【19】遊里の過去⑨
今回は何とか早めに出すことが出来ました!
霞は泣くのをこらえるようにそう言うと、視線を俺の目から下へと移した。
それから少しして目から零れる涙を落ちないように指ですくい取った。
「まぁ、なんだ……その……すまん。こういう時ってなんて言えばいいか分からなくてよ」
「流石の遊里でもこの状況はお手上げみたいだね」
そう言った霞は少し困った様に笑っていた。
いつもの俺だったら、テキトーに笑ってごまかしてたりしてただろうけど流石に泣いている姿を見てしまったらそんな事は出来なかった。
「私ってさ、詩乃とずっと一緒に居たじゃん?だから遊里達以外で話をする人たちって詩乃の友達しかいないんだよね」
霞が話し始めたから、俺は黙って頷いた。
「でね、その子達って詩乃の友達なんだ」
「ん?霞の友達でもあるんじゃないか?」
「うーん、友達の友達ってやつだよ」
「あー、そういうやつか」
「だからさ、詩乃との関係が消えちゃったら、私一人なんだ」
霞は話の雰囲気が暗い事は分かっていたからなのか、声のトーンは明るめで話していた。
「一人じゃないだろ。俺や大介、桂馬だっている」
俺がそう返すと、霞は首を横に振り「違うよ」と言った。
「あれは五人揃っていたから成り立ってたんだよ。だからね、あの関係の中で亀裂が入ると多分いつもの様にはいかないよ」
そう言いながら霞は街灯に群がる虫を見つめてた。
多分大介が言ってたのは、この事だったんだろうな。詩乃と霞、二人の仲がこうなったらもう前の様には戻れない。
「ねぇ、遊里」
そう聞かれた時には霞の視線は俺の方に向けられていた。
「私はどうしたらいいんだろうね」
そう聞いてきた霞は笑って、涙を流していた。
人の気持ちはいつの間にか変わっている。
つい先日まで友達として接してたはずの相手でも状況や環境、情報が変わり、相手のことを知れば情が移り、何とかしてあげたいと思ってしまうようになる。多分コレは恋と呼べるものではないと思う。
けど今この瞬間だけはこの子を何とかしてあげたい。そう思った。
だからこそ俺はこう言った。
「俺が側に居てやるから、そんな顔するな」
「え……?」
霞は何を言われたのか分からないような顔をしていた。
「俺が霞を一人にしない。誰がなんと言おうが霞と一緒に居るから。だから、霞も俺と一緒にいてくれ」
「何よ……それ、告白みたいじゃん」
「告白だよ。彼女として俺の側に居て欲しい」
「うぅっ……良いのかな……こんな私でも、遊里の側に居ても良いのかな……」
俺がそう言うと霞は泣いていた。今まで見せていた何かをこらえるような涙でもなく、悲しみから流れる涙でもなかった。
「馬鹿、こっちから頼んでるんだよ。決めるのは霞だよ」
霞は零れる涙をこらえる様に俺の前まで来て、俺の胸に頭をすり寄せた。
「こんな……私でも良ければ、うぅっ……お願いします」
「こちらこそお願いします」
俺は自分の胸に置かれていた霞の頭を両手で包み込みながら言った。
これにて一旦過去は終わりとさせていただきます<(_ _)>




