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63.

「ええい!まだあの男の居場所は掴めぬのか!?」

「ミランダ様、申し訳ございません。どうかあと少しだけお待ちください」

 ミランダがいうあの男とは、ランシュアの恋人ジョエルの事だ。

 ミランダは男同士の絡みに『萌える』性質らしく、その事は従者のナルディと、ミッシェルを名乗る私と、先月までミランダのお気に入りだったジョエルだけが知っている。

 ただ、そのジョエルを急遽解雇したことによって、この性癖がバレるのを非常に恐れており、呪術師に呪い殺させようとしている。その解雇した理由というのも、恋人のランシュアの名を無意識に呼んで不興を買ったというものらしいが。

 男同士の絡みが良ければそこは罰する必要ないのでは?と正直思うのだが、自分の中の設定が壊れたのがお気に召さなかったらしい。

 ミゲルからアレクシスへ渡した手紙では、ルディスタンにて丁重に迎えるよう指示していたから、おそらくジョエルはこの国にいない。

 だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。

 そろそろこの国をどうにかして脱出しないと、考えあぐねいていると、ルディスタンから入国してきた者が、国境付近の住民について嗅ぎ回っているという情報が入ってきた。

「ルディスタンからの行商人が、アガザエルトの『呪われた土地』を嗅ぎ回っているとな?」

「はい、ミランダ様。行商を装っていますが、街の住民に色々と聞いて回っているようです」

 ナルディが報告しているのを側で聞き耳を立てる。

「あそこは、ジョエルの私兵が急にいなくなったばかりだな。暫く様子を見て、そのルディスタンの者の行動が目に余るようなら、王城に召喚せよ」

 まさか、ミゲルたちが?あの国境付近の住民の様子がおかしかったと思ったのは私だけではなかったしな。

 でも、ここは他国だぞ?あまり首を突っ込んでくれない方が安全なんだが……。

「なあ、ナルディ。呪術師ってどうやって人を呪っているんだ?」

 ナルディにこっそり聞いてみる。

「さあ?知りません。ですが、その呪術師は必ず呪う相手に接触するらしいですよ。そして呪われた人は幻覚など精神異常を来すと言われています」

 なるほどな。直接なにかを仕掛ける訳だ。目に見えない力は持ってないのかも知れないな。眉唾物とか言っていたけど、やけに詳しいな。

 それにしても、何かがルディスタンで起きて、こちらの調査をせざるを得ない状況なのかもしれない。

 アガザエルトの呪術師が、もしルディスタンの者を傷つけたとしたら、父上も黙ってはいない。

 どうにかして合流できないだろうか?

「ミランダ様、僭越ながら私の意見を聞いて頂けますか?」

 恭しく頭を下げて、発言の許可をもらう。

「ふん、そんなことを言うとは珍しいな、ミッシェル。申してみよ」

「はい。アガザエルトにとって、その『呪われた土地』を

嗅ぎ回られるのが好ましくない状況にあるのでしたら、いっそのこと、様子を見るなどせず、召喚したらいかがでしょう?」

 そのルディスタンの者がミゲルたちの可能性があるから、色々と嗅ぎ回って呪術師に何かされるのではないかと、気にした結果の言葉だったが。

「ふむ、それもそうだな。よし、そのルディスタンの者を今すぐに王城(ここ)に召喚せよ」








「ただ今、ルディスタンからの行商たちが到着しました。ロズウェル商会の者だそうです。ミランダ王妃様にお目通りを」

 その後、暫くしてルディスタンの者が王城に到着したと通達があった。

 ロズウェル商会と言えば、ロザリンドの……。

「やっと来たか。それにしてもなぜロズウェル商会の者が『呪われた土地』を嗅ぎ回るのだ?あの商会はわらわとも取引があるというのに。では、ここに連れて参れ。お前たちは、そこの扉の向こうで待機しておれ」

 ミランダの命令により私とナルディは隣の部屋で待機することになったが、何せ、そのルディスタンからの来客が気になり、そっと陰から覗いてみることにした。ナルディは呆れた表情だったがお構いなしだ。

 連れてこられたのは、ロザリンドとミゲル、アレクシスだった。

 やっぱりミゲルたちだったか。でもなぜロザリンドまで?

「ミランダ王妃様、お久しぶりでございます。この度はお招き下さり、ありがとうございます」

 ロザリンドが丁寧に挨拶をする。

「おお、そうか。良く参った。して、このアガザエルトには何の用だっのだ?」

 単刀直入だが、色々と嗅ぎ回っていたことについて聞いているんだな。

「その前に、私の妹を紹介させてくださいませんか?」

 ロザリンドに妹……?確かロザリンドには兄弟はいなかったはずだが?どういうことだ?

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