27.
翌朝、私はスーザンに支度を手伝ってもらい、ドレスを着る。青いグラデーションに菫の花のコサージュがついたシンプルだけど、可愛いドレス。今まで、こんな色合いのドレスを着たことがなかったから、ちょっと新鮮に感じる。
「そのドレス、似合ってる。可愛いよ。じゃあ、今から父上のところに行くからついてきて」
「あ、ありがとうございます」
殿下にエスコートされ、廊下を歩く。
殿下に可愛いと言われてかなりドキドキする。
気を落ち着けようと、調度品に目を配る。調度品もさすが王宮だけあって、華やかで気品がある。
歩きながら殿下に話しかけられる。
「この事件には、エヴァも気づいている通り、隣国の皇族が絡んでいる。公にしては国際問題に発展するからね、会議室で罪を暴く。エヴァは最初、衝立に隠れていて。私が合図したら出てきて欲しい」
「分かりました」
連れて来られた会議室にはすでに陛下と王妃様が見えていた。
「陛下、ならびに王妃様におかれましてはご機嫌麗しく」
淑女の礼を取ると陛下は、
「この度は難儀だったな。ここに滞在してなにかと不便だったのではないか?」
と労って下さった。
「いいえ、スーザンには大変良くしてもらっておりました」
あれ?私がここにいることは秘密なんじゃなかったの?
という顔をすれば、それを察知し
「王宮のことだからな。隠し事はできないよ」
そう言って微笑まれ、そして若干憐れみの含まれた眼差しを殿下に向けた。
「じゃあ、この衝立の後ろに来て」
殿下に指示され衝立の後ろに隠れる。すると殿下も一緒に衝立の陰に来て、ギュッと私を抱き締めた。
「今からここで、エヴァを誘拐した犯人の罪を暴く。もしかしたら、エヴァにとって思い出したくない記憶が甦ることがあるかもしれない。だけど、私がエヴァを守るから。絶対、傷つけた犯人を許さないから」
そう言って私の頭を撫でてくれた。
「ウォッホン」
向こうで陛下の咳払いが聞こえ、慌てて体を離した殿下はウインクを残し、席へと戻っていった。
殿下、イケメンが過ぎます……。
暫くして一人の男が何やら言い訳じみたことを言いながら連れて来られた気配がした。
「だからよぉ、オイラはどっかの貴族に頼まれたんだよ。雇われただけなんだよ」
衝立の隙間から覗いてみると、囚人服を着せられていたのは、私を誘拐し襲った男だわ。思い出しただけでもゾッとする。
そこにションナサル皇帝陛下と皇后陛下が現れた。
「大事な話があると聞いて来たのだが、これは一体どういうことだ?」
囚人服を着た男と同席しているのが気になったらしい。ジロジロと不躾に男を見ている。
「あ、そこの奥さん、あんただったよね、あの時一緒にいたのは」
空気を読まない男の爆弾発言が落ちた。突然のことに皇帝陛下の顔がひきつっているのをここからでも見てとれる。
「何を言いますの?私はお前など知りませんわ」
皇后陛下が蔑むように男を睨む。
「まあ、まずはそこに座りたまえ、ションナサル皇帝陛下、皇后陛下」
陛下の言葉に二人が着席する。
「バッテンガー侯爵と令嬢が到着なさいました」
「通しなさい」
陛下の一言で二人が部屋に入る。
それに続いて入ってきたのは私の侍女だったメリーだ。
メリー、あなたも共犯だったのよね。裏切られた気持ちから憎しみより、悲しみの方が勝っている。
皆が揃ったところで、陛下が声を上げる。
「今回、皆にこうして集まってもらったのは他でもない。
王太子クリストファーの婚約者、エヴァ・ドゥ・レイ伯爵令嬢についてのことだ」
マリアは何かを勘違いしているのか、凄くニコニコしている。
「エヴァが、事件に巻き込まれた。今日、ここにいる者はその事件の関係者だ」
マリアの顔がさっと青くなる。
まさか罪を暴かれるなんて思ってもみなかったとでもいうかのように。
あれ?この場面、どこかで見たことがある……。
思い出した!ゲームの断罪イベントだわ。
夜会で婚約破棄を言い渡され、断罪されるんだけど、その時だけでは罪を裁くことができないため、夜会の翌日にこうして集まったのだわ。
今マリアが座っている場所は、ゲームの中で私が座っていた場所……。え?どうなってるの?この後やっぱり私が断罪されるの?
でも、殿下は私を守るって仰ったわ。だから、信じる。
私は固唾をのんで事の成り行きを見守った。
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