイカダの上で対角線上に座っている。イカダの大きさは8畳ほどの大きさがあり

長方形になっている。遭難した船からロープや材木を拾い上げロープで繋ぎ合わせたものだ。


 この二人は知り合いでもなんでもない。それどころか敵対関係である。

 マラッカ海峡は言わずと知れた海賊で有名な海峡であり、今も昔も海賊は存在している。

 その屈強そうな男の方が海賊船に乗っていた。言わずと知れたマラッカ海賊である。

 だが神は悪戯したのだろうか、試練を与えたのか二人は何故か同じイカダに乗っている。

 今は敵も味方もない。生きる為に仕方がなく一緒にイカダに乗っているだけだ。

 二人は沈没した船から、漂流している物を片っ端から拾い上げてイカダに積み揚げた。

 いつまで漂流が続くか分からないが、その為には出来る限りの物をイカダに揚げる事だった。

 何も二人は協力している訳ではない。隙あらば殺して自分だけ助かろうと思っている。

 いやそう思っているのは屈強そうな海賊の男だけかも知れない。


 つづく

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