【7】玉村家と約束前夜
毎週火曜に投稿と言っておきながら全然できてなくて本当に申し訳ありません……少し書く環境が出来たのでなるべく投稿を遅らせないようにするので離れず読んでいただけると嬉しいです<(_ _)>
自分の部屋で秋音はベッドに横たわり、スマホのカレンダーアプリと遊里とのメッセージのやりとりを交互に見ていた。
うわぁ……明日だ、明日なんだ!
何度スマホで確認しても今日は金曜日で明日は土曜日だ、この日が楽しみ過ぎて一週間がとても長く感じた。ベッドから置き上がりテーブルの上においてあるメイク用の鏡を眺めた。
「ん~どうしょう、えへへダメだ」
何度確認しても鏡に映る自分の顔はニヤけていた。
自分の頬をひっぱたり押したりしたが、何度試しても自分の顔はニヤけた顔になってしまう。
「んー明日か、明日なんだよね。えへへへ」
明日のことを考えていると部屋のドアが開かれた。
「姉ちゃんさっきから気味悪い声が聞えてきてすげぇ不気味なんだけど?」
弟の和斗が私の部屋にため息まじりに入ってきた。
「ちょっと和斗!部屋に入るときはノックしてよ!」
「したよ!したけど気味悪い笑い声しか聞えてこないんだよ、てか何でそんなにニヤけてんの?」
どうやら明日のことを考えすぎてノックの音すら聞えてなかったらしい、そしてやはり顔のニヤけが取れてなかったみたいだ。
「う、うっさい!和斗には関係ないでしょ!」
「あ!もしかして姉ちゃん明日か?」
和斗はニヤニヤしながら私に聞いてきた、コイツ絶対にわかってて聞いてるな?
「明日って何が?」
「またまた~そんな風に隠そうとしてもそんな顔してたらバレバレ」
悔しいが、どうやらこの弟には何もかもお見通しらしい。
「でも、デートが楽しみだからって眠れないとか明日の服どうしょうとかで徹夜したりしないようにな~」
「そんなことしないわよ!……ん?」
「どうしたんだ?」
服?明日の服?んー明日の洋服……どうしょうなにもカンガエテナカッタ。
「ちょっと和斗あんた遊ちゃん好みとか知ってるよね?」
「まぁある程度なら……ってまさか服のこと考えてなったとかないよな?あんだけワクワクしてそんな大事なことを考えてなかったとかないよな?」
「だ、だって……デートとか行ったことないし」
「は!?ない?一度も?」
「ないわよ!悪い!?」
「い、いやアイツのこと好きなのは知ってたけどここまで一途だったなんてな……」
それから和斗はしばらく考え、「どうせなら……ここでアイツに……意識させる……」と聞えないくらいの声でぶつぶつ言った後にイタズラを思いついた子供ような笑みを浮かべ、こう言った。
「しょうがないなぁ、わかった俺も協力するか」
「ほんと!?やったぁ!ありがとう!大好きよ~和斗」
それから1時間ほど和斗と明日の洋服について相談した。
しばらくして何かを思い出したかのように和斗は「あ、忘れてた」と言い、私の部屋から出て下の階のリビングに向かっていった。
すると下の階からバタバタ足音が私の部屋まで近づいてきた。
「ねぇ!秋音アンタ明日初デートってほんと!」
そこには満面の笑み母がいた、そしてその後ろにはニヤニヤした和斗がいた。
「大事なことだと思ったからよ、母さんにも伝えておかないとなって思ってよ」
「何でお母さんに言うのよ!!!」
「秋音ったら~こんな面白いことをお母さんに黙っておくなんてひどい娘」
「だって、お母さん絶対に茶化してくるんだもん」
「違うわ、お母さんは二十歳過ぎてデートに初めて行く娘を心の底からニヤニヤして後をつけ回したいだけよ!」
「それ余計タチ悪いんだけど!?」
「母親ってのはね子供の恋愛事情に首を突っ込みたくなるものなのよ!」
「娘的には放っておいてほしいんですが……」
「それで相手は誰なのよ?」
「お、教えるわけないでしょ」
「ふ~ん、和斗誰なのかしら?」
お母さんは私から答えが得られないことを最初からわかっていたかのように弟の和斗にニヤニヤしながら聞いていた。
「遊里だよ、てかそれ以外いないんじゃねぇかな」
「おい!バカズト、姉の許可なく言うんじゃない!」
その答えを聞いてお母さんは目を丸くして驚いたような反応をしていた
「あれ遊里くんは彼女がいたんじゃなかったかしら」
「別れたんだよ、ちょいと前にな」
「あら、そうだったのね、私の娘だからてっきり略奪するものなのかと」
……なんか今すごいこと聞いたような気がするな?
「ちょっと待って?お母さんとお父さんってそんな恋愛だったの?」
「まぁ、私とお父さんの馴れ初めなんていいのよ。秋音明日は楽しんでらっしゃい!」
そう言うとお母さんは「今日はお赤飯にしなきゃ!」と言いながら部屋から出て行った。
「ね、ねぇ和斗、お母さんの話知ってた?」
「知ってるわけないだろ……」
とりあえず、今はお母さんの話は忘れることにした。
その日のご飯は本当にお赤飯が出てきた、それにトンカツが出てきたのだった。お母さんは常にニヤニヤし、お父さんは「なぜ、赤飯……?」と言っていた。
私は結局緊張であまり寝ることができなかったのだった。
個人的に玉村家はかなり好きです