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Kiss of Monster 03  作者: 奏路野仁
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093

12月30日。

朝から一緒に小室家に行くと当然のように驚かれる。

小室母は大燥ぎしながら

「何このお人形さんみたいな美少女っ。この子もキズナ君のコレなの?」

桃ちゃんと同じように小指を立てる。

「美少女引き寄せる磁石でも持ってるんじゃないの?」

何だったらその磁石持ってるのって絢さんなのでは?

「あ。」と心当たり満載のようだ。

小室絢に「日本の正月を体感したいから」と事情を説明すると

1人きりでやって来た事を危惧したのか、

「今日からうちに泊まれ。」

と言ってくれた。

それが何より安全だろう。

「キズナと一緒にして何かされたら大変だ。」

その心配?どっちですか。どっち何かがされる側ですか。

「その代り年末年始は手伝ってもらうぞ。」

「ホント?手伝っていいの?ありがとう。」

彼女は小室絢の手を取って喜んだ。

これには小室絢も少々面食らっていた。

早速お節作りから手伝いを始める。

小室父は娘と外で餅つき。僕はそちらを手伝おうとしたが

お節作りはすぐには終わらないだろうからとサーラに餅つきを手伝わせる事になった。

僕もその様子を見たかったのだが「非力なお前はお節作りに専念しろ」と言われてしまった。

やがて彼女が満面の笑みで少々興奮気味にお節作りに合流する。

後で話を聞かせてもらおう。

彼女の仕事は重箱に詰めるだけだから問題は無いだろう。

一つ一つの意味を確認しながらとても楽しそうに、しかも慎重に丁寧にこなしていた。

「前も思ったけど日本人てジンスク好きよねー。」

縁起物って語呂合わせとかこじつけが多かったりするけど何か些細な事でもお正月を楽しみたいんだろうね。

「それにとっても繊細なのねー。」

小室家の作るお節は結構本格的だ。

年明けは神社が忙しくなるのでその手伝いに小室家、南室家が集まる。

お節料理はその最中に暇を見つけて食べられるようにと

結構な量と種類が作られている。

橘結、南室綴と南室綴の母親が合流する。

「今年は助っ人が2人もいるわよ。」

と僕とサーラを小室母が紹介する。

当然2人共サーラの存在に驚く。

事情を説明すると喜んで協力すると言ってくれた。

南室綴の母親とは久しぶりだ。あの熊騒動以来かな。

あの時は口を聞いた覚えがない。今日も挨拶だけ。

嫌われるような事はしていなが警戒はしているかも。

なんて思っていると小室母が

「キズナ君がどんな子なのか観察するつもりよ。」

どうして?

「キズナ君がこの町に来て一番喜んだのはあの人なの。」

「綴ちゃんが変わったって言ってたわ。」

前より笑うようになった。学校での話をしてくれるようになった。

些細な事だけど頼みごとをするようにもなった。

「料理を教えて欲しいとかそんな事だけどとても嬉しかったって。」

思わずどうしたの急にって聞いたら

「いつか食べさせたい人がいるから」って真っ赤になって答えた。

挙句2人のなれ初めまで教えて欲しいとか言い出して。

「あの子が初めて娘になってくれた。」って。

「それまでは女の子供でしかなったんでしょうね。」

それで誰か心当たりがあるか絢ちゃんが知らないだろうかと聞かれ

「多分キズナ君の事じゃないかなーって。」

南室の母は他所から嫁いできたから僕の母の存在は噂程度しか知らない。

だから当然僕の事もあまり情報は無い。

「それに勿論うちの絢と付き合ってるって言っておいたわ。」

そう言えばそんな事になっていた。

「そしたら「うちの綴が奪いますから」って言い返されたわ。」

と笑った。笑い事かっ


一応エリクに事の顛末をメールしておこう。

心配だろうが安心していい。

とても安全な場所に泊めてもらえるから。っと送信。

陽のあるうちにサーラのトランクを取りに戻り、干してあった洗濯物も取り込み

トランクを開けるのも悪いので別の袋に詰めてと。

僕が出掛けている間に

小室絢はクリスマスでの件を皆に告白していた。

小室絢と南室綴の2人が橘結とサーラに謝る。

「そんな。別に構わないわよっ。」

「ゴメンなさい。偉そうにルールがどうの何て言っておいて。」

「そんなのイイわよっ。それよりどうだったの?どうやって奪ったのよっ」

と興味津々にサーラが問い詰める。

「あれ?サーラはアレとしてないの?」

「してないわよー。アイツ全然しようとしないし。」

「だって昨日一晩一緒に居たんだろ?」

「そうよ。私先に寝たふりして待ってたのに全然来ないで。挙句に別のベッドとか。」

「ダメよ待ってちゃ。アレはコッチから行かないと。」

「そうみたいねー。」

そんな会話がされていたなんて知らない僕がサーラの荷物を持って戻ると

橘結に睨まれた。

きっと小室絢からあの夜の一件を聞いたのだろう。

軽蔑している。

いくら「された側」とは言え4人の女子の唇を奪ったのだから。

「私も。」

はい?

「うわっ何でもないわっ。キズナ君も泊まって行くの?」

今日は帰ります。何の支度も用意していないし、家も少し片付けたいから。

「そう。」

橘さん達は泊まっていくの?

「ううん。私も綴ちゃんも帰るよ。また明日来るわ。」

うん。また明日。



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