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15*直箸(じかばし)で鍋、アリかナシか



 鍋の季節ですよ! ミズカミの大好物です。鍋なら何でもいけます。湯気がほわっと広がる、あの雰囲気が好きなのかもしれません。大勢でわいわい囲む鍋も賑やかでいいですし、剣客商売の秋山小兵衛が酒肴として好む小鍋も粋ですね。



 この時期は鍋コースの宴会も多いのですが、そういう時にちょっと考えてしまうのが「直箸(じかばし)」問題です。家族や親しい人だけなら、難しく考えなくていいのかもしれませんが、会社の宴会などで上司や取引先と一緒の卓になったとき、いきなり個人の箸をぐいっと鍋に突っ込まれてしまうと、ミズカミは「あっ……」と思ってしまいます。(けっこう神経質なのです)



 中には「熱湯消毒してるから大丈夫~」などと言いつつ、箸をぺろっと舐めて鍋に突っ込むおっさんもいたりして(地獄ですが実話です)、せっかくのお鍋が目の前で煮詰まっていくのを眺めつつ、小鉢だけをつついて会費を払ったこともありました。細菌の数がどうというより、気分の問題です。




 あと、ミズカミが気になるのは生肉や生魚です。しゃぶしゃぶや魚すきなど、生の具材を自分の食べている箸でつまんで、お鍋に放り込む上司がいました。その方は兼業主婦でもあったので、食中毒の怖さはご存じかと思われるのですが、その箸を平気で口に持っていかれるんですよね。


 もしお腹を壊したらまずいと思ったので、肉や魚はどうぞこのお箸でと、取り箸をお渡ししたのですが、それでも食べながらパッと生肉をつまんでしまう。多分、家でもやっているんでしょう。もう長いこと会っていませんが、彼女とご家族のお腹が無事であることを祈ります。



 今回は、食べ物の話というよりぼやきになってしまいました(すいません)でも、もうひとつだけぼやかせてください。それは、すき焼きの宴会で起こった悲劇です。コースで8000円くらいでした。ミズカミにとっては勝負のかかった自腹です。


 すき焼きの〆って、だいたいうどんが出てくると思います。肉も大事ですが、実は最後のうどんが好物という人、多いのではないでしょうか。ミズカミは肉よりうどん派です。それなのに、やらかした奴がおるんです。


 肉と野菜のうまみが出た割り下、そこに仲居さんが少し出汁を注いでくださって「お好きな具合に煮てお召し上がりください」と、うどんを投入して去って行かれた、その直後。なんと、一人のメンバーが鍋に卵をだーっとぶちまけたのです。


 卵といっても、割った直後の卵ではなくて、みんなが各自で使っていた、取り鉢の中の「使用済み」卵です。ネギや豆腐のかけらが浮かんでいる、グズグズになった茶色い卵汁です。


 えええっ、と周囲が驚く中、そのメンバーは次々とテーブルの上の使用済み卵を鍋に入れていきます。何をするのだとストップさせると、お前こそ何を言っているのかという顔で言われました。



「え、だってうどんの時は卵を入れるでしょ? うちではいつもこうするよ」



 その場のみんなで「しないしない!」と言いましたが、そういうご家庭は多いのかもしれません。ただ、外で食べるときには周囲の了解を得るべきだと思います。その日の〆うどん、結局は卵をぶちまけた本人以外、誰も食べませんでしたので……




 というわけで、あれこれと鍋にまつわる困った経験を書いてみました。しかしほとんどの想い出は、楽しいものばかりです。大勢で囲むことの多い鍋。いろいろと他の家の食習慣が知れるのも、鍋の楽しみのひとつですね。ぜひ皆さんのご家庭や地方の美味しい鍋、ミズカミに教えてやってください。






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― 新着の感想 ―
[一言] 一緒に食事をしたら、合うか合わないかがわかっちゃうくらい如実ですね。それは大変でした……。 私も二十代までは結構な残念派で、サラダにかけるドレッシングや唐揚げレモンは各自でするもんだよ? と…
[一言] あーーー… 「家ではやる(やってもいい)けれど,外ではやらない(行儀が悪い)こと」って,誰しも「当人が思っているより多い」ですね うっかりやらないようにしているつもりではありますが,案外やら…
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