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王都を追放された俺、魔族の少女と超文明都市を築いたら、国の偉いさんが土下座しに来た!!

作者: なみゆき
掲載日:2025/11/08

設定はゆるふわです☆

 「セリオス・ヴァルディア。貴様は本日をもって王都建築局を解雇とする」


その言葉が玉座の間に響いた瞬間、俺は思った。


あ、これ、夢だなって。

いや、だってさ、昨日も徹夜で魔導循環網の設計してたんですよ?

王都の魔力供給、俺がいなきゃ止まるんですよ?


それを「危険思想」って。

俺の設計図、危険物じゃないんですよ。

未来を作ってるんですよ。



「お前の設計は、民を混乱させる」

「空を飛ぶ都市など、幻想にすぎん」

「伝統こそが王都の誇りだ」



……うん、わかった。

つまり、俺が悪いんじゃなくて、君らが古いんだ。



俺の設計は、魔力の流れを都市全体に均等に分配する新しい循環網。

空中浮遊式の居住区、自己修復型の建造物、魔力で動く交通網。

それを「奇抜すぎる」と言われたとき、俺は思った。ああ、王都はもう終わってるなって。



「じゃあ、俺、この国、出て行きます。俺の未来は、ここにはない」



そう言って、俺は玉座の間を後にした。

誰も止めなかった。

むしろ、皆、ほっとした顔すらしていた。

俺がいなくなれば、彼らは安心して古い設計図にしがみつけるのだろう。


背中に背負ったのは、設計図と、夢と、ちょっとした未練。

あと、王都の食堂のカレー。

あれだけは惜しかった。

あのスパイスの配合、魔導調理器でしか出せないんだよな……。




門を出るとき、振り返った王都は、どこか色褪せて見えた。

石畳は美しい。

建物も荘厳だ。


けれど、そこに俺の求める「未来」はなかった。




俺は歩き出した。

誰も知らない辺境へ。

誰も見たことのない都市を、築くために。




 * **


辺境って、もっとこう、荒れ果ててると思ってたんですよ。

砂嵐が吹き荒れてて、地面は割れてて、空には常に雷雲が渦巻いてる——みたいな。

でも実際は、空気はうまいし、星はきれいだし、魔族は強いし親切(←ここ重要)、で、意外と住める。



まあ、王都の地図には『未開の地』って書いてあったけど、未開なのは王都の認識だった。


魔族の領域は、確かに人間の文明とは違うけど、そこには別の秩序と美しさがあった。

木々は魔力で光り、川は浮遊し、空には飛ぶ魚が泳いでいた。

俺は、ああ、ここなら、俺の望む未来が築けるって思った。



で、彼女に出会ったんですよ。



「人間がここに来るなんて、命知らずね」



漆黒の髪に紅い瞳。

魔族の少女、ユリア・ノクティア。

見た目はクール系美少女。

中身は……まあ、だいたい想像通りの毒舌。

でも、言葉の端々に知性と誇りが滲んでいた。



「俺は都市を築きたい。君たちの力を借りたい」



言った瞬間、彼女、俺のこと笑ったんですよ。

ふん、って鼻で。


その笑いが、俺の心に火をつけた。


彼女に俺の設計図を見たせた瞬間、彼女の目の色が変わった。 紅い瞳が、まるで炎のように揺れた。



「……これ、本当にできるの?」


「できるさ。君たちの魔力があれば」



その瞬間、何かが始まった。

俺と彼女の間に、言葉を超えた共鳴が走った。

理論と魔力、設計と感性。

人間と魔族が手を取り合って、未来を築くという、誰も信じなかった物が。

こうして始まった共同作業。



魔族の魔力と、俺の設計が融合して、できあがったのが

——《アルカ・ノヴァ(新しい方舟)




空を飛ぶ都市。自己修復する壁。

魔力で動く交通網。 王都の誰もが「無理だ」と言った未来が、今ここにある。


都市は浮かび、光り、歌う。 魔族の子どもたちが空中庭園で遊び、人間の技術者が魔力炉を調整する。



ユリアはその中心で、静かに微笑んでいた。



「ねえ、セリオス。これが、あなたの見た未来?」


「いや、まだ途中だ。俺たちの都市は、もっと先へ行ける」



そう言って、俺は新しい設計図を広げた。

未来は、ここから始まる。

そしてそれは、誰かに否定されるものじゃない。


俺たちが、築くものだ。





 * **


数年後ー王都がユリア達とは違う魔族の軍勢に襲われた。

防壁は突破され、魔導兵団は壊滅。

貴族たちは屋敷に籠もり、王族は玉座の裏に隠れ、民は逃げ惑う。



そして、ついに彼らは思い出したのだ。

かつて「役立たず」と追放した男の名を。



「た、助けてくれ、セリオス……!」



アルカ・ノヴァ(新しい方舟)》の門前に、王族と貴族たちが並ぶ。

豪奢な衣を泥にまみれさせ、額を地面に擦りつけて。



「我らが愚かでした……どうか、どうか……お力を……!」



俺は、彼らを見下ろしていた。

かつて、俺の設計図を破り捨てた手。



「空を飛ぶ都市など、子供の空想だ」



と笑った口。

そのすべてが、今は震えていた。



「俺を役立たずと笑ったくせに、今さら何を??」



言ってやった。

言ってやりましたとも。

胸の奥に積もっていたものが、音を立てて崩れた気がした。



「お前たちが捨てたのは、俺だけじゃない。王国の未来だ」




だが、民に罪はない。


俺は《アルカ・ノヴァ(新しい方舟)》の防衛機構を起動した。



《ヴァルハラ・リング》が空を舞い、

《アーク・キャノン》が雷鳴のごとく轟き、

《エーテル・シールド》が王都を包む。




王都の兵士たちは、呆然と空を見上げた。



「な、なんだあれは……」

「空に……都市が……?」




それは、かつて彼らが「幻想」と切り捨てたもの。


今、現実となって、彼らを守っている。




ユリアが前に出る。

漆黒のマントを翻し、紅い瞳で王都を攻撃している魔族の軍勢を見据える。



「この都市は、私達、魔族と人間が共に築いたもの。破壊させない!!」




その声は、戦場に響き渡った。

魔族の軍勢は動揺し、やがて理解をしたのか撤退を始めた。


王都は救われた。

だが、俺の戦いは、まだ終わっていなかった。



王族は再び頭を下げる。


「セリオス、いや、セリオス様、どうか王都に戻ってきてはいただけぬか……?」




俺は、静かに言った。



「俺はもう、王都に戻らない。 ここ《アルカ・ノヴァ(新しい方舟)》こそが、俺の国だ」



その言葉に、王族の顔が引きつる。





 * **


それでもあいつらは、しつこかった。


「セリオス・ヴァルディア。王都建築局長として戻ってきてほしい」



国王が再び俺に会いに来て言った。

玉座の間で、かつて俺を追放したその口で。


あのときは「危険思想」だの「伝統を乱す」だの言ってたくせに、本当に今さら何を。


俺は首を横に振った。

ゆっくりと、はっきりと。



「何度も言うが俺はもう王都に戻るつもりはない。ここ《アルカ・ノヴァ(新しい方舟)》こそが、俺の描いた未来の都市だ」



その瞬間、国王のますます顔が引りふくれた。

まるで、口にしたワインが毒だったかのように、今にも吐き出しそう。



「…だが、王都には民が……!君は、彼らを見捨てるのか??」


「民はもう既に動いてる。俺たちの都市に、可能性を見いだしたんだ」



実際、王都の民は次々と《アルカ・ノヴァ(新しい箱舟)》へ移住した。




最初は若者たち。次に職人。

最後には、王都の魔導技術者たちまで。


王族が気づいたときには、王都の広場は空っぽだった。

市場は静まり返り、議会は無人。


玉座の間には、王族と情報に疎い数人の老貴族だけが取り残されていた

—— ざまぁみろ、過去にしがみついていた、やつらめ。お前らが未来を切り捨てたんだ!!



あれほど俺を否定したくせに、結局は必死に、今更、俺の計画した都市にすがるしかなかった。


だが、俺は過去には興味がない。



なぜならば、《アルカ・ノヴァ(新しい箱舟)》は、過去を捨てた者だけが住める場所だ。



ユリアと俺は、新たな秩序の中心として都市を導いていく。

魔族と人間が共に暮らし、技術と魔力が融合する都市。

それは、王都が決して手に入れられなかったもの。




「ねえ、セリオス。次は何を作るの?」


「そうだな……空を泳ぐ庭園とか、どうだ?」


「……悪くないわね」



ユリアは微笑む。


その瞳には、かつて王国が見下した“魔族”の誇りが見えた。




 * **


数十年後、《アルカ・ノヴァ(新しい箱舟)》は世界の中心都市となった。


空を飛び、魔力で動き、思想で進化する都市。


セリオスは「建築王」 ユリアは「魔導の守護者」となった。




そして、王都は、歴史の片隅に追いやられた。  観光地として細々と残るだけ。


かつての玉座は、今や「反面教師の展示室」として一般公開されている。




その案内板にはこう書かれている。


「ここは、未来を拒んだ者たちの末路の部屋です」



そして今日も、空を飛ぶ都市の上で、セリオスは新たな設計図を描いている。





ー完ー

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