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セレブな執事さん

「おはようございます。お嬢様。」



ちゅ。




んーーーーーーーー・・・なんか柔らかいものがオデコに・・・。



ちゅ。って何だ?


寝ぼけた頭で考えても、それは何だかよくわからなくて。



「むーー。もうちょっと」



「仕方ないですねぇ」



ちゅ。



今度は左の頬に柔らかい感触が。



違うよ、もっとは「ちゅ。」とか言うものじゃなくって、寝させてくれって意味で・・・





って!!!!




一気に目が覚めて飛び起きる。



目の前には優雅に微笑むセルジュさん。



「何!今の、今の何っ!?」



あわあわするあたしに、セルジュさんは益々にっこり笑った。



「お目覚めのキスですよ?もっととおっしゃるから・・」


「ち、違ーーう!」


朝の自宅に、あたしの声が響きわたった。




---------------------------------------------------------




起きてみると、もう10時。

よっぽど疲れていたんだな、あたし・・・。


パパは当然会社に行っていたし、ママもパートに出ていた。


「お嬢様は、お仕事は何をされているんですか?」


「あたしは、駅前のショッピングモールに入ってる雑貨屋さんで働いてるの。

でも今ショッピングモールが改装工事でね。お休み中です。

・・あの、お嬢様って言うの・・やめてもらえません?」


なんだか背中がもぞもぞする。


「それは・・・・そうですね、今日1日、私に付き合ってくださったら考えます」


「今日1日?」


「ええ。この街を案内してくださいませんか?ついでに身の回りの物を少々

揃えたいんです」


「あぁ!そうだよね。うん、わかった!」


今、お姉ちゃんの部屋は家具も何も置かれていない。

ベッドも無くって、昨日セルジュさんはお客様用のお布団を出して客間になってる和室を使ってもらったんだ。

でも背の高いセルジュさんにはあまりに小さくて・・。


「セルジュさんって、身長何センチあるの?」


「187cmです」


・・・そりゃ、足がはみ出るわ・・・。





----------------------------------------------------------



と、いうワケで、今お買い物中だ。

ママにはもう車を借りる約束を取り付けてたみたいで、駅から少し離れた

大型家具店と、家電量販店などが並ぶ通りにやってきた。


セルジュさんの運転で。


なんとこのお方、国際免許証を持っていたのだ。


「いずれは日本の免許証に切り替えますよ」


はぁー。国際免許証なんてモノの存在も、今初めて知ったあたしにはマッタク

分からない話だ。


「みはるさん、まずは家具を見たいと思うんですが・・」


「はーーい」



交渉の結果、呼び名は「みはるさん」に落ち着いた。

まだ少しくすぐったいけど・・・お嬢様よりもはるかにマシだ!


ついでに、今朝のようなあの・・お目覚めのキスとやらも止めて欲しいと

お願いした・・どちらかと言うと、呼び名よりも強くこちらをお願いした。

んだけど・・・こっちはあっさりと断られた。なんで!?


「みはるさんは、執事をいうものをわかっていませんね」


「え!世の中の執事さんはキスで起こすの?!」


すると彼は、にっこり笑うだけだった。


え?嘘でしょ?だって、主人が男だったら?え??えーー!?

嘘だ・・あり得ない・・そう思いながらも、執事さんなんて他に知らない

庶民なあたしは、いくら考えても答えが出せなかったのだ。



「まずはベッドにタンスに・・・デスクとソファと・・」


セルジュさんは足取りも軽く、店内を歩いていく。


セルジュさんは背が高いから、大きめのベッドじゃないと窮屈だろうな・・。

そう思っていると・・・



「あ。これ、良いですね。これにしましょう」


セルジュさんの視線の先を見ると・・・・・



そこにはどでかいベッドが鎮座していた。


え?何これ!何だこのデカさ!!


だ、だぶる???いや、違うな・・。


立てかけてある商品説明を見ると・・・


『クイーンサイズ』と書いてある。く、クイーンサイズ!!!!!


「キングサイズはこちらのお店には無いのでしょうかね・・・」


え!?まだデカイのを探しているのか!?


指差しているベッドがベッドだけに、目を輝かせた店員が小走りで寄ってきた。


「こちらのベッドをお求めですか?」


「ええ・・ですがキングサ・・」

「買いませんっ!」


更に大きなベッドを聞こうとしてたセルジュさんを遮る。


「あのね、部屋は8畳なの!ベッドしか置けないじゃん!」


「あぁ・・そうですか。失礼。もう少し考えるよ」


あっさりと店員を追い返したセルジュさん。

こ、この人って・・・・・!



その後も、選ぶもの選ぶもの大きすぎたり、高すぎたりで、殆どのものを

却下した。


買い物を済ませ、店を出る頃にはヘロヘロだった・・・。



「セルジュさん・・部屋に入るかどうか、大きさ考えて買い物しないと・・」


「すみません・・。今まで部屋の大きさを考えて買い物をした事がありませんでしたので・・」



こ、このセレブめ!!!



もう・・・先が思いやされるよ・・・


ダブル以上の大きさって実はピンときません。

根っからの庶民デス。ハイ。

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