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ラスボス召喚術で異世界最強~剣聖の家に生まれた最弱召喚士は前世の記憶を取り戻し無双する~  作者: small wolf
第一章 少年期 ラスボス召喚編

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第31話『半魔の少女-2』



 ――数分後。

 俺は部屋に戻るなり、少女の目の前に買ってきた『ピザ』を容器ごと置き、



「遠慮はいらん。食え」



 そう言って俺は自分の分も取り出し、食う。

 なんだかんだ、俺も丸一日くらい何も食ってなかったからな。

 これからの事を話すにしてもまず何か食べてからにするべきだろう。


 ちらりと少女の方をみやると――


「………………」


 手を伸ばすことなく、それでもジーっと目の前に置かれているピザを見ていた。

 やがて、少女は意を決したのか。目の前に置かれたピザへと手を伸ばし――俺の方へと押し出してきた。


「要らない……です」


 少女の声から出た初の言葉は、拒絶だった。

 だが、「はいそうですか」と受け取る訳にもいかない。


「いやいや、そこは大人しく食っておけよ。腹が減っては戦はできぬっていうし。お腹、すいてるんだろ?」


「空いてな――」


 そこでタイミングよくなる少女のお腹の音。タイミングはばっちりだ。

 少女は少し恥ずかしそうにお腹を押さえ、言い直す。


「空いてますけど……要らないです」


 お腹が空いていることは認める少女。だが、拒絶の意志は変わらなかった。


「それは……なんでだ? ――――――ああ、いきなり男に連れ込まれて食えって言われてもそりゃ困るか。何か盛ってる可能性もあるわけだし。そこは気を利かせなかった俺が悪いな。すまん」


 よくよく考えれば、少女からすれば俺はいきなり自身を引っ張って自宅(宿屋だけど)に連れ込んだ男だ。警戒しないわけが……ないな。うん。



 そう思ったのだが、俺の謝罪を受けても少女は違うと言わんばかりにフルフルと頭を振っていた。え? 違うの?


「センカ……役立たずの大飯喰らいです。こんなの貰っても……なんにも出来ません。だから……要りません」


「………………」


 自分の事を役立たずとののしる少女。

 俺が信頼できない奴だからとかそういう問題ではなく、単純に自分が役に立たない奴で、何も返せないから施しは受けられない。そういう話らしい。


「はぁ………………」


 確かに、俺はこの少女の『影使い』としての力が欲しいと思ったから強引に連れて来てしまった。

 だが――それとこれとは別問題だ。

 俺は強い口調を意識して――言う。


「いいから……食え。これは命令だ。お前が食わなかったらそのピザは外に投げ捨てる。誰が欲しがろうが、お前が食わなければそのピザはただのゴミとして処理される。俺の使った金を無駄にするな。だから……食え」


「………………」


 そう命令してようやく少女がピザに手をつけた。


「――――――っ」


 一度手をつけたらもう止められないのか。凄い勢いでピザを食べる少女。

 そうして少女はあっという間にピザを食べ終わり、


 ぐぅーー


 まだ食べたりないとでもいうように、少女のお腹がまた鳴く。

 少女は少し恥ずかしそうにしながらお腹を抑えるが……もう既に聞こえちゃってるんだよなぁ。


 ………………俺も結構、空腹なんだけどなぁ。

 とはいえ、お腹を鳴らしている少女を放っておくのはやはり気まずい。

 俺はまだ残っていた自分の分のピザを少女の方に押し出し、


「それも喰え」


 とぶっきらぼうに告げた。


「(ブンブン)」


 手を×印にして絶対に要らないアピールをする少女。

 だけど、そういうわけにもいくまい。


「いいから食え。俺は……少し前に食ったばかりなんだ。これくらいなら入るかと思ったが満腹でもう何も腹に入らない。――だから食え。食わなかったらこれもゴミになるだけだぞ?」


「………………」


 そうして俺が残したピザにも手をつける少女。

 しかし、よっぽど腹が減ってたんだなぁ。


「………………ふぅ」


 満足とでも言わんばかりに自身のお腹を撫でる少女。

 これで少しは落ち着いて話が出来るか。

 そうして話を切り出そうとする俺だったが、


「あの――」


 俺より先に少女が口を開いた。


「どうした?」


 特に話すべき内容が決まっていた訳でもない俺はそのまま少女に会話の主導権を放る。


「さっきは……ありがとうございました」


「ん? 飯の事か? いや、アレはただ余らせてただけだぞ」


「(フルフル)。それも……ですけど……センカを助けてくれた事……です。あのままだったらセンカ……殺されちゃってたかも……です。だから――」


「ああ――」


 なんだ。ギルドでの一件か。

 正直、あまり周囲の事なんて見えてなくて少女の事が欲しいという一心で動いてたからそれを感謝されてもなぁ。


「それこそ気にしなくていいぞ。俺はお前の技能に惹かれただけだからな」


「技能ってこれ……ですか?」


 少女が自身の足元を指さす。

 そこには少女の影があるだけ……。


「ん?」


 いや、影がゆらゆらと動いてる?

 ああ、操影そうえいの技能で自分の影を動かしてるのか。


「それそれ。影使いっていうのはかなり使えるからな。君には俺の手助けをして欲しい。もちろん、無理にとは言わないが――」


「む、無理……です」


 速攻で断られてしまった。いや、確かに無理にとは言わないと言ったばかりであるのだが……。


「そ、そうか。いや、気にしなくていい。あぁ、でもせめて……影使いとしての君の技能をもう少しみせてくれないか? 影に潜り込んだり、影で相手の身体を縛ったり、相手の影を踏んで身動き出来なくしたり……そういうのあるだろう?」


 影を使ったそういう異能……実際に見てみたい。

 これは厨二のロマンなのだ。実際に影を使って戦う所が見たいと思うのは厨二ならば当然の欲求だ。


『ラース……それ全部『リリィ』が出来るじゃない。なんでわざわざその子にさせたがるの?』


 呆れたルゼルスの声が脳裏に響く。

 う、うるさいなぁ。確かにラスボスの『リリィ』も同じような事が出来るけど、それを見るためだけにMPを使って呼び出すのはもったいないだろ?

 彼女、性格的な意味で戦闘に向かないし。



 などと軽くルゼルスとの脳内会話を楽しんでいると――


「あの……出来るの……これだけ……です」


 少女が自分の影をほんのちょっぴり揺らしながら答える。


「え? これだけ?」


 少女の揺れる影を見る。

 本当にただ揺れているだけで、現実に干渉するわけでもない。

 ただ純粋に影が揺れているだけ。何の意味もない行為だ。


「センカ……出来るのこれだけ……です。センカは何の役にも立たないゴミなんです……」


「いや、そんな事は――」


「いい……です。センカが役立たずなのは、センカが一番分かってます。こんな役立たずの為に……さっきはありがとうございました」


 そう言って少女は――センカは立ち上がる。


「お邪魔しました。センカは……せめて、誰の迷惑にもならないよう、一人で生きていこうと思います。では――」


 そう言って宿から出ようとするセンカ。

 俺は――


「え?」


 その手を――掴んだ。


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