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執事さんと珍道中

珍道中というか・・・・・執事さんの暴走とでも言いますか・・

「ママ、連休使って東京に行ってくるね」


「あら。じゃあみさきの所に泊まるの?」


「う・・ん。セルジュさんも一緒だし、そうさせてもらおうかな」


「・・そう」



ママの反応が少し悪い。でもそれはあたしも一緒だ。

家族はおねえちゃんは大好きなんだけど・・・・問題はお義兄さんだ。



---------------------------------------------------


つ・・・疲れた・・・。


東京まで来るだけでこんなに疲れるとは・・・。


セルジュさんが「私にまかせてください」と言うので、おまかせしてたあたしが

バカだった・・・。



---------------------------------------------------



新幹線は初グリーン席だった!


それでもまだセルジュさんは「個室が無いなんて・・」と言っていた。


途中の、長めの停車時間のある駅ではなんと、特製駅弁が届いたんだよ!

品の良さそうな着物姿のおばさまが、若いスーツ姿の男性を連れて恭しく

運んできた。

中はおせち料理もビックリのゴージャスさ!

ポットにお茶まで入ってて、それもすごく高級なお茶なのだろう。

いそいそと準備を始めるセルジュさん。


あたしは呆気に取られていた。


「お嬢様との、初めての旅行ですから」


これまた甘ったるい表情ではにかむセルジュさんではあったけども・・・・

え?なんか旅行の意味が激しく違うと思うんですけど!


反論しかけて大きく開けた口に、味がしっかり染込んだ一口サイズの煮物を

放り込まれ、余りの美味しさに言葉も吹っ飛んだんだった。


と、とにかく。とにかく!作ってくださった方に申し訳がないものね。

ここは食べる事に集中しよう。うん。


食事も終わり、かなりの量があった特製駅弁はすっかりおなかにおさまった。

そこでまた、お弁当を持ってきてくれた2人が登場!なんと、一緒に乗車していた

みたい。

さささっと片付けると、一礼して丁度停車した駅に降りてゆく。

入れ替わるようにやってきたのは・・・デザートだ!

ふりふりメイドスタイルの女性と、これぞ執事という感じの格好をした壮年の

男性が。


これまたポットに入ったお紅茶と、そしてフルーツたっぷりのタルトが目の前に

置かれた。

目の前のフルーツタルトは、ナパージュで色とりどりのフルーツがキラキラして

更にあたしを誘惑した。


まぁね!これも・・わざわざ持ってきてくださったお2人に・・・悪いし?

別腹とも言うし?ペロリと食べちゃったけど。

あ~、フルーツタルト美味しかった!!!ほぅ。と満足のため息をつくと・・


「ナパージュが」


「へ?」


「ついてますよ」


セルジュさんの長い指が、すっとあたしに近づき、そのままゆっくりと下唇をなでる。

そして、そのまま手を引き・・ペロリ。とその指をゆっくり舐めてからそのまま

口に含んだ。

その間、目はずっと・・ずっとあたしを見つめていた。

その眼差しは、唇についてたナパージュよりも、更に甘かった・・・。



そのままどれ位見詰め合ってたか分からない。

とは言っても、あたしは見蕩れてたとかじゃなく!断じてそうじゃなくて!

何をしてるんだ、このヒトは!と、口をあんぐりしてしまったのだ。



傍でコホン。と咳払いが聞こえ、はっと我に帰ると、タルトを持ってきてくれた

執事風の男性が・・。

「お邪魔しまして申し訳ございません。そろそろ東京に到着致します。

ではこちら片付けさせて頂きますので・・」


はっ!!!ここは新幹線!

こんな場所であたしってばなんて事をーーー!!!

見渡すと、視界に入った人が、さっと数人こちらから目を逸らした。


ただでさえ、金髪碧眼の長身美青年と一緒なのに、途中途中で特製弁当は

来るわ、特製デザートは来るわ、めっちゃ目立ってたに違いないのに!!!

そんな中、あんな・・あんなバカップルみたいな事まで・・・・。


カーーーーッと、顔に熱が集中するのが分かった。


セルジュさんは平然と、「あぁ、岡田さん、帰りもよろしく」なんて言っていた。

帰りも!?

帰りもあるの!?!?

断りたい気持ちでイッパイだったけど、これ以上人目を集めたくないので、

じっと、じっと耐えていた。


東京駅に到着するなり、誰よりも早く席を立ちたかったけど、通路方にセルジュさんが

座っていたので、出るに出れず・・・・。

通路を通る沢山の人に覗きこまれたし・・・。本当、疲れた・・・。


「セルジュさんだって、そんな事しなくていいのに」


「え?何がです?」


急がないのですから、最後でもいいではないですか。と、駅に着いたにも関わらず

いまだゆったりと腰掛けているセルジュさんがこちらに顔を向ける。

その余裕っぷりに、益々一言物申したい気持ちが募る。


「セルジュさんが指でぬぐわなくても、言ってくれたら自分で取ったよ!

だってそしたらさ、セルジュさんの指だって汚れなかったわけだし・・」


すると、綺麗なセルジュさんの顔に、ふっ。と艶やかな微笑みが乗っかった。

そして、ナイショ話をするかのように、そっと顔を寄せ、耳元に囁く。


「本当はね、指を汚さずに取るつもりでしたよ」


「え?なら、なんで・・」


一層、密やかな囁き声が低く、艶を帯びた。


「私の舌で、舐め取って差し上げたかったのです。ですが、ここは人目がありますからね」


「もしかして・・」と、セルジュさんが更に近づく。

セルジュさんの息遣いが、髪を震わす位に。そして囁きは更に小さく秘められたものになった。

「そちらの方が、ご希望でしたか?」と、とんでもない事を言うと、なんと・・・

あたしの耳たぶをペロリ。と舐めた。


だから!!!ただでさえ人目引いてますからーーーーー!!!!!

それに、耳にはナパージュついてないもん!!!!



この旅行、先が思いやられるんですけど・・・。


目的地に着くまでの移動時間だけで、あたしはもう疲れ果てていた。


セルジュ、壊れました。

頭の中はお花畑ですかねー。そんな感じ。

きっと見るものすべてバラ色状態です。

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