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ラスボス召喚術で異世界最強~剣聖の家に生まれた最弱召喚士は前世の記憶を取り戻し無双する~  作者: small wolf
第三章 亜人国編

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第7話『シエルの手伝い』


 ――スプリングレギオン(亜人国)、とあるダンジョン付近



 現在、俺たちはライカンスロープ種の族長シエルの手伝いをしていた。

 なぜそうなったのか、簡単に説明しよう。


 俺達はスプリングレギオンの王様に会う為、王様に近しい地位を持つエルフとやらをシエルに紹介してもらうつもりだった。

 しかし、そこでシエルが一つの条件を提示したのだ。

 

「私、この後野暮用で外に出なきゃいけないんですが、それに付き合ってくれるならエルフの村までご案内しますよ? 私の用事が早く終われば終わるほど良いですねー」


 遠回しに目的を果たしたいのなら自分に付き合えと言うシエル。

 しかし、何に付き合えばいいのかと思って聞いてみればなんてことはない。スプリングレギオン内の街道に出没する魔物の駆除に俺たちの手を借りたいとの事だった。


 どのみち俺はMPの関係上、多くの魔物を狩らなければならない。

 なので、シエルにうまく使われているようで少ししゃくだったが、別に断る程でもないかと俺たちはシエルに付き合う事にしたのだ。


 そうして今現在、俺たちは現れる魔物共を片っ端から狩りまくっている訳なのだが――



「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」


 響く爆音。そして衝撃。

 そんな派手な戦い方をするのは俺たちの中じゃルゼルスくらいのものだ。

 しかし、彼女は今回戦闘には参加していない。センカの成長を測るためと言って先ほどからセンカと付かず離れずの距離でセンカの戦い方をチェックし、ちょくちょく口を出すのみだ。


 ならばこの豪快な戦い方をするのは誰か?

 俺はその豪快に過ぎる戦いが繰り広げられている中心を見る。


 そこには――自身と同じか、それ以上に大きな大剣を軽々と振り回すシエルの姿があった。

 それは、豪快としか言えない戦い方だった。

 シエルはその巨大に過ぎる大剣で現れる魔物を粉砕していく。

 そう――粉砕しているのだ。踏みつぶしているのだ。剣なのに、斬るよりも潰す回数の方が圧倒的に多く見える。


「だぁらっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!! うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その雄たけびも含め、まさに獣。常時の彼女からは考えられない。

 まさにライカンスロープ。まさに獣達を統べる王。なるほど、確かに今の彼女はそれにふさわしい。



 そうしてシエルを含む俺たちは魔物を狩りながら進み、着いたのが――地下に続いているダンジョンだった。


 それを見てふと思う。そういえば……今日の戦闘を思い返すと、この付近に近づいてから魔物が数倍強くなっていた気がするなぁ……と。


 これは……おそらくそうアレなんだろうな。

 地下に続くこのダンジョン。これはおそらくアレイス王国ではもう滅多にお目にかかれない『魔物を生むダンジョン』というやつだ。

 という事は、ダンジョンの主がこの辺り、おそらくはこのダンジョンの最深部に居るはず。


「この中から魔物が沢山湧いているみたいです。みなさん、突入の準備はいいですか?」


 大剣を担いだシエルが最終確認と言わんばかりに俺たちに尋ねてくる。

 ああ、準備はいいぞ?

 だが――


「いや待て」


 俺は我先にと先陣を突っ切るシエルの肩を掴み、無理やり引き留める。

 

「色々と展開が早くて突っ込みが遅れたが……まず、あれだ。ここ(ダンジョン)までほぼ一直線で来た訳だが……シエル。お前はダンジョンやその主について知っていたりするのか? それと……そうだな。魔物って生物がどうやって生まれているのか。そこら辺の事をお前は知ってたりするのか?」


 ここまで俺たちはシエルの案内の元、無駄な道など一切通らず真っ直ぐにこのダンジョンまでたどり着いた。

 偶然と言われればそれまでだが、そんな訳がない。


 ダンジョンを単騎で制圧できそうなシエルが、同じくダンジョンを単騎で制圧できるであろう俺たちを連れて適当に選んだ道を一直線に進み偶然ダンジョンまでたどり着く?

 あり得ない。



 俺たちの力を知っていて、なおかつダンジョンについても精通しているシエルが万が一に備えて俺たちをここまで誘導した。

 そう考えた方が自然だ。


 さて――

 そうして俺たちをここまで誘導してきたと思われるシエルは俺の疑問に対してどう答えるか?



「え? あ~。えっと……えぇ。そこら辺のあれこれについては知ってますよ? 一般には知られてはいませんけどね。私はちょっと特別なので嫌でも色々と知ってしまうんです」


「特別?」


「はい」


「……ちなみに特別っていうのは具体的にどういう?」


「ん~、そうですね~。……いや、やはり止めておきましょう。シエルのキャラではな……こほん。私は恐ろしいほどの説明下手で面倒くさがりのチャーミングな美少女ですからね。なので、そこら辺の事情に関してもエルフさんから聞いて欲しいです。彼女は私以上の事情通ですから。このダンジョンの攻略が終わったら必ず彼女の元に連れていきますからそれまでは何も聞かずに手伝って欲しいです。ダメ……ですかぁ?」


 うるうると瞳を潤ませ、なぜか屈んで下から俺を見上げるシエル。

 いわゆる上目遣いというやつだ。


 それを見て『うっ』と呻き声を上げる俺――ではない。

 確かにとても可愛らしいのだが、どうにも違和感があって集中できない。

 あざといのは確かだ。だが、それ以上に何かが違う。


 幸いと言うべきか、何かを企んでいる気配こそ感じるが、そこにこちらを陥れようとする奴特有の邪気を感じない。


 この場でシエルを問い詰めるかどうか……少し悩む。

 俺はシエルの事をかなりダメな奴だと思っているが、それは別に嫌っているという訳ではない。

 むしろ好ましいとすら思っている。話しやすいし、先ほどの豪快かつ華がある舞踏には魅せられたからな。


 そうして考えた末に……俺はひとまずシエルを泳がせることにした。

 

「はぁーー。分かったよ。深くは聞かない。そもそも、チェシャに関しても似たような感じで後回しにしてるわけだしな。それに比べりゃすぐ後で他の誰かが教えてくれるって言うんだからいいだろ」


「っしゃぁ!」


 さっきまでの儚げな雰囲気を霧散させ、小さくガッツポーズをとるシエル。

 やはりさっきのは演技だったようだ。いや、あざといのは間違いなかったから確信してたけどな。


「それじゃあちゃっちゃと片づけちゃいましょうか」


 そう言ってダンジョン内へと足を踏み入れようとするシエルだが――


「またまた待て」


 俺は再びそれを止める。


「どうかしました? まだ何か聞きたいことでも――」


「いや違う。そうじゃない」


 まだ何か聞きたいことでもあるのかと口を開きかけるシエルにそうじゃないと否定で返す。

 確かに疑問は色々とあるが、それらは全部まとめてエルフの誰かさんとやらに聞くと決めている。

 だから、ここで彼女を止めたのは何かを聞くためじゃない。


 ただ――先がつかえているなら手っ取り早く済ませようと、そう思っただけだ。



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