28.
すみません、少し長くなってしまいました。
誤字修正しました。ご報告ありがとうございます(*^^*)
「エヴァ様が事件に巻き込まれていたなんて、知りませんでしたわ」
マリアが可愛らしい口調で発言する。
「マリア、君はエヴァの親友だって言っていたね。何か気づいたことはないか?」
「ええ、エヴァ様とは親しくしておりますわ」
私、いつの間にマリアと親友になっているの?それにしても、いつ殿下とそんな話していたの……。
「特にいつもとお変わりなかったと思いますわ。そんな……いなくなるなんて……」
さもショックを受けたかのように俯く。
「じゃあ、この男を知っているか?」
殿下が指し示したのは、私を拐ったあの男。
「いいえ、存じ上げませんわ」
「おい、お前さんがオイラに命令して貴族のお嬢さんを拐わせたんじゃあないか。オマケに報酬を倍にすると言って、その貴族のお嬢さんを犯せと言っただろう」
マリアの発言にカッとなったのか、一気に捲し立てる男。
それでもさすが令嬢と言うべきか、動揺を見せない。
「適当なこと言わないでくださいませ。知らないものは知らないのです」
「ひでぇな。そこにいるお貴族様も共犯だろう?」
矛先を皇后陛下に向ける。
「私も知りませんわ」
どうしてもシラを切る二人に男は苛立っているようだ。
「チッ、メリー、お前だってそこの二人に脅されてお嬢さんを誘拐する手伝いをさせられたんだろう?」
メリーを見ると小さく震えている。脅されたってどういうこと?
「わ、私は……、妹の治療費を……」
声が小さくてよく聞こえない。
「マリア、説明しなさい」
バッテンガー侯爵が溜まりかねて口を挟む。
「私、知りません」
あくまでも知らないと言い通すつもりのようだ。
「マリア、君は嘘をついている」
殿下の言葉に皆が注目する。
「まず、エヴァが事件に巻き込まれたとは言ったが、拐われたことはごく一部の者しか知らないことだ。表向きはエヴァは病で臥せっていることになっている」
「それは先ほどその男が、拐わせたと言いましたでしょう?」
ションナサル皇后陛下が口を挟む。
「皇后陛下、マリアはその男が白状する前から、エヴァがいないことを知っていた。なぜなら、昨日は『そのうちお帰りになります』と言い、先ほどは男が拐ったと言う前に『いなくなるなんて』と言った。これはエヴァが誘拐されたことを知っていたことになる」
「そ、それはエヴァ様のお宅に伺ったときに聞いたのですわ。使用人か誰かから聞いていたから……」
マリアは必死に言い訳をする。
「それはおかしいね。伯爵家ではエヴァがいなくなったことを知っているのは伯爵夫妻とエヴァ付きの侍女だけだ。他の使用人でさえ、エヴァが行方不明になっていたことを知らない」
マリアの顔から色がなくなる。
「そして皇后陛下、あなたはエヴァと婚約破棄をし、マリアを正妻に娶るよう私に強要してきた」
「それはお互いの国のためを思ってのことですわ」
「じゃあ、なぜそのときに、相手がいない場合の婚約破棄の方法を尋ねたのですか?エヴァが行方不明なのを知っていなければわざわざ尋ねることもないはずだ」
「そんなの……」
皇后陛下の表情が歪む。
「マリア、君はエヴァの親友ではないよね。伯爵にマリアが訪ねて来ることがあるかと聞いたけど、全くないと答えていたよ」
マリアがわなわなと震え出す。
「そうよ、あの女さえいなければ、殿下の婚約者に選ばれるのは私だったのよ!どうせ、その男に傷物にされたから帰ってこないのよ!」
分かってはいたけど、改めて恨み言を言われると結構ショックだわ。
「それは違うね、エヴァは無事だ。エヴァ、出てきて」
殿下の呼び掛けに、衝立から姿を現す。
「エヴァは、その男に犯されそうになっていたところを、私が助けたんだ」
「ヒッ!」
まるで化け物を見たかのように怯えるマリア。皇后陛下の表情も歪んだままだ。
「エヴァを助けた場所にこんなものが落ちていた」
そこで殿下が取り出したのは、ピンク色をした糸のようなものだった。
「これは髪の毛だ。この色の髪は我が国では珍しいものですが、今ここに二人もこの色の髪の持ち主がいる。濃い色をしているから、おそらく皇后陛下、あなたのものだ」
皇后陛下もすっかり顔色をなくしてしまった。
隣に座る皇帝陛下は、信じられないといった表情で二人を見ている。
「他にもこれ、何だか分かるかい?」
取り出したのは手紙だった。
「エヴァが、初めて私に出した手紙。おかしな点があってね。まず、筆跡がエヴァのものではない」
え?どういうこと?私が書いた手紙が私の字ではないって……。っていうか、私の筆跡を殿下がご存知なのにも驚きだわ。
ふと、キャロルのポケットから落ちた手紙のことを思い出した。あれってもしかして本当に私の書いた手紙だったの?
「メリー、どういうことか説明できるよね」
殿下に促されて、メリーが恐る恐る口を開く。
「マリア様に頼まれて、エヴァ様にお手紙を書くように言いました。エヴァ様の書かれた手紙を出すフリをして、マリア様が用意された手紙を出しました」
「ちょっと、あなた!そんなのでっち上げだわ」
マリアが反論しようとするも、侯爵が抑える。
「エヴァは私の婚約者だった。その婚約者の手紙を偽造したことは私に対する不敬だ」
「そんな……」
マリアが侯爵にすがり付く。
「それと、侯爵。あなたは宰相である立場を利用し、マリアに私の行動予定を伝えていた。視察に行き、マリアと遭遇することが異常に多かったのはそのせいではないか。違うか?」
「……はい。マリアに頼まれまして……つい。返す言葉もございません」
「それが私の命を脅かすことになるんだ」
侯爵が項垂れる。
「クリス様、なぜ私ではなかったのですか?」
尚も殿下に食い下がろうとするマリアを、少しだけ羨ましく感じる。私は逃げていることの方が多かったから……。
「ガラスと本物の宝石の区別もつかないなど、騙されて国の財源を食い潰されては敵わないからな。それに侯爵が甘やかしていたのだろう。マナーもなっていない」
「ガラスと宝石の区別ってそれ位分かりますわ」
マリアが訳が分からないというように反論する。
すると、殿下は一枚の絵を見せる。私が作った天使の絵……。キラキラと輝くそれを見た皆が嘆息する。
「マリアが私に『宝石で作られている』と言って、贈ってくれたこの絵。これは全てガラスだ」
「そんなはずは……。だってダイヤモンドアートと……」
「教会の台帳を見たんだな。教会に寄付されたものを譲ってほしいが為に、教会に圧力をかけたそうだな?それにあの粒はガラス工房で作られているという証拠もある」
と言って私をチラリと見たあと、取り出したのは私に専売してもらっているガラスビーズだった。
「嘘よ、だって……」
「その絵を作ったのは私です」
なおも反論しようとしたマリアに、我慢できずに声をあげる。
「寄付した人物を確認しておかなかったのが運の尽きだ」
殿下の言葉に、とうとうマリアが沈黙した。
日間異世界恋愛ジャンル116位になりました(*^^*)。
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