【38】遭遇
なんだかんだその後も仕事のことや最近気になった事を話すと時間になった。
時間はまだ19時半過ぎだったこともあり、ここで解散するかを相談しようとした時にポケットの中に入れてたスマホが震えた。
仕事の癖でもあり連絡があったりするとすぐに見てしまうような癖が出来てしまったため、俺はスマホを取り出し画面を覗き込んだ。
『あまり長居はするな、その先危険』
と意味わからん文が和斗から来てた。
俺は思わず『どういうことだ?』と返すと、既読はすぐに着いた。
『隣荒ぶる化身』とだけ意味不明な文が来た。
もういいや。と思い俺はスマホをポケットに入れて先輩の方を見た。
先輩もスマホを触ってるようだったので少し待つことにした。するとスマホの画面をこちらの方に向けてきたので画面を見た。
画面を差し出して「次はここ」とだけ言った。
そこにはカラオケの予約がされてた画面だった。
「カラオケですか。あまり最近行ってない気がします」
「そう!私もなんだよ!」
少しほろ酔い状態で行くカラオケは楽しいのはわかるし、時間も時間だし行くのは大賛成。……そう大賛成なのだが……。さっきから通知が何故か止まらない。
恐る恐るスマホを取り出すと和斗から着信画面だった。
さすがに無視するのも後が怖かったのもあり、先輩に一言「ちょっとすみません」と言い応答をタップした。
「なんだよ、今から……『馬鹿か!お前早く帰れよ!』」
カラオケに行くことを伝えようとすると鼓膜が破れるんじゃなかろうかという鬼気迫る声で俺の声に被せて来た。
「うるさいな、なんだよ」
『早く帰れ!今何時だと思ってんだ』
「まだ19時半だろ。てか俺は子供か?」
もう成人済みの大人が同い年のやつにここまで言われると流石にこうも言いたくなる。
『この際子供でもなんでもいいから今日のところはとにかく帰ってくれ』
「いや、もう先輩と次行くところ決めたし、流石にそれで帰るのは無理があるだろ」
『頼むよ……親友の頼みと思ってよぉ。じゃないと姉ち……』
と言葉の途中で通話先からゴンッと鈍い音が微かだが聴こえてきた。
「ちょっ……どうしたんだよ」
『……』
無音だが、少し耳を澄ますと誰かが怒鳴りあってるのがわかる。少しすると何も聞こえなくなってたから画面を見ると通話終了の文字になってた。
「なんだったんだ……?」
いや、今はそんなことより先輩のところに戻ないとと思い元いた場所に戻ろうと振り返ると先輩が立ってた。
「すみません、先輩お待たせしました」
「ううん、そんなに待ってないけど……誰からだったの?」
「友達からですね。理由はよく分からないんですけど、早く帰れとかなんだとか」
「……帰る?」
なぜかわからんが先輩がすごく落ち込んでるように見える。ここで変な不満を抱かせたまま解散させる今後の俺にどう響くかわからんな……(主に仕事面で)
ここは和斗の忠告なんて聞いてる場合じゃないな。
「何言ってるんですか、盛り上がるのはこっからでしょ」
先輩はそう言うとハハと笑った。
「だよね。さすが自慢の後輩だ」
「でしょ?カラオケで対決して負けた方が支払いしましょうか」
そう言うと先輩は「お、いいね!」と言い親指をグッと立てた。
それから先輩と俺はカラオケに着くなり、歌いまくる。そう歌いまくる予定だったのだ。
酒が入ってることもあり、喉にはかなり負荷がかかっており、喉がすぐ乾き上手く声が出なくなってた。
「せ、先輩?なんか声出にくくないですか?」
と俺が問うと、先輩はあっけらかんな顔をしていた。
「私にお酒にも強いみたいだし、なぜかそこまで喉も痛めないみたい」
「流石っすね……先輩」
結果は言うまでもなく、俺の負け……という訳でもなく2人とも同じ結果の89.3点という特に面白味のない点数のまま2人ともその点数を超えることなく時間は流れていった。
「喉は流石に痛くなってきたけど、点数が上がらない……」
「喉も痛いし、声も出ないし、そのせいで点数も上がらない……」
「よぉし!一旦休憩!」と先輩は言ったので、俺は間髪入れず賛成!と頷いて、それと同時にトイレに行くことにした。
酒を飲んだ後にカラオケでも酒を飲んでいたためかトイレがやたら近くなってた。
少し我慢していたせいもあって急ぎ足になっていたこともあってトイレ付近で人とぶつかりそうになった。
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ」
とここまでお互い顔も見ずに反射的に言ったこともあり、誰とお互いぶつかったかはまだ知らなかった。
顔を上げるとお互い「は?」と言った。
なぜか先程電話で帰れ帰れと言っていた玉村 和斗がそこに居た。




