【32】和斗、姉に振り回される②
いつぶりかな、翌日に次の話が出せるなんて…
『拝啓、家で韓国ドラマか撮り溜めしてるドラマを観てるであろうお母様へ
貴女の娘は恋愛面に向きまして頭がおかしいのかな?って思うレベルで(主に悪い方向に)急成長を遂げております。
今まで恋愛という分野において成長が止まっていたせいなのでしようか?
この件につきましてはお父様も交えて是非話し合いをしたいと思っております。』
などと変なことを頭で考えてしまうくらい今の状況は頭がおかしい事態であると思う。
考えて見てほしい自分の身内が急に背後に立ち泣き喚く姿を。しかも店内でな?
うん。恥以外の何ものでもないな。
ここではさすがにと思い、俺は周囲に頭を下げながら姉を引っ張りながら店を出ることにした。それから俺たちは少し歩きさっきまでいた駅の近くに行き、ベンチに座ることにした。
「はぁ……とりあえず話を聞かせてくれ」
「……うん、わかった」
姉は鼻を少しすすりながら話し始めた。要約するとなんだかんだ先輩と変な男がゴチャゴチャして、それを見兼ねた遊里は仲裁として入ったつもりが何故か恋人という役になって、なんやかんやでデートに行ったらしい。意味がわからないことだらけであまり関わりたくないけど、どうやったらそんな厄介事に巻き込まれるんだよ……。
「んで、姉ちゃんはどうしたいんだよ」
「私は今遊ちゃんの今の気持ちを……尾行りたい」
うん?なんか少しおかしかった気がするけどこの際気にしちゃダメな気がするからスルーしとこう。
「そうか……。んじゃ、頑張ってくれ」
ここで引いておいた方が絶対にいい、姉とこれ以上関わるとろくな事にならないと思い、ベンチから立ち上がり、その場を去ろうとした。
「うん。行こうか?」
先程まで隣で鼻すすりながらグズってた姉だったが、今は『テメェどこに行こうとしてるんだよ』と言わんばかりに俺の前に立っている。
「あ、あー!悪いな姉ちゃん。俺この後予定が……」
「ないよね?」
「え……?」
「ないよね?」
「いや……あのちょっと……」
「ないよね?てかあっても無いことにしなさい?」
え?何そのパワーワード……すげぇ怖いんだけど。
いやまぁ……確かに今日は何も予定ないけど、さすがにと言うよりこれ以上厄介事に関わりたくねぇ!!
「実はこの後会社の方に……」
とまで言いかけたその時だった。
「ウソはついても無駄だからね?確認は取れるから」
と言い姉は持っていたスマホの画面を俺見せてきた。
その画面には俺の上司である人の連絡先が何故かあった。
「あ、あー!そーいえば今日は何も無かったわ!うん!今日めちゃくちゃ暇だったなぁ!」
こっっっっっわ!!!!え?この姉はなんで弟の情報を知ってんの?怖いんだけど?てか、なんでそんな連絡先持ってんのかなぁ……?
「あぁ?これ?」
姉はそんな俺の考えを見透かすように姉は俺の疑問に答えるのだった。
「アンタ歓迎会とか、忘年会とか色々な飲み会でベロンベロンに酔って帰ってくるじゃない?その時に『ご迷惑お掛けして申し訳ございません!連絡貰えれば迎えに行きますんで』って言って何人かゲットしたのよ」
「あぁ……なるほど」
今度から飲み会は水を常備しておこう。必ず。
「アンタが私を騙そうなんてできるもんじゃないんだから諦めなさい」
「はぁ……そうみたいだな」
いつか遊里の名前出して困らせてやろう。
「それで、これからどうするんだよ。何かアテがあんのか?」
「はぁ?」
え?何そのアンタなんで分からないの?みたいな顔してるの?
「え?何?俺今聞いただけじゃん」
「なんでアンタここにいると思ってんの?」
「今、目の前に居る姉貴のせいですかね」
そう言うと姉はニコッと笑い、俺の脛を蹴った。
「痛ってぇ!何すんだこのバカ!」
「バカはアンタでしようが!アンタが遊ちゃんにそれとなく聞くのよ。少し考えたらわかるでしょうが」
「微塵もわからねぇよ……てかそのくらい姉ちゃんがしたらいいんじゃねぇか?」
「バカね、そんなことしたら遊ちゃんから『え?なんでこんなに聞いてくるの?もしかしてつけられてる?』とか思われるでしょ?最悪ストーカーとかも思われるかもしれないでしょ」
「ははは、姉ちゃん何言ってんのさ。全くもってその通りじゃないか」
また脛を蹴られた。痛ってぇ……。
「え?何さっきのネタとかじゃなかったの?」
「私はいつでも真面目よ」
ダメだ……和斗堪えろ。笑うな。「真面目に考えてストーカーに行き着くのは末期だよ」なんて言っちゃダメだ。笑うな。頑張れ俺。
「とりあえずわかったよ、それとなく遊里に聞いてみるわ」
「うんうん!持つべきは有能な弟ね」
「ったく、調子がいいんだからよ」
こうして俺は姉と面倒な休日を過ごすことになった。
また明日会えたら会いましょう




