王都を追放された俺、魔族の少女と超文明都市を築いたら、国の偉いさんが土下座しに来た!!
設定はゆるふわです☆
「セリオス・ヴァルディア。貴様は本日をもって王都建築局を解雇とする」
その言葉が玉座の間に響いた瞬間、俺は思った。
あ、これ、夢だなって。
いや、だってさ、昨日も徹夜で魔導循環網の設計してたんですよ?
王都の魔力供給、俺がいなきゃ止まるんですよ?
それを「危険思想」って。
俺の設計図、危険物じゃないんですよ。
未来を作ってるんですよ。
「お前の設計は、民を混乱させる」
「空を飛ぶ都市など、幻想にすぎん」
「伝統こそが王都の誇りだ」
……うん、わかった。
つまり、俺が悪いんじゃなくて、君らが古いんだ。
俺の設計は、魔力の流れを都市全体に均等に分配する新しい循環網。
空中浮遊式の居住区、自己修復型の建造物、魔力で動く交通網。
それを「奇抜すぎる」と言われたとき、俺は思った。ああ、王都はもう終わってるなって。
「じゃあ、俺、この国、出て行きます。俺の未来は、ここにはない」
そう言って、俺は玉座の間を後にした。
誰も止めなかった。
むしろ、皆、ほっとした顔すらしていた。
俺がいなくなれば、彼らは安心して古い設計図にしがみつけるのだろう。
背中に背負ったのは、設計図と、夢と、ちょっとした未練。
あと、王都の食堂のカレー。
あれだけは惜しかった。
あのスパイスの配合、魔導調理器でしか出せないんだよな……。
門を出るとき、振り返った王都は、どこか色褪せて見えた。
石畳は美しい。
建物も荘厳だ。
けれど、そこに俺の求める「未来」はなかった。
俺は歩き出した。
誰も知らない辺境へ。
誰も見たことのない都市を、築くために。
* **
辺境って、もっとこう、荒れ果ててると思ってたんですよ。
砂嵐が吹き荒れてて、地面は割れてて、空には常に雷雲が渦巻いてる——みたいな。
でも実際は、空気はうまいし、星はきれいだし、魔族は強いし親切(←ここ重要)、で、意外と住める。
まあ、王都の地図には『未開の地』って書いてあったけど、未開なのは王都の認識だった。
魔族の領域は、確かに人間の文明とは違うけど、そこには別の秩序と美しさがあった。
木々は魔力で光り、川は浮遊し、空には飛ぶ魚が泳いでいた。
俺は、ああ、ここなら、俺の望む未来が築けるって思った。
で、彼女に出会ったんですよ。
「人間がここに来るなんて、命知らずね」
漆黒の髪に紅い瞳。
魔族の少女、ユリア・ノクティア。
見た目はクール系美少女。
中身は……まあ、だいたい想像通りの毒舌。
でも、言葉の端々に知性と誇りが滲んでいた。
「俺は都市を築きたい。君たちの力を借りたい」
言った瞬間、彼女、俺のこと笑ったんですよ。
ふん、って鼻で。
その笑いが、俺の心に火をつけた。
彼女に俺の設計図を見たせた瞬間、彼女の目の色が変わった。 紅い瞳が、まるで炎のように揺れた。
「……これ、本当にできるの?」
「できるさ。君たちの魔力があれば」
その瞬間、何かが始まった。
俺と彼女の間に、言葉を超えた共鳴が走った。
理論と魔力、設計と感性。
人間と魔族が手を取り合って、未来を築くという、誰も信じなかった物が。
こうして始まった共同作業。
魔族の魔力と、俺の設計が融合して、できあがったのが
——《アルカ・ノヴァ》
空を飛ぶ都市。自己修復する壁。
魔力で動く交通網。 王都の誰もが「無理だ」と言った未来が、今ここにある。
都市は浮かび、光り、歌う。 魔族の子どもたちが空中庭園で遊び、人間の技術者が魔力炉を調整する。
ユリアはその中心で、静かに微笑んでいた。
「ねえ、セリオス。これが、あなたの見た未来?」
「いや、まだ途中だ。俺たちの都市は、もっと先へ行ける」
そう言って、俺は新しい設計図を広げた。
未来は、ここから始まる。
そしてそれは、誰かに否定されるものじゃない。
俺たちが、築くものだ。
* **
数年後ー王都がユリア達とは違う魔族の軍勢に襲われた。
防壁は突破され、魔導兵団は壊滅。
貴族たちは屋敷に籠もり、王族は玉座の裏に隠れ、民は逃げ惑う。
そして、ついに彼らは思い出したのだ。
かつて「役立たず」と追放した男の名を。
「た、助けてくれ、セリオス……!」
《アルカ・ノヴァ》の門前に、王族と貴族たちが並ぶ。
豪奢な衣を泥にまみれさせ、額を地面に擦りつけて。
「我らが愚かでした……どうか、どうか……お力を……!」
俺は、彼らを見下ろしていた。
かつて、俺の設計図を破り捨てた手。
「空を飛ぶ都市など、子供の空想だ」
と笑った口。
そのすべてが、今は震えていた。
「俺を役立たずと笑ったくせに、今さら何を??」
言ってやった。
言ってやりましたとも。
胸の奥に積もっていたものが、音を立てて崩れた気がした。
「お前たちが捨てたのは、俺だけじゃない。王国の未来だ」
だが、民に罪はない。
俺は《アルカ・ノヴァ》の防衛機構を起動した。
《ヴァルハラ・リング》が空を舞い、
《アーク・キャノン》が雷鳴のごとく轟き、
《エーテル・シールド》が王都を包む。
王都の兵士たちは、呆然と空を見上げた。
「な、なんだあれは……」
「空に……都市が……?」
それは、かつて彼らが「幻想」と切り捨てたもの。
今、現実となって、彼らを守っている。
ユリアが前に出る。
漆黒のマントを翻し、紅い瞳で王都を攻撃している魔族の軍勢を見据える。
「この都市は、私達、魔族と人間が共に築いたもの。破壊させない!!」
その声は、戦場に響き渡った。
魔族の軍勢は動揺し、やがて理解をしたのか撤退を始めた。
王都は救われた。
だが、俺の戦いは、まだ終わっていなかった。
王族は再び頭を下げる。
「セリオス、いや、セリオス様、どうか王都に戻ってきてはいただけぬか……?」
俺は、静かに言った。
「俺はもう、王都に戻らない。 ここ《アルカ・ノヴァ》こそが、俺の国だ」
その言葉に、王族の顔が引きつる。
* **
それでもあいつらは、しつこかった。
「セリオス・ヴァルディア。王都建築局長として戻ってきてほしい」
国王が再び俺に会いに来て言った。
玉座の間で、かつて俺を追放したその口で。
あのときは「危険思想」だの「伝統を乱す」だの言ってたくせに、本当に今さら何を。
俺は首を横に振った。
ゆっくりと、はっきりと。
「何度も言うが俺はもう王都に戻るつもりはない。ここ《アルカ・ノヴァ》こそが、俺の描いた未来の都市だ」
その瞬間、国王のますます顔が引りふくれた。
まるで、口にしたワインが毒だったかのように、今にも吐き出しそう。
「…だが、王都には民が……!君は、彼らを見捨てるのか??」
「民はもう既に動いてる。俺たちの都市に、可能性を見いだしたんだ」
実際、王都の民は次々と《アルカ・ノヴァ》へ移住した。
最初は若者たち。次に職人。
最後には、王都の魔導技術者たちまで。
王族が気づいたときには、王都の広場は空っぽだった。
市場は静まり返り、議会は無人。
玉座の間には、王族と情報に疎い数人の老貴族だけが取り残されていた
—— ざまぁみろ、過去にしがみついていた、やつらめ。お前らが未来を切り捨てたんだ!!
あれほど俺を否定したくせに、結局は必死に、今更、俺の計画した都市にすがるしかなかった。
だが、俺は過去には興味がない。
なぜならば、《アルカ・ノヴァ》は、過去を捨てた者だけが住める場所だ。
ユリアと俺は、新たな秩序の中心として都市を導いていく。
魔族と人間が共に暮らし、技術と魔力が融合する都市。
それは、王都が決して手に入れられなかったもの。
「ねえ、セリオス。次は何を作るの?」
「そうだな……空を泳ぐ庭園とか、どうだ?」
「……悪くないわね」
ユリアは微笑む。
その瞳には、かつて王国が見下した“魔族”の誇りが見えた。
* **
数十年後、《アルカ・ノヴァ》は世界の中心都市となった。
空を飛び、魔力で動き、思想で進化する都市。
セリオスは「建築王」 ユリアは「魔導の守護者」となった。
そして、王都は、歴史の片隅に追いやられた。 観光地として細々と残るだけ。
かつての玉座は、今や「反面教師の展示室」として一般公開されている。
その案内板にはこう書かれている。
「ここは、未来を拒んだ者たちの末路の部屋です」
そして今日も、空を飛ぶ都市の上で、セリオスは新たな設計図を描いている。
ー完ー
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