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うらうらと、乙女と子猫。  作者: 緋和皐月
うらうらと。
1/11

乙女と子猫は昼寝がお好き。



 窓から差し込む、柔らかな陽射し。それは、麗らかな春の木漏れ日。

 ポカポカ、ポカポカ。黄色の蒲公英(たんぽぽ)の花が咲いている。



「ふわぁ……絶好のお昼寝日和ですね……」

「そうだニャァ……」



 窓辺の机に頰を押し付けた乙女。そして、彼女の頭に乗っかった真っ白ふわふわの子猫。


 1人と1匹は、ふぁぁと呑気に欠伸する。

 ああ、平和って素晴らしい。しみじみと、1人と1匹は、日々が平和であることの有難さに改めて感謝した。



「はわぅ……眠いですね……」

「そうだニャァァ……」



 とろーん、と蕩けたように目を瞑り、伸びている乙女と子猫。



「わふ……もう、お仕事しなくてもいいなぁって気分になりますね……」

「そ……」



 乙女の言葉に相槌を打とうとした子猫の動きが、ピタリと止まる。



「それはダメだニャァッ!」



 ぐしゃぐしゃぐしゃっ!

 乙女の髪の毛を、子猫は思いっきり乱れさせた。おかげで、元から癖のある細い髪の毛が、絡まる、絡まる。



「きゃぱぁぁぁあっ?!」



 髪の毛が絡まり引っ張られた痛みに悲鳴をあげた乙女は、机から上半身を起こした。



「髪の毛、引っ張らなくてもいいですよねっ!?」

「クルクルが働かなくなったら、お金無くなって、我のごはんが無くなるニャァ!」

「もぉぉ、食いしん坊ですね、ふらふーたんは!」

「大体ふらふーっていう名前も、だいぶ、ふざけてるニャァ!?」

「いーでしょうがね、ふらふーたんはFluffでオシャレでしょうがね!」



 乙女の名前は、久留米胡桃。

 名前が「くるめくるみ」であることと、天然パーマのくるくるとした髪から、周りからはクルクルという愛称で呼ばれている。


 白いフワフワ毛並みの子猫は、ふらふー。

 “綿毛”という意味の「Fluff」が名前の由来である。



「大体ですね、ふらふーたん。今日は日曜日なのですね」

「にちよーび、って何だニャァ?」

「お仕事お休みデーなのですね!」



 えっへん、と胸を張る乙女を、子猫はシラーッとした目で見た。



「我、それなんて呼ぶか知ってるニャァ」

「さっすが、ふらふーたん! 博識ですね☆」

「ずるやすみ、っていうニャァ!」

「あー、そうそうズル休……って、ちっがいますね!!」



 ニャケケケケ、と笑う子猫と、もぉぉふらふーたん酷いですねーっ、と怒る乙女。



 これは、乙女と子猫が過ごす、春の話。

 つまり、こんなお話。





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