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41.

 つ、疲れた……。なんか、いつもの三人にミゲルが加わって、頭にチュッとかされるし、ミゲルに関してはキャロルのときのことしか知らないから、ほんっと掴めないし。

 やっとたどり着いた我が部屋で、ほっと一息をつく。

「お嬢様、街で購入されましたグラスですが、いつものように厨房に持っていってよろしいですか?」

 アンナの問いかけに途中で買った切子グラスのことを思い出す。

「待ってアンナ、それはあなたにプレゼントしようと思っていたものなの」

 金色のグラスを勢いで買ったはいいが、アンナが欲しかったものじゃなかったのかしら?と思い、プレゼントすることにした。

「お嬢様、そんな高価なもの……頂けません」

 まあ、アンナならそう言うと思ったけどね。

「この色、アンナにしか似合わないわよ」

 と微笑むと、アンナは一瞬キョトンとして破顔した。

 これは、アンナしか持ち主がいないよと、暗に伝えてみたのだけど、分かってくれたみたいだわ。

「ありがとうございます。大切にします」

 アンナがそれを大事そうに受け取ってくれた。

 その色が、アンナの想い人の色だと確信した瞬間だった。





「ところでお嬢様、そろそろデビュタントに向けてのドレスを新調したいと考えておりますが、何かご希望はございますか?」

 そういえばそうだった。あと一年で社交デビューする。

ドレスを一から新調するとなると、デザインや生地選び、縫製にとても時間がかかる。この世界にはミシンなんて便利なものはないから、お針子さんが一つ一つ手仕事で仕上げてくれる。夜会の時期に合わせて皆が注文するから、早く準備を始めないと間に合わないのだ。

 もともと、淡い色が好きなのだが、デビューの場でその薄い色は子供っぽく見えるかもしれない。となれば、ビビッドカラーになるわけだけど……。赤などの暖色系も好きだけど、どちらかというと青などの寒色系が好きなのよね。

 デザインは流行もあるけど、対して毎年違わない。

 とりあえず、デザイナーさんに来てもらって、打ち合わせをしないといけないわね。

 せっかくドレスを新調するのですもの。自分でもドレスに付けるモチーフの飾りを作りたいって言ったらびっくりされるかしら?でも……。

「お嬢様、もしかして自分でも何か作りたいとお考えではありませんか?」

 アンナの鋭い突っ込みが入る。

「お嬢様がそのようなお顔をされている時は、大抵自ら何か企んでいらっしゃる時のお顔なので……」

 企むって……。どんな顔なのよ。

「そうね、飾りとか自分でも作ってみたいな、と思っていたの。刺繍やレース編み以外でも小物を作りたいって思っていたのよ。でも、止めておくわ」

「そうなんですか」

 アンナが頷く。

「仕立屋さんやお針子さんたちは、私たち貴族から仕事を依頼されてお金を頂いているのよね、そのお仕事を奪うことはしたくないのよ」

「お嬢様、さすがですね。そこまで考えていらっしゃるなんて貴族の鑑ですわ」

 メリーが感激したように手を組んでいる。

「でも、折角の機会ですし、お嬢様が自分で作ったものを身に付けなければ、作っても良いのではないでしょうか?」

 スーザンの提案に、それもそうかと思い直す。

 取り敢えずドレスはお任せして、私は私の作りたいものを作って、自分だけで楽しめばいいってこと?それなら誰にも文句は言われないわよね。

 アンナやスーザンの勧めもあって、私は自分の趣味のための小物作りをすることに決めた。

 仕立屋さんに生地を分けてもらえないか聞いてみよう。

 あれも作りたい、これも作りたいと想像が膨らんで、今から楽しみだわ。

「それじゃあ、早速明日にでも、デザイナーに来てもらうことにしましょう」

「我が国一のデザイナーをお呼びいたしますね」

 そう言って侍女たちは、微笑んだ。



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