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ラスボス召喚術で異世界最強~剣聖の家に生まれた最弱召喚士は前世の記憶を取り戻し無双する~  作者: small wolf
第一章 少年期 ラスボス召喚編

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第15話『不屈の心』


 ――レイナ視点



 審判をしていたレイナは自身の目を疑っていた。


 彼女の目の前にあるのは半透明の板。


 それは、ラースと呼ばれる少年がそのステータスに似合わない動きをしてからレイナが『あれ?』と思って鑑定して出したラースのステータスだった。


 


★ ★ ★


 ラース(ウルウェイ・オルゼレヴ憑依中) 13歳 男 レベル:12


 職業クラス:ラスボス召喚士


 種族:人間種


 HP:5068/5068


 MP:103/上限なし


 筋力:3136


 耐性:3103


 敏捷:3041


 魔力:0


 魔耐:2889


 技能:ラスボス召喚[詳細は別途記載]・MP上限撤廃・MP自然回復不可・MP吸収・不明


★ ★ ★


 いやいやおかしいでしょうが。


 目の前に展開されるラースのステータスに対して突っ込みを入れるレイナ。

 しかし、そこに記載されているものはいくら見ても変わらない。


 Bランク冒険者のテラークをも上回るステータス。

 正直、訳が分からなかった。

 ステータスがこんな短時間で変化する訳もなし。

 しかし、実際にステータスは書き変わっているし、それに沿う戦いも目の前で展開されている。

 

「これがあの少年の隠し玉ってやつなのかねぇ……。まぁ、それでもテラークには敵わないさね」


 Bランク冒険者のテラークすらも上回るラースのステータス。

 だが、レイナはテラークが敗北することはないと踏んでいた。


 その理由が今展開されているテラークオリジナルの魔法――『クーゲル・フラム』


 数多の火球はテラークを補佐するように動く。


 それは、手足が数本増えた以上の力をテラークに与える。

 攻撃においても、防御においても使える火球。


 縦横無尽に動くそれは相対する者にとっては脅威だ。


 確かにラースのステータスはテラークを上回っている。だが、その数値は数百程度上回っているのみ。


 『クーゲル・フラム』を展開したテラークに及ぶ訳もない。

 そう確信していた。


 のだが――



「はぇ!?」



 レイナの眼前にこれでもかというくらい展開されるあり得ない展開。


 テラークが研鑽の末に編み出した固有魔法『クーゲル・フラム』。

 それを――たった一度見ただけのラースが使い始めたのだ。


 しかもラースが生み出した火球の数は明らかにテラークの物より多かった。



「いやいやいやいや、なんなんだいありゃあ!?」


 ここまで来たらレイナも認めざるを得ない。


 あのラースという少年……アレは少年の成りをした化け物であると――



「おいおい、なんだありゃ」

「なんであのガキがテラークのオリジナル魔法を?」


 ざわめく冒険者たち。

 無理もない。テラークの固有魔法はその厄介さからここらでは有名だ。この場で知らない奴は居ない程に。


 それをあっさりと模倣してみせる少年。

 みんなが驚くのも無理はなかった。



「……少年の冒険者登録の準備しよーっと」



 試合の結果がどうなろうと、あの少年は冒険者にすべきだ。あれほどの戦闘力、遊ばせておくにはあまりに惜しい。



「特例でC……いや、Bクラスにはしたいところだけど……上の奴らは頭が固いからねぇ」



 そんな事をぼやきつつ、訓練場からレイナは立ち去るのだった――


 その後、訓練場で何が起きるのかも知らずに。


★ ★ ★


「どうした? もう終わりなのか?」


「クソッ……」


 勇敢に己へと向かってきていたテラーク。


 だが、悲しいかな。彼のそれは蛮勇だった。

 ただただ同じことを繰り返すのみ。『クーゲル・フラム』という魔法に頼るだけの愚かな突進を繰り返したのだ。


 それでは、ダメだ。

 そんな既知では己は倒せない。


「ハッタリじゃねえ……。てめぇ……なんで俺の魔法を扱えるんだよっ!?」



「さっきも言ったであろうが。これはただの『模倣』だ。己は不器用でな。新たな何かを生み出すことが不得手でこればかりが得意になってしまった」


 肩をすくめて己自身を不器用と評する。事実、その通りだ。

 己は数多の人間たちとは違い、どうしても未知を生み出すことができない。


 だからこそ己は……未知を生み出す人という種に憧憬の念すら覚えるのだ。


 ゆえに――


「さぁ、もうその魔法が己に通用しないことは理解できただろう? ならば頭を回せ。策略を巡らせろ。そうして未知を創造するのだ。そうしてこの『試練』を乗り越えるがいい。案ずるな。貴殿が覚醒するまでいくらでも付き合ってやる」


 この男ならそれが出来ると己は信じる。


 この男ならまだまだ強くなれると己は信じる。


 この男なら数多の未知を紡ぐ事ができると己は信じる――




 信じる――信じる――そう、信じているのだ――



 



「参った……俺の……完敗だ」



 そうしてその場に膝をつき、項垂うなだれるテラーク。


「む?」


 今、なんと言った?

 まだ立てる力があるというのに……このテラークはただ無意味な突進が通じなかったというだけで諦めるというのか?


 己は――激しく苛立った。


『あーあ』


 脳裏に響くルゼルスの声。

 だが、そんなものに構う余裕すらない程に己は怒っていた。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ! この程度で音を上げるというのか!?」


「ふぁっ!?」


 膝をつき、休んでいたテラークが驚いた顔をしてこちらを見つめていた。

 そんな奴の首根っこを掴み、間近で叱責する。


「貴様は『冒険者』というものだろうが!? 冒険者とは人類を魔物という脅威から守る戦士であろう!? そんな戦士がこの程度で音を上げるとは何事かぁ!!」

「ぐえぇっ――」



 ギリギリとテラークの首を締めあげる。


 戦士がこんな早々に諦める事など――絶対にあってはならない。


 無辜むこの民を守るのは戦士の役目だ。その戦士が諦めてしまえば、無辜むこの民に絶望が広がる。


 人という種は美しく、尊いが……同時に脆い。

 絶望は簡単に広がる。それが蔓延まんえんしきってしまえば人類に未来はない。魔物という外敵が居るのならば尚更だ。


 だからこそ、彼らを絶望させない勇者が必要なのだ。

 そんな勇者たらんとすることが戦士、または騎士の役目。


 だというのにこの男は……この程度で屈するだと!?


 己はテラークの首から手を離し、地面へと放り投げる。

 奴は「げほっげほっ」と必死に息を求めながらもこちらの様子をうかがっていた。


 その顔には――恐怖の色があった。


「テラークよ。貴様、己に恐怖したな?」


「あ、いや――」


「良い。それについては責めぬ。むしろ喜ばしい事だ。恐怖を知り、それを乗り越える事で人という種は進化してきたのだからな」


 ゆえに、己の役割はこれだろう――


「となれば……貴様が乗り越える壁として立ちはだかる事こそが己の役目だろう」


「は?」


 何を言っているのか理解できぬといった様子のテラーク。

 こやつ、腕は確かだが頭の方はそれほど優秀ではないようだ。

 己は分かりやすく言い直す。


「分からぬか? 貴様が進化する手助けをしてやろうと言うのだ。まずは絶対に諦めない不屈の心というものを貴様には叩きこんでやる」


「ちょっまっ――」


「さぁ、立ち上がるがいい。貴様が立とうが立つまいが己は魔物のごとく執拗しつように貴様を虐めぬいてやろう。さぁ――特訓の開始だ!!」


「いや、ちょっ、そんなの望んでな――イヤァァァァァ」


 そうして己はテラーク(のおもにその軟弱な精神)を鍛えに鍛えまくった。



『ウルウェイ・オルゼレヴ――自身を卑下し、他者を盲目的に信じる怪物。人という種を信仰する狂信者と言うべきかしら。なんにしろ、そんな彼だからこそ相手を殺す事はないでしょう……多分』



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