第2話 射手 4
訓練中に、加古はそっちのけで考えていた。頭に色々と何かあるのは嫌いだからだろう。
誠が奇っ怪な動きで他生徒をなぎ倒していく。道場の床が音を立てた。
ふわふわ浮いているが、それを利用して上から飛びかかったり、足を掴んで無理やり投げ飛ばしている。相手も令人なので大丈夫そうだが、不安になる技ばかりだ。
「よぉぉぉいしょぉぉ!」
また一人投げられた。
「う〜ん」
それにしても、誠の能力が分からない。
令人の能力は細分化されていない。身体強化が共通しているだけで、火を起こせたら物を凍らせられる
誠は空も飛べるし、物も引き寄せられる。色々とごちゃごちゃしていて、共通項が見いだせない。念力かなんかなのか、エネルギーの方向を変えられるのか。
「おい。何ぼっとしてるんだ」
後ろから令人の教官が注意してきた。
「あっはい」
次は私の番だ。だらけていると怒られる。
「こらぁっ!」
「ひっ」
怒られた。そりゃバイトでプレートごと全部落としたらそうなるだろう。
「お言葉ですが……」
恐る恐る、顔色を伺いながら言うと、「なんだ言い訳か」 と返してきた。別にそう言うことじゃない。
「弁償代……」
店のショーケースに張り付きながら涙を流す。
「いっ、一万円も取りやがって……」
さっきのせいで、フィギュアが買えない。そんな立場ではないが、腹が立った。絶対一万円も要らんだろ。ファストフードのメニューに。
「うう〜」
しばらく涙を呑んでいると、ブレスレットがなった。
「なんだよ今こんな時に」
「FEARが出現。指定した場所にいけ」
「最悪な時に!」
大急ぎで店を出た。