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7.さらば貧乏暮らし

 ユートはサントス山に来ていた。今回は魔獣狩りをするためだ。

 此処には魔犬が多く住んでいるらしい。今回はそれを討伐しお金を稼ぐ。

 オートライトニング魔法陣を起動。


「アーカイブアウトオートライトニング」


 索敵を発動する。


「サーチ」


 サントス山を注意しながら登っていく。風はヒューヒューと吹いている。いつも山頂の方から吹き降りて来るので匂いで感づかれることは無い。

 しばらく、ゆっくり、ゆっくりと姿勢を低くし登りながら索敵を続ける。

 索敵魔法が動物をロックオンした。

 遠いのでよくわからないが魔獣だ。魔獣はどちらかというと、反対側の森の方を気にしている。


「ライトニング」


 雷が魔獣にヒットし、魔獣が倒れた。

 その方向に向かうとすぐに次の魔獣をロックオンした。魔獣はこちらに向かって突進してきた。落ち着け、これは百発百中だ。


「ライトニング」


 また、次の魔獣をロックオンした。やはり魔獣はこちらに向かって突進してきた。


「ライトニング」


 魔獣の所まで歩いた。魔獣は合計三匹だった。


「アーカイブ」


「魔獣」


 魔獣をアーカイブに保管した。

 周囲に魔獣が居ないことを確かめて、索敵を終了する。


「エンド」


 狩りはあっけなく終わった。


「アーカイブアウトモンテサント」


「テレポート」


 モンテサント市にテレポートし、冒険者ギルドに行った。

 受付に行き、


「魔獣を討伐しました」と言うと、


「裏部屋に来てください」


 と言われた。もう二か月程毎日通っているので、受付嬢とは顔馴染みになっている。

 裏部屋に行き、


「アーカイブアウト、魔獣、三匹」アーカイブから魔獣を出した。


 冒険者は魔道具のアイテム収納袋を持っていることが多く、獣を収納して持ち運ぶのは珍しくない。重い魔獣を持ち歩くのは大変だから必需品だ。ただ魔道具のアイテム収納袋は、かなり値段が高いらしい。


「魔犬三匹ですね。では受付で待っていてください」


 受付の部屋で待っていると呼び出され、討伐報酬うを貰った。千五百クロネだった。


『一匹五百クロネか、なかなか良い値段だ』


 ちなみに、この世界では、十クロネ有れば充分食事を食べれる。普通の宿屋で一泊百クロネだ。


「結構値段高いんですね!」


「魔犬とか魔狼とかは群れで行動するから、討伐が危険なんですよ。だから料金も高めに設定されています。推奨の冒険ランクはDランク以上ですよ」


 乗合馬車で知り合った冒険者の話を思い出した。


『魔獣が結構多く居て、ちょっとした金稼ぎに良い場所なんだ』


 確かに、金稼ぎに良い場所かもしれない。


「今回の討伐でユートさんの冒険者ランクはEランクになりました。でも、魔犬は危険だから気を付けてくださいね」と、受付嬢


 俺のように相手が気づきにくい遠距離雷撃なら問題ないが、かなり危険な魔獣なんだな。

 実をいうと、俺は冒険者ランクをあまり上げたくない。冒険者ランクが高いと、厄介な仕事を強制的に押し付けられたりするかもしれない。俺は他人のために大変な思いをするのは真っ平御免だ。


『今の服装はいかにも貧乏ぽいので、母と衣類を買いに行こう』


 一旦家に帰ってから、母と二人で服を買いに行った。母は大喜びだ、母は三十二歳。まだまだ若いのだ。五百クロネあれば色々な服が買えるだろう。

 次に家具屋に行った。クロゼット、タンス、ベッド、テーブルを買う事にした。これは母に任せた。家具は後から運んでくれるとのこと。


『これで、貧乏暮らしから脱却だ』


 まだ時間があるから、モンテサント市外の野原で獣を狩って家に持ち帰ろう。

 明日には家具も届き、家も前とは比べ物にならない位綺麗になるだろう。


 次の日のサントス山。ユートは昨日と同様にゆっくり、ゆっくりと姿勢を低くし登りながら索敵を続ける。

 しかし、獣は一匹も現れない。


『........考えが甘すぎた』


 よくよく考えると、昨日は森の何かを警戒して森から出てきてただけだ。一般的に森の中にいる魔獣を見つけて狩らないとダメなんだろう。

 仕方なく、冒険者ギルドに行き、Eランクレベルの討伐依頼があるか確認した。

 すると、


「この近辺はEランクレベルの討伐依頼があまりありませんね。サントス森林の討伐がメインだからランクが結構高いんです。これは、サントス森林を囲んでいる北側のルブラン、東側のロイトも同様です。ここから南側にあるバノアナでは海岸付近の森林や草原でEランクレベルの魔獣がいると思いますよ」


「Eランクの魔獣はどのようなものになりますか?」


「魔兎、魔猫、魔狸、がランクE、爪の攻撃になります。魔兎が多いです。かなり鋭い爪なので、侮ってはいけません。魔猪がランクE~Dです。牙による攻撃です。力が強いので、かなり危ないですよ」


「教えてくれて有難う」


『仕方ない。今日は薬草を採取するか』


 尚、今の生活であれば、毎日薬草の採取でも暮らしていけるので、焦ることは無い。

 薬草を換金した後、お酒を買って帰った。

 家に入ると、家具屋から家具が届いており、部屋が見違えるほど良くなっていた。


「お帰りなさい」


 母はニコニコしていた。家が綺麗になったことが嬉しいのだろう。母が喜んでくれれば俺もうれしい。

 今日は母が頑張って美味しい料理を作ってくれた。母と二人で、脱貧乏暮らしのお祝いを行った。

 ユートは、母とお酒を飲みながら、これからの事について話した。


「今は、冒険者の仕事をしているけど、もう少しお金が溜まったら、他の仕事をしようと思ってます」


「冒険者の仕事は危険だからそろそろ辞めて他の仕事をした方がいいよ。ユートなら問題なく出来るはずだよ」


「此処から南へ行ったところにバノアナという港町があります。そこで、冒険者の仕事をしながら、何か他の仕事が無いか調査するつもりです。なので四日程戻ってきませんが心配しないでください。バノアナに着いたら、また毎日テレポートで戻ってきます」


 次の日に、モンテサントの南端にある乗合馬車の停留所に行き、バノアナ行きの乗合馬車を見つけた。二泊三日で四百クロネだ。ユート一人で乗っていると後から冒険者仲間と思われる四人が乗り込んで来た。時間になり出発した。そのうちユートは眠りこみ、御者に揺り動かされ気が付くと、一泊目の野宿の場所だった。食事をし、事前に買っていたお酒をみんなで飲み寝た。二日目、三日目も同じような生活を繰り返しバノアナに着いた。


 バノアナの冒険者ギルドに行き、Eランクレベルの依頼を見た。魔兎が多く居る場所を聞くと西側の草原が見つけやすいらしい。その他Eランクレベル魔獣は東側の森林に多く、狩りの難易度は少し高いとのことだ。

 とりあえず西側の草原に行くことにした。


『....おいおい』


 西側の草原が見つけやすいと言われたが、丈の長い草に覆われていて、目視では恐らく無理だ。


「アーカイブアウトオートライトニング」


「サーチ」


 歩くと草が体と擦れ、音が出てしまう。最悪だ。辺りを極力静かに歩き回り索敵していると、そのうち索敵魔法が何かをロックオンした。


「ライトニング」


 雷が落ちた当たりの場所で魔獣を探すと雷がヒットしている魔兎を見つけた。草に隠れていて見えないので、その場所を探すのがとても大変だ。

 平均一時間ぐらいで、何かをロックオンする。七時間程かかっただろうか。トータル七羽獲った。結構いるな。でも、もし索敵魔法が無かったら、討伐出来なかったかもしれないぞ。これで見つけやすいと言うんだから、東側はもっと大変なのだろうか。しかし、今日は疲れた。歩くのが大変だった。

 冒険者ギルドに戻り、受付に行く。


「魔獣を討伐しました」


 と言った。そして裏部屋に行き、七羽の魔兎を渡した。

 受付に戻り、討伐報酬を貰った。千五十クロネだった。一羽百五十クロネか。この額を考えると、皆、魔獣を狩りたがるのは、理解できる。ただの兎も二羽獲ったので、それは母へのお土産にした。

 テレポートでバノアナに戻ってこられるように座標を確認し、バノアナテレポート魔法陣を書き、アーカイブに保管した。

 それから、モンテサントの家にテレポート魔法で帰った。


 一週間ほどバノアナで狩りを行い約七千クロネ稼いだ。

 その間バノアナがどのような町か見て回った。バノアナは隣国であるべルドラン王国と交易を行っている港町だ。主に穀物と高級果実酒を中心に取引が行われている。だからここの高級果実酒は他の町よりも少し安く手に入る。値段は百クロネぐらいだ。そのくらいの特徴しかなく、あまり興味の沸くような物が無かった。Eランク冒険者が魔獣の討伐で稼ぐのに良い場所というぐらいだ。

 冒険者ギルドに行き、隣国のベルドグラン王国への行き方を教えてもらった。


「バノアナから出向する船はベルドグラン王国のダールという港町に向かい、七日程で着きます。停泊しているどれかの船に乗せてもらえれば良いです。千クロネ払えば乗せてもらえます。出国になるため乗船の前に検問がありますから身分証明を見せてください」


 簡単に行けそうだ。モンテサントの家に戻り、母に一週間程戻らないことを告げた。

 次の日、バノアナの船に乗り、一週間後、ダールに着いた。

 ここは、港があるだけの町だった。ルブランロイト公国に最も近い場所だからここに町があるらしい。町の南側にはサバンナが広がっている。町の人に、周辺地域について聞いた。


「南に進むと王都ベルドグランがあり、そこが政治、経済の中心地だ。南東に進むとヘルドナに行ける。ヘルドナはどちらかというと生産拠点だ。高級果実酒の蔵元があり、それを詰めるビンの製造工場もヘルドナにある」


「此処からそれら町までどのくらい遠いんですか?」


「どちらの町も乗合馬車で一週間だ、千クロネあれば行けるよ」


『ちょっと疲れたから、モンテサントの家に帰って二日程休もうかな』

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