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もう一度恋をしてみたい。  作者: 種有 小粒
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【24】先輩と告白

俺は先輩から連行され、会社近くの居酒屋に来ていた。


「それで何用ですかね」


「いきなり本題から語るのは面白くないでしょ?」


先輩は「ふふふ」と笑いながらどこか俺を小馬鹿にするように言った。


「いやいや、何言ってんすか。早めに本題に入らないとお酒入ったらどうなるかわからないんですし」


「全く、先輩をバカにしすぎだよ。大丈夫、大丈夫女は強いと相場が決まってるのだよ」


「意味がわからないので、とりあえず話してもらえますか?」


「あ、コラ!少しは先輩を信じなさい!お寝坊さん」


「そう言われると今日は強くは出れないッスね……」


「うむうむ、分かればよし」


そう言うと先輩は自分たちのテーブルの横を通っていく店員を呼び、お酒とおつまみ諸々を頼んだ。


「まぁまぁ細かい話は酒が来てからでいいでしょ?せっかく居酒屋に来てるのに飲まずに話したらココに来た意味がないじゃない」


「まぁ……それもそうですね」


「まぁほんとこの前言ってたように今週の金曜に話そうとは思ってたんだけど、早めがいい気がしてね」


「てことは、かなり困った系の相談ですかね?」


「そんなとこだね。そんな時たまたま君が今日寝坊してるもんだから、丁度いいやって思ってね」


「そんな所だろうとは思ってましたけど……」



「失礼します!」


その時店員がやって来て、さっき注文してた焼き鳥、枝豆と酒を持ってきた。


「お!キタキタ、仕事終わりの酒は良いね良いね!」


「先輩テンション上がりすぎでしょ、それに明日仕事なんですから飲みすぎないようにして下さいよ」


「ん、大丈夫だよ?」


「大丈夫?大丈夫ってのは……?」


「明日休みにしといたから」


「は?」


「だから、明日は休みにしたの。私と君を」


そう言いながら先輩ニコッと笑い自分と俺を交互に指さした。


「ね?大丈夫でしょ?」


「いやいやいや、なに部下の貴重な休みを使ってるんですか!」


「まぁまぁたまには先輩を助けなさいよ」


基本困った事や面倒事はこの先輩に相談してなんとかやってたからこの人に頼まれ事となると俺も頭が上がらない。


「別にこれといって休んでも用なんてないんで、構わないんですけどね」


「彼女が居ないものは悲しいねぇ〜」


そう言い、先輩はニヤニヤしてた。


「今自分のことはいいんですよ、それよりもそこまでした先輩の悩み事の方が気になります」


「よし!とりあえず乾杯と行こうか!カンパーイ!」


そう言い半ば強制的にジョッキを握らされ、ジョッキとジョッキがぶつかる心地の良い音がした。


「どんだけ飲みたかったんですか……」


先輩は乾杯するとそのままジョッキに口を付け、中に入ってた半分くらいを飲んだ。


「くぅ〜、美味い!」


そう言うと焼き鳥や枝豆を自分の取り皿に移した。


「とりあえずお疲れ様です」


そう言い俺もジョッキに注がれてたビールに口をつけ、枝豆を数個取り、口の中に入れた。


「いつからなんだろうね、酒を美味しく感じるようになったのは」


「学生の頃はそうでもなかったんですけどね、会社に入って気づけば飲むようになってましたね」


「んー、私は学生の頃からある程度飲んでたかな」


「おつまみ類は小さい時から美味しいって感じてたんですけどね」


「あー、わかるわかる。親が食べてるのをよく貰って食べてた」


「やっぱ、そんなもんですよね」


俺と先輩はそれから暫く他愛もない話を続けた。


「だからさ、私こういったわけよ『部下の責任は私の責任です』って!」


「おぉ……マジですか。かっこいいですね先輩」


俺は何度先輩からこの話を聞いて何度かっこいいと言えばいいのだろうか……


「ん?その顔はまた聞いてないな?」


「いやいや、聞いてます聞いてますって」


「しょうがないなぁ、また1から話す!」


さっきからずっとこのループだ、流石に止めないとな。


「と、ところで先輩今日は何で飲んでるでしたっけ?」


「君、そんなことも覚えとらんのかね!」


覚えてるも何も聞いてないです。


「すみません、自分物覚えが悪くて、もう一度お聞きしても良いですか?」


「うむ、謝られるのはいい事だ!仕方ない教えてしんぜよう」


先輩って酔ってもこの取っ付きやすい感じは変わらずに、いつもより楽しい雰囲気になるんだな。


「私はこの前告白!」


「をしたんですか?」


「いや、された!」


「おぉ……先輩モテそうですもんね」


「ははは!それにモテそうではなくモテるんだ!」


先輩は片手にジョッキを握り、胸を張り堂々と言った。


「それでそんなモテる先輩が何に悩んでるんですか?」


「実はね、断りたいんだよ」


さっきまでの威勢はどこかに行ってしまったのか、ジョッキを置き、枝豆を取った。


「なら、断ればいいじゃないですか」


「その……なんて言うか、相手が……」


「相手が?」


「怖そうで……」


「は?」


「怖いのよ!!すっっごく!」


「つまり、怖いからフッたらどうなるかわからないし、だからと言って付き合うのはもっと怖いし、嫌だと?」


「ま、まぁそんなとこかな……それに好きでもない人と付き合うのは嫌でしょ?」


お酒のせいなんだろうけど、先輩は少し顔は赤くなって俯きながら頷いてた


「なるほど、確かにそうですね」


「だから、どうしたら円満というか何事も無く終わるかなと……」


「ちなみに次会うのはいつか決まってるんですか?」


「一応今週の土日のどちらかに……」


「もしかして、金曜日の相談ってこの事だったり?」


「うん……」


「でも、そのこと俺に相談して何とかなると思ってます?」


「うん、今までの恩で何とかしてくれるって思ってる」


「……マジですか」


「大マジ」


今までかなり無茶な仕事が振り分けられてなんとかしたり、たまに先輩の手を借りたりしたけど今回のは俺一人でしないと行けないみたいだ。


「えーっと……俺は何をしたら?」


「それは君が決めないとね♪」


そう言った先輩はまだほんの少し顔が赤かったが、どこか悩みが吹っ飛んだような今日1番の笑顔だった。

投稿頻度が遅いせいで次の話に出てくるキャラがとても懐かしく感じます……

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