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74.

 翌朝、アレクシス様に、昨夜ミランダ王妃の部屋であったことを話した。

「そうか、わかった。とりあえず、品定めとして『呪われた土地』までいくしかないな。第三王妃とそのナルディとかいう男には気を付けないといけないな」

 アレクシス様がミトロン国王に大麻について話をしたあと、そのまま『呪われた土地』へ行くこととなった。

「もう、行かれるんですか?」

 ミランダ王妃がお見送りに来てくれた。そのそばにナルディと変装した殿下がいた。

「はい、お世話になりました」

 ロザリンドをはじめとした私たち一行は、『呪われた土地』を目指した。

「殿下、一緒に帰りたそうでしたけど……。エヴァ様、よろしかったのですか?」

 ミゲルに問われ、首肯する。

「決められたのは殿下です。いきなりナルディや他の王妃たちに素性をバラしたらパニックになるでしょう?それに、まだ調査が終わってませんし。ミランダ王妃だってミッシェルがルディスタンな王太子だと知っているんですから、悪いようにはしないと思います」

 昨夜、殿下と今後について話し合った結果だ。

「だったら、あんな帰りたそうな顔してたら、すぐに気づかれるんじゃないですかね?」

「殿下ですから、そこは大丈夫なんじゃないですか?」

 殿下を信じて待つ。今の私にできることは、それだけだから。

「エヴァ様、殿下の変装、初めて見ました。目の色まで変えられるなんて、凄いです。うちの商会で取り扱おうかしら?」

 ロザリンドが殿下の変装に興奮している。

 だけど、カラコンが世に出回って、またランシュアやジョエルのように王家の血族を名乗る者が増えたらと思うと、ゾッとする。

「カラコンに関しては、工房のご主人に聞いてみないと……」

 と、言葉を濁しておく。おそらくご主人は作ってくれないだろうから。

「そうなんですね、帰ったら早速その工房に交渉に行かなければ……」

 さすがというかなんというか、商魂逞しいわ。

 行きとは違い、ミトロン陛下が馬車を貸してくれたので、早く目的地に着くことができた。

「戻ってきたけど、相変わらず活気のない街ね」

「本当だな。でも、よく第三王妃が許可してくれたな」

「確かに……」

 いくらロズウェル商会の品定めといっても、この土地は第三王妃のもの。調べられて疚しいことなどないとでもいうのだろうか?

「第三王妃様は、この土地についてどう思っていらっしゃるのでしょうか?」

「それは……わからないわ」

 ロザリンドと街の様子に目を向けながら、第三王妃について考えを巡らせた。

 しかし、すぐに答えの出るものでもなく、ヘンプの材料となる麻が自生している場所まで移動することにした。

 加工業者とそこで会うように、陛下が取り計らってくれている。



「これは……。見事に大麻だな」

 アレクシス様が驚きの声をあげる。

「こんなに自生しているところに近づいて、私たちには影響ないのですか?」

 ロザリンドとミゲルは心配そうにしている。

「ああ、生えてるだけなら害はない。ただ、これを加工する段階で害になるものができるから、それを正しく処理すれば問題ないのだが……」

 すると、そこにヘンプの加工業者が現れた。

 ヘンプの加工について話を聞くと、三年前まではちゃんと処理をしていたとのことだった。

「なぜ、ちゃんと処理をしなくなったんだ?」

「すんません、それが……。それを高額で買い取ってくれる人が現れまして……」

「なんだと!?それで、それはいったい誰なんだ?」

 アレクシス様が業者に食いかかる。

「いや、それが……。その人のことは何にも分からねぇんです。いっつも黒いローブのようなものを着ているんですが、金払いもいいもんで、つい……」

「そうか、わかった。じゃあ、そいつとはいつ取引をするんだ?」

 怒りの形相のまま、次々に質問していく荒れる様は仁王様のようで、決して怒らせまいと心に誓った。

「金曜日ですよ……。ちょうど明日ですね」

「じゃあ、お前はいつも通り、そいつと取引をしろ。我々が調査していることは秘密にするんだ。いいな?」

「は、はい」

 加工業者は怯えたように返事をし、帰っていった。

「加工業者から有害物質を買い取っているヤツを突き止めないとな。明日の取引の現場には私とミゲルが行く。エヴァとロザリンドは街の様子を探ってくれ」

 アレクシス様が、テキパキと指示を出していく。

 ミゲルはやや不服そうだったが、それ以上良い案が浮かばなかったのか、了承していた。

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