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【45万PV感謝!】真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます  作者: 難波一
第六章 学園編 ──白銀の婚約者──

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第297話 何でも斬れる男

眞学の森の端は、昼間だというのに薄暗かった。


高く伸びた古木が陽光を遮り、地面にはまだらな光と影が落ちている。

遠くでは学生たちのざわめきがかすかに聞こえるが、ここまで来ると、風が葉を揺らす音の方がよほど大きい。


その木立の陰に背を預けるようにして、一人の男が立っていた。


ザキ・クローバー。


片耳に揺れる、小ぶりな銀のピアス。その中央に埋め込まれた黒い宝石が、淡く明滅している。




「──そう、やいやい言いなや。」




ザキは肩をすくめ、わざとらしく困った顔を作った。




「予選通過第3位やで? 上出来やろ? 俺、よう頑張った方ちゃう?」




軽い調子。冗談めいた笑み。

だが、その細い目の奥は、笑っていない。

ピアスの宝石から、低く歪んだ声が響く。




『逆だ!!』




怒号が、直接脳に叩き込まれる。




『やり過ぎだと言っている!! お前といい、ディオニス達と言い……あそこまで力を見せる必要は無かった筈だ!!』




ザキは「うわ、こわ」と小声で呟き、耳を指でほじる仕草をした。




「しゃーないやろ。何やっけ、あのー……性格悪いどっかの皇子サマ。ザイード、やったっけ?」




木の幹をトントンと踵で蹴りながら、軽く言う。




「彼、思うたよりも強敵やったんよ。ちょっと本気出さんと、逆に怪しまれるやろ?」



『確かに! ザイード・ジュナザーンとの会敵は想定外ではあったが!!』




声はさらに荒れる。




『お前ならもっと上手く立ち回れた筈だ! 特に、最後の“神器”の解放……! あそこで、アレを見せる必要は無かった筈だッ!!』




その言葉に、ザキの指が止まった。

ピアスに触れていた手が、ぴたりと静止する。




(ま、そら言われるわな)




視線が、地面に落ちる。




(確かに、アレはやり過ぎやったからね)




一瞬だけ、予選会の光景が脳裏に蘇る。

刹那の抜刀。

観客席を震わせた、あの一閃。

ザキは、観念した様に小さく息を吐く。




「はいはい、えろぅすんませんでした。今後気ぃつけますぅ」




わざと語尾を伸ばし、軽く謝る。

その声音に、本気の反省は一欠片も含まれていない。




『──本当に分かっているんだろうな』




今度は低く、冷たい声。




『いよいよ本戦まで時間も無い。お前に注目が集まり過ぎては、なすべき事も為せなくなるぞ』




ザキは、ふっと笑った。




「それは心配あらへんよ」




森の奥へ視線を向ける。




「方向性は多少変わった様やけど、ラグナは今、アルドくんにご執心や。俺の方には目ぇ向いとらんよ」



『なら良いが……』




一拍。




『だが、アルド・ラクシズとラグナの関係性が変化した事が、我らの計画にどう響くか分からんぞ』




ザキは肩を回しながら、鼻で笑う。




「ま、険悪さは消えたみたいやけど、別にまだ仲良しこよし言う訳やないし。問題無いやろ」




そして、少しだけ声のトーンが落ちる。




「それより……アルドくんはやっぱり、ラグナと同等以上の化け物やったわ」




木漏れ日の下、細い目がゆっくりと細まる。




「あの力を利用せん手はあれへん。本戦では……なんとか漁夫の利を狙いところやね」




宝石が一瞬だけ、鈍く黒く濁った。




『──こちらでも、可能な限り、細工はしてみる』




声は冷徹だ。




『だが、あまり過度な期待はするな。

──とにかく、我々はラグナの抹殺という目的を共にする同志だ。私に無断で、あまり無茶はしてくれるなよ』




通信が、切れる。

森に静寂が戻る。

ザキは、ゆっくりとピアスに触れた。

宝石の光が完全に消える。

その瞬間、彼の表情から、軽薄な笑みがすっと消えた。




(同志……なぁ)




細い目が、冷たくなる。




(利用するだけ利用して、万が一の時には尻尾切りするつもりが見え見えやね)




口元が、わずかに歪む。




(ま、利用してるのは俺の方も同じやし。おあいこやけどな)




小さく息を吐く。

森の湿った空気が、肺を満たす。




(だが、真面目な話……)




視線が、ゆっくりと腰へ落ちる。

そこには、愛剣──羽々斬(はばきり)

鞘の上から、そっと柄を撫でる。




(場合によっちゃあ、ラグナだけやなく……アルドくんとも、やり合わなあかんケースも想定しとかな)




アルドの姿が、脳裏に浮かぶ。

予選会。

体術だけでラグナに肉薄したあの動き。

無駄のない踏み込み。

重心の低さ。

マリーダ教授を圧倒した、信じられない身のこなし。


あれは、ただの天才ではない。

“戦場に生きる者”の動きだった。

ザキの肩が、ぶるりと震える。

武者震いだ。

自分の口角が、自然と上がっていることに気付く。




「──あかんなぁ」




小さく、苦笑する。




「ラグナへの復讐以外の心は、全部捨てたはずやってんけど……」




羽々斬の柄を、きゅっと握る。




「俺にもまだ、“強敵と戦いたい”いう、剣士としての心が……ほんの少しだけ、残っとるみたいやね」




その声は、静かだ。

だが、その奥底には熱がある。

復讐とは違う、純粋な闘志。


刹那。


ドゴォォォン!!


森の奥から、地面を震わせるような轟音が響いた。

葉がざわりと揺れ、鳥が一斉に飛び立つ。

ザキは、ゆっくりと顔を上げた。




「──いやいや、誰やねん」




呆れたように笑う。




「こんなタイミングで、大学構内でケンカおっ始めてるアホは」




もう一度、低い爆発音。

ザキの目が、わずかに細まる。

そして、にやりと笑った。




「──ちょうどええ」




羽々斬の鞘を、軽く叩く。




「腕が……剣が疼いとったとこやねん」




一歩、踏み出す。

落ち葉が、かさりと鳴る。




「いっちょ、混ぜてもらうとしよか」




呑気な声音とは裏腹に。

その背中からは、剣士としての鋭い気配が静かに滲み出ていた。


森の奥へ。

ザキ・クローバーは、静かに歩みを進めていく。

戦いの匂いを、愉しむように。




────────────────────




時間は現在へと戻る。


眞学の森の奥、折れた木々と抉れた地面が、生々しい戦闘の痕跡を晒していた。土煙がまだ完全には収まらず、焦げた匂いと血の匂いが湿った空気に混じっている。


その中心に、ひときわ異様な“何か”が立っていた。


アルド・ラクシズ──に、見える。


だが、違う。


全身の皮膚に、黒い筋が血管のように浮かび上がり、じわじわと脈動している。

胸元には、白い蛇がとぐろを巻くような紋様。蛇の頭が、ちょうど心臓の位置に食い込むように刻まれていた。


その姿を、ザキは数歩離れた位置から見据えていた。




(アルドくん……?)




細い目が、わずかに細まる。




(いや、気配が全然別物や)




空気が重い。粘つくような魔力が、森全体を覆っている。




(それに、あの黒い筋と白い蛇の紋様……)




思考が、一瞬で過去へ跳ぶ。

ダンジョン・サバイバル、50階層。

暴走したマリーダ教授の姿。




(あれと同じ状態やん)




一瞬の観察で、結論に至る。

アルドではない。

“似せられているだけ”だ。

その背後で、荒い呼吸音がした。




「あ、あんたは、確か……!」




振り向けば、乾流星が目を見開いている。額に汗を浮かべ、大剣を構えたまま。




「予選会3位の……ザキ・クローバー……!?」




その隣で、一条雷人も静かに息を整えながら視線を向ける。冷静を装ってはいるが、その眼差しには確かな緊張があった。


ザキは肩をすくめ、軽く手を挙げた。




「はいはい。おおきに、ご苦労さん。」




視線は偽アルドから逸らさないまま。




「君ぃらは、確か……異世界から来たっちゅう、特別編入生の子ぉらやんな?」




口調はいつも通り、軽い。

だが内心では、歯車が高速で回転していた。




(特別編入生の子らは、アルドくんとこの預かりやったはず……)




視線を、さりげなく二人の立ち位置へと走らせる。




(どういう状況や?これ)




その瞬間。




「貴様……!」




低く、押し殺したような怒声が響いた。

偽アルドが、ゆっくりと顔を上げる。

瞳の奥に宿るのは、アルドには無い、濁った憎悪。




「貴様はッ!? ザキ・クローバー……!?」




黒い筋が、どくり、と脈打つ。




「余の脚を落とした恨み……忘れてはおらぬぞッ!!」




ザキは、片眉を上げた。




「……は?」




間の抜けた声。




「脚落としたて、そんな物騒な……」




首を傾げる。

だが、次の瞬間。




(その喋り方……)




思考が繋がる。




「君ぃ、ひょっとして……ザイード皇子か?」




その名に、偽アルドの口元が歪んだ。




「気付くのが遅いわッ!」




黒い魔力が、ばちばちと空気を焦がす。

流星が慌てて叫ぶ。




「おいアンタ! 気ぃつけろ!! そいつ、黒い魔力に包まれて、アルドさんのコスプレして暴れ出したんだ!」



「……え? 何て?」




ザキが、わざとらしく聞き返す。

緊迫した空気の中、その間の抜けたリアクションが逆に不気味だった。


雷人が、冷静な声で補足する。




「──お察しの通り、そこにいるのはザイード・ジュナザーン皇子です」




視線は偽アルドから外さない。




「大学構内で学生を襲っていたので僕たちが止めましたが……どういう理屈かは分からない。アルドさんの姿に変身し、さらに暴れ回っているところです」




短く、的確な説明。

ザキは、ふっと笑った。




「説明ありがとうなぁ」




小さく肩を揺らす。




「ま、聞いてもよぉ分からんかったけども」




雷人が、かすかにため息をつく。




「でしょうね。僕も自分で言っていて、まだ全ては飲み込めていませんので」




そのやり取りの間も、偽アルドの魔力は膨れ上がっている。

怒りで震える瞳。

ザキは、ゆっくりと視線を向け直した。




「よう分からんけども……一つだけ分かった事はあるわ」




一歩、踏み出す。




「──あっこにおるのは、アルドくん本人やなくて」




口角が、にやりと上がる。




「あのバカ皇子が、アルドくんそっくりに変身した姿、いう事やね?」




流星が頷きながら叫ぶ。




「ああ、そんな感じだ! だけどよ……!」




歯を食いしばる。




「そいつ、動きや頑丈さもアルドさんをコピーしたみてぇになってるんだ!」




その言葉に。

ザキの細い目が、ぴくりと震えた。




(──つまり)




ゆっくりと、思考が整理される。




(中身はあのドブカス皇子のまま……ガワと力だけ、アルドくんそっくりになっとる言う事やんな)




沈黙。そして、にぃ、と口の端が吊り上がる。




「──なら」




腰の剣に、自然と手が伸びる。




「遠慮なく斬ってもうても良さそうやな」




重心が、すっと落ちる。

足の裏が地面を掴む。




「ええやん」




呼吸が、静かに整う。




「オモロいやん」




居合い抜きの構え。

鞘に収まったままの羽々斬が、わずかに震える。

ザキは、視線だけで雷人と流星を見た。




「特別編入生の君ぃら」




軽い声。

だが、その奥に鋭さが宿る。




「助太刀、いるか?」




流星が、一瞬戸惑う。




「えっ!?」




その一瞬で、雷人の思考は回転する。




(今のこの状況を打破するには……彼の力も借りるべきだ)




冷静な瞳が、決断する。




「助かります」




短く、しかし迷いなく。

ザキは、にっと笑った。




「よっしゃ」




肩を鳴らす。




「ほな、このアルドくんの偽物」




目が、細くなる。




「いっちょシバいたろか」




偽アルド──ザイードが、吼える。




「やってみろォ!! ザキ・クローバーッッ!!」




ドゥン!!


黒い魔力が爆発的に噴き上がり、地面の土が弾け飛ぶ。

白い蛇の紋様が、ぎらりと光る。

森の空気が、張り詰める。

対峙する三人と、一体。

その中心で、ザキは微動だにしない。

唇の端に、わずかな笑みを浮かべたまま。


まるで──


この状況を、楽しんでいるかのように。




 ◇◆◇




ザキは、視線をほんのわずかだけ後方へ流した。


一条雷人。

乾流星。


ザキは2人の名は知らない。

片や電磁を操る冷静な理系。

片や炎を振るう直情型。




(2人とも、“神器使い”やな……)




構えの重心、呼吸の整え方、間合いの取り方。




(それも、相当な使い手や)




それでも。

視線はすぐに、目の前の“アルド”へ戻る。

黒い筋が脈打つその肉体には、炎も雷も傷一つ刻まれていない。




(にも関わらず、偽アルドくんは無傷……)




喉の奥で、小さく笑う。




(相当タフな相手と考えた方が良さそうやね)




次の瞬間。


ドンッ!!


地面が爆ぜる。

土煙が上がったかと思った刹那には、もう姿がない。




「──ッ!?」




空気が歪む。

瞬きの間、偽アルドは、ザキの懐にいた。

低い姿勢。地を這うような踏み込み。


雷人が叫ぶ。




「危ないッ!!」




遅い。

黒い筋の浮かぶ脚が、鋭く振り抜かれる。

ザキの顔面へ、迷いなく放たれた蹴り。

風圧だけで、頬の皮膚が裂ける。


ザキは反射的に上体を捻った。

鼻先をかすめる衝撃。

頬から、ぴたりと赤い線が走る。

血が一筋、顎を伝う。


その一瞬の間。

ザキの細い目が、見開かれていた。




(これが……)




頬を裂いた風圧を、肌で感じる。




(偽物とはいえ、アルドくんの蹴り……)




ぞくり、と背筋が震える。




(たまらんな……!)




武者震い。

恐怖ではない。

その隙を逃さない。




「俺も加勢するぜッ!!」




流星が地を蹴り、跳躍する。




大剣──"気炎万丈(レヴァンテイン)"が、灼熱を纏って横薙ぎに振るわれる。




「──“炎盤(えんばん)”ッ!!」




斬撃の軌跡から、炎の円盤が生まれる。


キィィィン!!


鋸のように回転する火輪が、いくつも宙に浮かび、ブーメランの軌道を描く。

ザキを器用に避けながら、偽アルドへと殺到。


同時に。


雷人が低く身を沈め、左手に握った鉄のベアリング弾へ電力を込める。


パリッ、と青白い火花が散る。




「──"電磁投射連弾ローレンツ・バレット"ッ!!」




ドドドドドッ!!


磁力を纏った弾丸が一直線に放たれる。


炎と電撃。

空間を埋め尽くす二重の殺意。

ザキは、その連携を横目で捉える。




(この子ぉらのスキルは……炎と電気か……!)




回転する火輪の軌道制御。

磁力弾の加速精度。




(──汎用性の高い、ええ能力やね)




ほんの少し、羨ましそうに笑う。




(俺のんとは大違いや)




爆炎が炸裂する。

電磁弾が肉を穿つはずの音。

轟音の中、土煙が晴れた。

そこに立っていたのは──


無傷の“アルド”。


黒い筋が、より濃く脈動している。




「無駄だと言うのが……」




低く、歪んだ声。




「分からんかッ!?」




地面の土を、鷲掴みにする。

次の瞬間。


バラバラッ!!


散弾のように土と石が放たれる。

流星と雷人が、咄嗟に武器でガード。


バチバチバチッ!!


金属と魔力がぶつかり、火花が散る。

だが、完全には防ぎきれない。

石片が腕を裂き、砂が足を削る。




「ぐあっ!?」



「クッ……やはり、ダメージが通らない……ッ!?」




二人が着地し、膝をつく。

息が荒い。

ザキは、その攻防を静かに見ていた。




(今の攻撃……)




炎の円盤と電磁投射弾(レールガン)

あれは普通の相手なら、一瞬で戦闘不能だ。




(並の相手なら、即退場レベルの威力やったのになぁ……)




視線を偽アルドへ戻す。

黒い筋は、より深く浮かび上がっている。




(どうも、この偽アルドくん……)




唇が、ゆっくりと吊り上がる。




(耐久性が並やないみたいやね)




そして。




(──俺向きの相手やん)




その笑みに気付いたのか。

偽アルドが、ぎり、と歯を食いしばる。




「──貴様……」




怒りに染まった目。




「何がおかしいッ!? ザキ・クローバーッ!!」




流星と雷人に止めを刺そうとしていた身体が、方向を変える。

一直線に、ザキへ。

ザキは、軽く手を上げた。




「2人とも、ちょい下がっとき」




声音は、いつもの調子。

だが目は、獣のように鋭い。




「ここは俺に任せときや」




深く、腰を落とす。

居合い抜きの構え。

鞘に収まった羽々斬。


流星が叫ぶ。




「で、でも……!」




雷人も、片膝をつきながら息を呑む。

偽アルドが狂気の笑みを浮かべる。




「砕け散るがいいッッ!! ザキ・クローバーッッ!!」




拳が振り下ろされる。

重力を叩き潰すような軌道。

空気が裂ける。


その瞬間。


ザキの声が、静かに響いた。




「──三葉流(さんようりゅう)居合術(いあいじゅつ)一式(いちしき)……」




ほんの一瞬。

呼吸が止まる。




「"不動閃(ふどうせん)"……!」




キンッ──


音は、ほとんど無かった。

鞘から刀が解き放たれた時間は、瞬きにも満たない。


次の瞬間。

ザキと偽アルドが、交差する。

時間が、わずかに遅れる。


そして。


パァン!!


偽アルドの突き出した右腕に、何本もの赤い筋が走る。

一拍遅れて、鮮血が弾けた。




「な、何ィィィィーーッ!?!?」




絶叫。


黒い筋の上に、はっきりと刻まれた斬痕。

血が噴き出し、地面を染める。

流星が、呆然と呟く。




「に……偽物とはいえ、アルドさんを……」




雷人が続ける。




「斬った……!? それも、ただの居合い抜きで……ッ!?」




偽アルドは、信じられないものを見るように、自分の腕を見つめる。

黒い筋がざわめく。

ザキは、ゆっくりと振り返った。

細い目を、さらに細める。




「すまんなぁ」




にぃ、と笑う。




「俺の居合いは、何でも斬れん(・・・・・・)ねん」




鞘に、静かに刀を収める。

キンッ、と澄んだ音。




「“そういうスキル”やからね」




森に、再び静寂が落ちる。

ただ、偽アルドの腕から滴る血だけが、ぽたり、ぽたりと音を立てていた。

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