【37】変わらぬ関係
「あ、先輩こっちのタンいい感じですよ」
そう言い俺はタンを先輩の皿に置いた。
「ちょっと後輩くーん?今先輩の愛の告白が聞こえなかったのかな!?」
そう言いながら先輩はテーブルをバンバンと音を立て叩いていた。
「さっきの告白だったんですか……ただの独り言だとばかり」
いやだって、君がいるじゃんって言われて付き合う付き合わない。なんてならなくないか?なるのだろうか……よく分からなかったからとりあえずはぐらかしたけど。
「ま、まぁ確かに?告白と言われればそうとも捉えられるし、そうじゃないとも言えるような言葉だったのは否定しないけど……」
本人もわかってないのかよ……
「思いつきで言ったようなものなら聞かなかったことにしときますよ」
そう言いながら俺は焼けた肉を自分の皿へ置いた。
チラッと先輩の方を見てみるとジーッとこちらを見ていてその目と合い思わずドキッとなる。
なにか考えているのかそれともただ単にボーッとしてるだけなのか。
何はともあれ上司と部下でこういう雰囲気はいちばん良くない。変にお互い意識して仕事にまで影響しかねない。
あとは時間が来るまでテキトーに飲ませてワイワイして済ますしかない。
「ささ、先輩次はどれを飲みますか?」
丁度グラスも空いてたからメニュー表を先輩に見せた。が何も反応がない。
「先輩聞いてます?先輩?」
どうやらまだボーッとしてるようだったのでとりあえずメニュー表を左右に揺らしたり、強く呼びかけた。
「うるさい!さっきから何!?聞こえてるんだけど!」
「すみませんねぇ、聞こえてるなら返事してもらわらないとこっちもわかりませんので」
「可愛くない後輩なんだから!」
そう言うと先輩はそっぽを向いた。
「それで何?」
あれ、おかしいな?聞こえてたんじゃないですかね?
と、こんな疑問はぶつけるだけ時間の無駄になると分かってるから大人しくもう一度言うことが1番だ。
「先輩次何飲みます?」
先輩は口を尖らせながら「レモン」とだけ言った。
俺はすぐ店員を呼び、先輩の飲み物と自分の飲み物を頼んだ。
「それで何をそんなに考えてたんですか?」
「本当に告白したらあなたはなんて返すのかなって」
「ハハハ、それは随分とユニークな質問ですね」
最低かもしれないけど、ここは笑って誤魔化すしかない。まぁ……そんな事この先輩が許すわけないと思うけど。「真面目に答えなさい」と先輩はトングをこちらに向けてきた。ほらな。
「それはとても魅力的な話なのでその時は真剣に考えるでしょうね」
秋音の事や俺自身の今の状況もあるからすぐに付き合う付き合わないでの返答は難しいだろうな。
「ふーん、まぁ君らしくていいんじゃない?」
「なんですか、その反応」
「べっつにぃ!」
「まぁまぁそう怒らずに今肉食べましょう。ほらこっちのハラミも良い感じですよ」
「そうやって肉で誤魔化すなぁ!……食べるけど」
先輩はそう言いながらタブレットを触り、ライス(中)を注文してた。




