側から傍へ
「へえ、そうなんだ……高田さんがね……意外だよ、意外」
私は自分の中にある感情を整理する為に、私が友達の中で最も信頼出来る友人の「御徒 まちの」に話を聞いて貰っている。
高田というのは、昨日、友也に告白していた女の子だ。
「うん、そうだよね……高田さんと友也が絡んでいるの見た事ないんだけど、いつの間にって感じ」
「そうなの!……其れに高田さんって確か演劇部だよね、次の部長候補と言われるぐらい、男?要らない!演劇一途!って感じだったのになあ」
「うん、其れに高田さんって現役の劇団員なんでしょ?しかも有名な所の」
「それな!もうスターだよね!……そんなスターが友太郎に告白するなんて有り得ないよ」
友太郎とは御徒が呼んでいる友也の渾名だ。
彼女の言葉に苦笑を浮かべる陽夏。
そんな様子を見た御徒はにんまりと笑みを浮かべて、陽夏の目をじっと見つめる。
「まあ、其れは良いとして、告白現場を見ちゃったハルは戸惑っちゃったんだ。次のターゲットは友太郎か」
陽夏は耳まで紅くを染め、顔を手で覆えば、机に伏せる。
「否、その……そうなのか、分からないの。だって、今更だよ?幼馴染で今更好きになるものなの?」
「んー、私はそんな感じになった事ないから分からないなあ。でも、それが恋じゃなかったら、あれだな。私は友太郎の彼女になる人だったらそんな幼馴染がいるのは嫌だな」
御徒は真顔で言い放つ。
「其れを言わないでよ……もう、解ってるって」
「知ってる。でも、良いんじゃないかな?友太郎も良い奴じゃん、基本的に。ずっとさ、幼馴染の恋愛話を聞いてくれる異性の幼馴染って普通居る?そんな優しい幼馴染」
「……中にはいるんじゃない?」
「居るか……」
「高田さあ、大丈夫なのか?こんな所で時間潰しちゃってさ」
「うーん、大丈夫だよ。一寸、さ……疲れちゃって、今、お休み貰っているんだよね。劇団も部活も」
「そっか……まあ、自分が厳しいって思ったら休むのは必要だもんな。やっぱり倒れたって噂本当なの?」
「あー……うーん、まあね。演劇部でのことでしょ?広めないでってお願いしてるのに、やっぱ居るよね。流しちゃう人」
高田は苦笑を浮かべて頭を掻く。
「居るよな……でも、昨日の演技練習凄かったよ。しかも、陽夏が居るのを気付いて、アドリブ入れる提案するってのも凄い」
「ふふん、これでもプロですから……まあ、まだまだ下っ端なんだけどね」
「未来のスターに期待です……それより、さ。本当の事明かさなくて良いわけ?」
「良いの、一寸面白そうじゃない?秋葉原さんに申し訳無いけど、どれぐらい騙せるか、自分の実力を試したい……性格悪いでしょ?」
「俺はそう言う所好きだよ、嫌いじゃない」
「ありがとう、知ってる」
「じゃあ、俺は帰るわ……お疲れさん」
「うん、お疲れ様。またね」
俺は鞄を片手に持ち、片方で手を振って教室を出る。
私としては振られた「側」だけど、何時かは側から傍に移れたら……。
どんな形であれ、秋葉原さんに私もライバルって事を示さないとね。
頑張らないと、そう呟いて高田も教室を後にする。




