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ラスボス召喚術で異世界最強~剣聖の家に生まれた最弱召喚士は前世の記憶を取り戻し無双する~  作者: small wolf
第一章 少年期 ラスボス召喚編

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第50話『詠唱』


 ――アイファズ・トロイメア視点




「さぁ――絶望を知りなさい――」


 化け物女がジャイアントワームの攻撃を半透明の盾で防ぎながら、空から僕を見下ろして言い放つ。


 そして……女は唄う。


「ああ――私は願う――この身が燃え尽きる事を。

 この汚れた我が身も――この不浄なる世界も――何もかも燃え尽きてしまえばいい。

 聖なる炎に照らされた先にこそ――真の神が創りし世界は現れる」


 女を中心に意味不明な黒い文字が中空を飛び交う。

 丸い円の形をした半透明の盾のような物が女の周りにいくつも浮かぶ。

 そこには――どす黒く醜悪に描かれた星のようなマークがあった。


「さぁ――全て燃え尽きなさい。

 聖黒のサン・ニグレオ・デフレマ!!」



 そして――絶望が空から飛来する。

 女の周りに展開されていた星から黒い何かが勢いよく発射された。

 その黒い何かはジャイアントワームと突進する魔物へと直撃し――



 直撃を喰らった魔物達は一秒ともたず灰となった。



「は?」





 黒い何かの正体は炎だった。

 だが、ただの炎ではない。魔物を一瞬で燃やし尽くしているにも関わらず、熱気を全く感じない。

 標的である魔物だけを焼き尽くしているのだ。そしてその熱はあまりにも凶悪だった。


「ウ、ウアアアアアァァァァァッ」

「クルナ、クルナァァァァッ」


 僕の命令のせいで化け物女にまっすぐ突き進むことをやめられない魔物達。

 黒い炎はまるで意志があるかのようにそんな魔物達を蹂躙する。

 肉の焼ける匂いは……しない。

 焼き尽くされる者の悲鳴は……ない。

 黒い炎を浴びた魔物達がまるで手品のように灰へとその姿を変えていく。


「聖なる黒のほむら。私が不浄と判断したもの全てを焼き尽くす地獄の炎よ。あなたは驚異的な再生能力を持っているようだけど……それって灰からでも蘇れるのかしら? クスクスクス」


 空中で足を組んで楽しそうに嗤う化け物女。

 化け物女は指揮者のように手を動かし、黒い炎が魔物達を灰にしていくのを楽しそうに見ていた。


「ちぃっ!」


 僕はジャイアントワームが地面に空けた穴のもとへ駆け寄る。


「あら? 逃げるの? あなた、私よりも強いんでしょう? 私より強いはずのあなたが私から逃げようとしているこの現状……くすくす。おかしいわね?」

「誰が――」


 それ以上、僕は言葉を発せなかった。

 先ほどまで僕の支配下にあった魔物を焼いていた黒い炎。

 それが僕の足首に食らいついていたのだ。



「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


 熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!

 地面を転がりまわって黒い炎を消そうと試みる。

 だが、炎は消えない。それどころかジワジワと僕そのものを焼き尽くさんと徐々にその範囲を足首まで広げてくる。


「く……そぉっ――」


 僕は痛い思いを我慢して……自らの足を斬った。

 

「がっ……あぁっ――」


 痛い……だが、これで黒い炎を体から取り除けた。

 僕の傷はすぐに回復する。よし、これで――



「くすくす。自分の足を斬るだなんて凄いじゃない。よほどの覚悟がないと出来ない事よ。褒めてあげる。だから、さぁ――踊りなさい――」


 僕の足首にまた黒い炎がまとわりついてきた。


「いっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」


 再度、あまりの熱さに悶える僕。

 そんな僕をくすくすと笑いながら眺め、化け物女は語る。


「その炎は私の意のままに動くの。だから炎ごと体を斬り落としても時間稼ぎにしかならないわよ? 私としては、あなたの苦しむ時間が長くなるだけだから構わないのだけどね。くすくす」 


 この女ぁぁぁ。

 いい気になりやがって。


「ころ……して……やるぅっ――」


 僕は熱さにのたうち回りながらも、化け物女を睨む。

 だが、相手は気圧された様子もなくただくすくすと笑うだけだ。


「ダメね。そこは『こんな炎で俺の意志は砕けはしない』とか言う所よ。私に立ち向かってきた戦士の多くがそう言って奇跡を起こしてきたけれど……あなたはそれにも届かないみたい。あなた……生きてる価値ないわよ?」


 女がパチンと指を鳴らす。

 それと共に、僕の足首に纏わりつく炎の勢いが増した。


「ゴミは灰になっていなさい。あぁ、安心して。あなたの最後は私がきちんと看取ってあげるわ。だからあなたは未練がましく泣いて、騒いで、最後までみっともない姿を見せなさい。その絶望の悲鳴をもって罪なき者を襲った報いとするわ」


「ころし……てやるっ――」


 黒い炎が全身を包む中でも僕は化け物女に殺意をぶつける。

 

「ふふ、それは楽しみ。私を殺せる男が居たら恋してしまいそう。――さて、残念ね。もう少し無様なあなたの姿が見れると期待したのだけど、もうお別れの時間みたい。それじゃあね、えっと……名前、なんだったかしら? まぁいいわ。それじゃあね、私の記憶に残す価値すらない『ゴミ』」


 そして――僕の意識は焼失した――


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