11*スペインおでん「コッシード」が美味い!
おでんが美味しい季節ですね。土地ごとの様々なおでんを食べ歩くのも楽しいです。ミズカミは先日、金沢のおでんを食べてきました。梅貝(バイガイ)や車麩など、他では食べられないネタはわくわくします。姫路の生姜醤油のおでん、東海の味噌おでんも大好物です。
さて、日本のおでんネタで始まりましたが、今回のテーマは「コッシード(cocido)」という、スペイン版のおでんです。マドリード在住の人から「スペインの冬はこいつだぜ」と教えてもらったのが最初でした。
どういうものかというと、よくポトフを「フレンチおでん」と表現することがありますが、あれに近い感じです。地方によって具材や味付けが異なり、私が食べたのはマドリレーニョ。日本語で言うとマドリード風、となります。
前述のマドリード在住人が言うには、カスティリャ地方やアンダルシア地方のコッシードも美味しいそうで、次はぜひその地方に出かけて味わってみたいなと思っています。スペインはとにかく美味が多いので、食いしん坊にはたまらない国です。
さてコッシードのいちばんの特徴と言えば、「ひよこ豆」が入っていることではないでしょうか。日本でも最近はスーパーなどで見かけるようになりましたが、南ヨーロッパでは非常によく食べられています。コッシードはこのひよこ豆の他、にんじんや玉ねぎ、じゃがいもなどの野菜と、塩漬け豚や牛、チョリソなど肉類を澄んだスープで煮込んだものです。
このスープは、生ハム(ハモン)の骨のカルド(出汁)で作られるのが本式だそうで、ちょっとそうなると一般家庭では難しそうですね。私が以前にコッシードもどきを作ったときは、鶏ガラで代用しました。たぶん粉末やキューブのスープでも大丈夫ではないでしょうか。
コッシードは、食べ方がちょっとユニークです。まず最初に、スープだけが出てきます。博多の水炊きのようだと思いました。そして、その汁の中にはそうめんくらいの細い麺が入っています。これはフィデウと呼ばれるパスタで、パエリアの麺バージョン「フィデウア」はこれを用いて作られたものです。
スープを飲み終わると、次は野菜だけが皿に盛られてやってきます。キャベツやにんじん、玉ねぎ、じゃがいも、ひよこ豆などなど。そして最後がお肉。ソーセージやハモンなど、複数の肉類が入っていることが多いです。
ひとつの鍋で作ったものでも、ばらばらにして出すのが面白いですね。手間は一緒で品数は3倍、ちょっとお得な気がしませんか(笑)
なお、コッシードは大変美味しいのですが、とにかくお腹いっぱいになります。前半のスープ~野菜で飛ばすと、ひよこ豆が思いっきり胃の中で膨張しますので、後半の肉類でギブアップになります。くれぐれも「山場は後半にやってくる」ことを肝に銘じて挑んでください。もちろん山場を過ぎても甘い甘いデザート(ポストレ)が待っていますので、最後まで気を緩めずに(笑)
ちなみに、バルでもコッシードを提供する店があり、ミズカミが行った店ではスープだけでも注文が可能でした。カウンターに陣取って、カニーャ(グラスビール)でタパスをつまみつつ、ちょっとスープをいただくと満足感が上がります。コッシードは食べたいけど、ドカンと持って来られると厳しいなという、小食ジャパニーズにはぴったりです。
ちなみに昔は「コッシードは水曜日の昼に食べる」と言われていたそうです。そういえば金曜日に魚料理を食べる国もありますね。日曜日のサンデーローストなども、曜日限定のグルメです。旅行中はなかなか予定が合いにくいですが、そういう現地の食習慣に乗っかってみるのも、旅の思い出になるかもしれません。




