【9】デート①
多分今週は少し多めに投稿できる…できると良いなぁ
強面との一件が終わり、電車には乗らず駅近くの公園のベンチに座り、俺たちは少し話すことにした。
「ゆ、遊ちゃんさっきはありがとう」
「いや、俺は何もしてないですよ」
「ううん、遊ちゃんは助けてくれたよ。いつも私が困っていると助けてくれるんだ」
「いや、俺そんなかっこいいことしたことないですよ」
「遊ちゃんがなんと言っても遊ちゃんは私のヒーローだよ」
「ヒーローだなんて大げさだよ……ってそーいえばあき姉はいつからあそこに来てたんですか?」
「えーっと……確か10時くらいだったかな」
「10時!?めちゃくちゃ早くないですか?」
「たまたま早く起きて、たまたま早く準備して、たまたま早く家を出たらあんな時間に着いちゃったの」
「あき姉、それはたまたまとは言わないんですよ……」
あき姉は「えへへ」といいながら頬を人差し指で掻きながら笑っていた。この人に時計を見たりしないのだろうか、俺なら普通に二度寝、三度寝はするだろう。それからあき姉は空見上げ、何かを思い出したように「あ!」と言った。
「遊ちゃん!」
「は、はい!何でしょう……」
「それ禁止」
「えーっと……それとは?」
「敬語!ついでにあき姉呼び禁止!」
「いや、そんな急に言われても無理ですよ」
「ふ~ん、無理なんだ?さっきは呼び捨てにして普通にタメ口で話し掛けてくれたのに?」
あき姉は脚を組み、その上で頬杖をつきニヤニヤしながら俺を見てきた。
「ほら、あの時は」
「あの時は、何?」
「わ、わかりま……わかったよ、これでいい?」
「んー、とりあえずそれで良しとしてあげますか」
「んじゃ、秋音どっか行くか」
「へ……?」
「え?」
「ちょ……ちょっと待ってね」
そう言うと秋音は顔を向こうに向け、両方の手のひらで顔を仰いでいたが、今日はそんなに暑かっただろうか?しばらく、んーと言い顔を触り「まだ、熱いな……」と言い、また手のひらで仰いでいた、その行為をしばらく続けて「よし!」と言うとこちらに振り返った。
「よし、遊ちゃん行こっか」
「何事もなかった様に済ませてるけど、さっきの時間は何だったんだ?」
「ん~何のことかな?」
「いや、絶対なんかあっただろう!」
「い、いや何もないから!」
「さっきから目が泳いでるから丸わかりなんだよ!」
「そ、それは……遊ちゃんが」
「ん?俺が……?」
「私の名前を呼んだからよ!!!」
「アンタが呼び捨てで呼べって言ったんだろう!!!!」
何を言ってるんだろうこの人は自分で呼び捨てで呼べと言っておいて、いざ、呼んだらコレかよ……無茶苦茶だな。
この人は昔からこんな感じだったな、高校の時は自分から姉のように呼べと言われて、今は理不尽にキレられている。
「じゃ、なんて呼べばいい?」
「呼び捨てでいいわよ!!」
「だから、なんでキレてんだよ!」
「キレてないわよ、もう!(遊ちゃんがいきなり呼び捨て&タメ口で話すなんて思わないじゃない……)」
「ま、まぁ……秋音って呼んでいいんだな?」
「……う、うん。呼んでほしい」
「わ、わかった」
あまりにももじもじしながら言うものだから不覚にもドキッとしてしまった。いや、上目使いはズルくない?こんなに可愛い人が上目使いにもじもじした仕草してたらドキッとするわ……
「そーいえば遊ちゃん、デートでは定番イベントだと思うし、あまり自分で聞きたくないんだけど今日の私を見て何か気づくことはない?」
秋音はベンチから立ち上がり、少し歩きスカートをクルッと翻し少し照れながら遊里を見つめた。
「はい、そりゃもう!」
「うん、そうだよね。じゃ何かな?」
やべぇ、なんだよデートの定番って服を褒める的なそういうやつか?
確かに今日の秋音の服は正直めちゃくちゃ可愛いし、秋音の大人っぽさを増すような魅力で、俺好みの服だ。が、褒めるのはここかそこでいいのだろうか、顔か?顔だった場合はどう褒めたらいいんだ!?化粧バッチリ決まってますね!とか言うのか?いや、分からん!どこだ、どこを褒めたらいいんだ……多分服だろう、服であってくれ……!
「服すっげぇ、大人っぽくてめちゃくちゃ似合っててドキドキします」
「ふ、ふ~ん、そっかぁ~ドキドキしてんだ。そっか、そっか~えへへ」
ふぅ……良かった。どうやら正解だったみたいだ、マジでよかった……
とりあえず、デートを始めますかね。
「色々あって疲れただろうし、ご飯でも食べない?」
「そうだね、正直言うとお腹空いてたんだ」
それから俺たちはご飯を食べに行き、洋服を買いに行ったり、ゲーセンに行ったりして秋音と俺のデートは順調に進んでいってた。
次でデート回は終わりです!多分!