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執事さん、スカウトされる

「行ってらっしゃいませ・・・」



執事たるもの、主には常に笑顔であれ。



と、みはるお嬢様の執事になる事になってから通った執事学校での言葉だったか・・。


今の私には到底無理な話だ。


今、超仏頂面でお嬢様を送り出したばかりなのだ。



「今日はセルジュさんは来なくて良いから!」

と、お嬢様にきっぱりと拒絶されてしまった・・・・。

膝から力がすーーっと抜けていくようだった。しっかり立てていたのが不思議な

位の、脱力感だった。


「あの。でもですね、お荷物持ったり・・」


「ううん、いらない!今日は3人で遊ぶの!セルジュさんが居たら、ガールズトークが出来ない!」


とにかく待ち合わせ場所まではご一緒致します!と、ゴリ押しして、渋るお嬢様を

半ば抱えるようにしてついて行ったのだけれど・・・


待ち合わせはお義兄さんのビルの隣のカフェだった。


既に都子さんも香澄さんもいらっしゃっていて、お2人に無言の微笑みで訴えかけた。

お嬢様を手に入れるには、親友のこのお2人には認めてもらわないと・・と思い、

昨日はしっかり気合を入れてエスコートしたのだ。

だからきっと今日だって同席を認めてくださるはず・・・と思い、一歩前に進むと・・・


「じゃあね、セルジュさん!」

「今日は3人だけで出かけるから。みはるはちゃんとお返ししますからご心配なく」


お嬢様の両脇をガッチリ固め、さっさと奪い取ってしまった。


そんな時に、笑顔でいられるはずなどなく、最初のセリフになるわけだ・・・。



ガールズトークに負けてしまった・・・。


「はぁ・・・今日はひとりで時間を潰すか・・」


相変わらず両脇を2人にガッチリ固められたまま、段々遠ざかっていくお嬢様の

背中を見つめながら

そっとため息をつきた。


「さて。何をしよう」


ふむ。とカフェ前で考えていると、何やら人目を集めてしまった。

いけないいけない。

微笑みを浮かべ一瞥すると、近寄ろうとしていた一部の人もはっと足を止めた。


一人で出歩くと色々と厄介かな・・・。

とりあえず、大使館に連絡し、車と人を一人手配する事にした。



しばらくすると、指定したカフェの前に1台の車が到着した。

中から若い、栗色の髪の男が慌てたように出てくる。

カフェの入り口から私を見つけると、その口が「王子」と紡ぐ前に、私は自らの口に指を当てて黙るように示した。

男ははっと口を噤むと、無言ですばやくそばにやって来た。

「お、王子。お初にお目にかかります。ヴィレッドと申します」

そばに来て、ようやく声を潜めて話し出すその男の名前に聞き覚えがあった。


「今春から赴任している外交官捕かい?」


ジュエル王国は、小国ながら日本との関わりが強い為、大使館もそこそこの大国規模の

人数が派遣されていた。彼は確か、日本に来たばかりの外交官捕だったと記憶している、

すると、ヴィレッドがその明るいブラウンの目を輝かせた。

どうやら当たっていたらしい。


「申し訳ないが、今日1日の予定が空いてしまってね。ちょっと付き合ってくれないか」


「勿論でございます!どちらに参りましょう?」


「そうだな・・まず車に行こうか」


またもや人目を集めてしまっているようだった。

ヴィレッドも、ジュエル王国出身。なかなかの良い男だったしね。



「まず・・・我が国の宝石で作ったアクセサリーを扱っている店を見ようかな。

銀座にお願いできるかい?」


「抜き打ちでの視察ですか?」


「うーん。まあね」


頭の中にはちょっとした計画があった。私はそれを思い出して、クスクスと笑った。

バックミラーでそれを見たヴィレッドが、不思議そうな顔をしていた。



結局、午前中いっぱいをジュエル王国関連の企業や店舗を回るのに費やしてしまった。


「午後は少し買い物がしたいな。数店回りたい店があるんだが、どれも近いから

徒歩で行くよ。

3時間ほどしたらまた車を回してくれないか」


「畏まりました。それでは一旦大使館に戻りますので」


うむ。と頷くと、贔屓にしているブランドのショップに足を踏み入れた。


が、すぐにひとりになった事を後悔した。


「俳優に興味はありませんか?」


「どこ出身?お洒落だね~。モデルに興味ない?」


丁寧な口調の紳士から、お洒落を履き違えているようなチャラチャラした男まで、

ひっきりなしに声をかけられ、集中して買い物も出来やしない!


ヴィレッドが居たら、追い払ってもらえただろうが、自分で追い払いつつ買い物を

しなければいけないので、

なかなか買い物が進まない。


何人かを追い払った時、異臭がした。


あまりの衝撃的な匂いに振り返ると、営業スマイルを貼り付けた小柄な男が

近づいてくる。

これは・・香水の香りか!?どう使ったらこんな刺激的で殺人的な匂いになるんだ!?


「ボク、モデル事務所を経営してる者なんだけど、君、すっごく良いね!遠目でも

すっごく目立ってたよ!

きっと、すっごく良いモデルになると思うんだよね。君のような人に出会えて、

ボクもすっごくラッキーだなぁ!」


すっごくすっごくを連発して、男は近づいてくる。

私としては、すっごく近寄らないで欲しいものだが!


早く立ち去って欲しい一心で、差し出された名刺を受け取ってしまった。


「あ。受け取ってくれるんだ?君、さっき何人かのスカウトに声かけられるの

見てたけど、全然受け取らなかったよねぇ?」


断言しよう。男が語尾を延ばすのは、気持ち悪い以外の何物でもない!!


「ボクのとこさぁ~。すっごく有名なモデルがすっごく沢山いるんだよぉ~。

ね、ボクの事務所知らない?」


知るか!早く離れてくれ!と、思ったが・・・知っていた。


いや、厳密に言えば、モデル事務所を知っていたのではない。モデル事務所の、

住所を知っていたのだ。

それは、今滞在しているお嬢様のお姉さまのお宅だったのだから。







王国なので、ジュエルにも執事学校があるって設定。

にしても・・・義兄うざいですね・・・。

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