かすみ草
掲載日:2026/02/20
「明日は雲が多いでしょう」
だからか よく晴れた今日の夕暮れ色は
セピアホワイト こんな淡いに誘われるように
ポケットの柔らかな文香を嗅ぎながら
ゆっくりと歩く
香る 煙となって空へ空へと
凍っていた かすみ草が雨にとけてゆく空色
雨粒に映る かすみ草は スフレのような口溶けで
沫雪のように空全体を包んだ
心に爽やかな甘さだけくれた
少しの火で
香りのフィルムを焼いてゆく
浮かびあがるよ ひとつ ひとつ
あのひとが あのひとも
笑った 沢山笑った
香る 煙となって 空へ 空へと
確かさを求めることは 何になろうかと
祈るあのひとのいる天空のパイプオルガンの吐く息
の上で 踊る 踊る
煙は蝶々となってゆく白い夢をみている
「明日は雲が多いでしょう」
凍ったかすみ草が
あたたかな雨に包まれますように
薄雲に包まれた 様々な祈りの草木の香りは
ゆっくりと儚げに光る雨の糸に結ばれてゆく




