意思なきドラゴン
当時の私は自我が薄かった。
自我が薄かった頃の私は、本能のままに世界を蹂躙し続けた。
しかし、ある時、私の中で変化が起こった。
身体中が熱くなり、内から肉体が消えて行くのを感じた。
自我が薄いにも関わらず私はその事に恐怖し、悲鳴を上げたのだ。
身をくぬらせて、身動ぎして必死にその恐怖から逃れようと暴れた。
その様子に、周りにいた者達は最初、逃げ惑っていたが。
その場で身動ぎするだけで、こちらに攻撃して来ないと分かるやいなや、私に向かって突撃して来る。
「%?£#%*¢☆!!」
ある者は、私の顔面に火の玉を打ち。
「○*¢≦♂≧<×!!」
また、ある者は、私の足を切り飛ばそうと攻撃する。
「「「「*£☆£<♂○≦*○♂!!!」」」」
それを見て士気が上がった他の者達も、私を殺そうと様々な攻撃をして来る。
だが、私はそれらの攻撃など気にならない程、内から肉体が消えて行くのが恐ろしかった。
肉体が消えて行く感覚を感じ始めてどのくらいの時がたっただろうか。
私が意識と呼べるのだろうか?と言うものを失い掛けた時、内から力が溢れだして来るのを感じた。
力の奔流とも言うべきものは、私の全身に行き渡り、そして、また戻って行く。
だが、ただ戻って行くのではなかった。
私の全身から力を吸収して行くかの様に、私は全身に力が入らなくなったのだ。
その結果、私はその場に倒れ伏した。
そんな私を見た彼等は雄叫びを上げて、喜んだ。
「「「「「£<≦*¢¢≦≦ーー!!!」」」」」
当時の私も、今の私も、彼等がなんと言っているのかは分からない。
だが、私が動かないと思っているのだけは理解できた。
(私はもう、これまでなのか…………)
体を自由に動かせない頃になって始めて、本当の意味での自我が芽生えた。
しかし、それでは遅すぎると、芽生えたばかりの私は悔やんだ。
だが、悔やんでも、終わりは訪れて来る。
悔しみに暮れていた私に、強い眠気が襲って来たのだ。
(終わるのか………)
何故そう思ったのかは分からない。
しかし、それはすぐに分かる事だった。
体が冷えて行く。
体から何か抜けて行く感覚がする。
意識が無くなって行く。
(あぁ………私は死ぬのか…………)
直感的に自分の終わりを理解した私は、絶望を抱いて終わりを迎える事を、悔しく思いながら目を閉じた。