三題噺第23弾「空」「妖精」「悪の幼女」
つづきをみせているかな。
春風が漂う青“空”の草原に黒いジャケットを着て、パンツを着ている少年は、そう呟いた。
『あるとき、村にオオカミがやってきたの。そのオオカミはとてもお腹を空かせていて人でも何でも食べようと村に降りてきたの。
そのオオカミは小屋の前までやってきて、ワオーンと吠えたの。すると小屋の中にいた人は驚き、勇んでオオカミを退治しようと扉を開けてしまったの。
オオカミは出てきた人に飛びついて、そのまま食べようとしたの。しかし、出てきた人は手に斧を持っていて、オオカミに斧を振るったわ。そのオオカミは斧をまともに受けてしまって倒れたの。出てきた人はオオカミをジビエ肉として食べたとさ。おしまい』
「オオカミさんかわいそう……」
「オオカミさんお腹が空いてただけなんでしょ……」
物語を聞いていた少年少女はオオカミさんがかわいそうと嘆くようだ。
「そうね……でも斧を振るっていなかったら、出てきた人は食べられているわよ」
「オオカミなんだから、しかたないわよ」
物語を聞いていた少年少女と違う反応を示す“悪の幼女”の“妖精”が言った。
「かわいそうだ……!」
「そうだそうだ!」
少年少女は口々にオオカミの味方をするようだ。
「なによ! 人が食べられてもいいっていうの!」
「まぁまぁ、これは物語なんだから、いいじゃない。ねっ」
物語を語っていた人は、争いを収めようとしました。
「ぶーぶー」
「もういいわよ、行きましょ」
少年少女は呆れて家に帰って行きました。
「聞き分けのない子たちだわ」
「あなたが言うのですか?」
物語を語っていた人は呆れました。
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