33.
「で、いつ思い出したの?」
「私は三年前ですよ。天使の絵を見たときに。でも、そんなの関係なく好きになってましたけどね。アルフは?」
「僕は7歳の頃。転んだ僕にハンカチを差し出してくれた瞳を見たときだったよ。兄さんは?」
「俺は物心ついたときには知っていたけどな。お前たちがそうだと確信したのは最近だけどね」
「そうなんだ。ずるいよなぁ、クリスだけ王子様って」
「仕方ないですよ、今回は私のルートですからね」
「今世でも、俺があの子と結婚するつもりなんだけど?」
「兄さんは、前世で結婚してただろ?今回は譲ってよ。それにクリス、まだ確定じゃないんだから僕も本気で頑張るからね」
「アルフ、それは無駄な努力と言うものです」
「でも婚約破棄したんでしょ?」
「私だけ会えないんじゃ不利でしょう。これでやっとスタートラインに立てました」
「だけど、そのお陰で俺たちにもチャンスがまわってきたってことだよな」
「だね、よし頑張ろう!」
「させませんよ。それにしても、こう腕の中にすっぽり収まる感じはたまりませんよね」
「なにそれ、どういうこと?」
「ん?ただハグをしただけですよ」
「ハグだぁ~?一体どんな状況でそんなことしたんだよ?」
「えーと、そうですね。最初は誘拐犯から助けた時と、あの時と、その時と……」
「何だ?誘拐犯って……」
「イベントみたいなものですよ。たまたまです」
「そんな……危険な目にあっていたとは……」
「やっぱり最初から俺と婚約しとけば良かったんだ。誘拐なんてイベントはないからな」
「ちゃんと私が助け出しましたから、心配要りません」
「クリスが助けた後の方が心配なんだけど?ハグ以外なにもしてないよね?」
「……。ええ」
「ちょっと、今の間、何?許せなーい」
「あはは……それにしても、お前ら変わらないなぁ」
「そう?」
「相変わらずアルフは甘えん坊だし、クリスは独占欲が強いし」
「そうですか?アレクだってヤンデレでしょう」
「言えてる」
「でも、やっぱり今回は私のルートでしょうね」
「ふん、甘いな。実は僕もイベント起こしちゃってたんだよねー」
「「何?」」
「家紋の刺繍、してほしいって頼んじゃった」
「アルフ、それがどういう意味か知ってるよな?」
「もちろん。“あなたをお慕いしています”だろ?」
「じゃあ、アルフが注文したからあの刺繍があったわけなんですね」
「刺繍してくれてるんだ?頼んだはいいけど、すぐには無理って言われていたからちょっと心配だったんだよね」
「そんなもなの、私が捨てておきますよ」
「ちょっと!ひどいよー」
「果たしてその意味を、あの子が知っているのかは疑問だが……もしかして、俺だけか?イベントがなかったのは」
「あなたたちのイベントは、私がこれからキッチリ阻止しますから」
「受けて立つよ」
「上等だ、権力には負けねぇ」
イケメン三人三様のそれぞれの想いが、王宮の一角で渦巻くことを知るものは他には誰もいない。
「っくしゅん」
今回は男子会です。セリフばかり並べていますが、読者様が、どのような仕草をしながら三人が会話をしているかを、想像しながらお楽しみいただければと思いました。




