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Kiss of Monster 03  作者: 奏路野仁
38/42

補完 3-1

補完 3


サーラが宮田さんと栄さんと親友になるのは判る。同じクラスで

エリクが2人に「彼女を頼む」と頼んでもいたこともあるが

2人なら頼まれなくても仲良くなれただろう。

でもいつの間に橘さんと仲良くなったのだろうか。

年末年始の諸々の頃には既に心を通わせていたようでもあった。

いつだったか、「一目見て貴女がお姫様と呼ばれている理由が判った」と言った事もある。

理由って何だ?

最初に来た時はそれほど話してはいないよね。

「あの時はキズナ君が狙われてたじゃない。」

「あ、そう言えばお前アイツの事は下の名前で呼ぶんだな。」

そう言われるとそうですね。でもプナイリンナさんて呼び難いですよ。

「そうかも知れないけどいい加減私達の事も名前で呼べよ。」

頑張ります。

「頑張るじゃないわよ。呼びなさい。今すぐ。ホラ。」

今ですか?

「イイじゃない。誰も聞いて無いんだし。」

う、何か改まって呼ぼうとすると照れますね。

「照れ顔で呼ばれたらコッチも恥ずかしいからっ。」

漫画だと「タハハハ」みたいな感じの笑いが出るんだろうな。

皆さんいつの間にか僕の事下の名前で呼ぶようになったけど違和感とか無かったんですか?

宮田さん達は皆して僕の事フルネームで呼んでましたね。

「お前が自己紹介でそう言ったからだろ。」

「姫がキズナって呼んでたからいいやって。」

「それにアタシらは最初から名前で呼んでたよな。」

皆さんは女子同士だから平気でしょうけどね。

ニックネームとか無かったんですか?

「ないなー。」

「絢ちゃんはあるじゃない。」

「ねぇよ。」

「爆弾小僧に人間魚雷だっけ。」

「それどっちも綴が付けたんだろうが。」

「違うわよ。魚雷はキズナが言ったんじゃない。」

言ってませんよっ

あ、宮田さんがいつだったか浮沈艦とか言ってましたよね。

「あー言った言った。壊れたダンプカーも言った。」

なんでいつも昭和のプロレスラーなのか不思議に思ったので覚えてますよ。

もしかして爆弾小僧も宮田さんが言い出したんじゃありません?

「(うわずって)違うよ?ぜんぜん違うよ?」

「オマエかこの野郎。」

でも橘さんは最初から姫でしたね、短い期間だけ名前で呼んでたけど。

「キズナが呼べって言ったからじゃない。」

「慣れって怖いな。いつの間にか戻ってた。」

「私もそれ誰かに言われるまで戻ってるの気付かなかったもん。」

宮田さん達に名前で呼んでもらおうとしたら小室さんが割って入ったんですよね。

あの時の素早さは流石の一言だった。

「あったなー。」

「「私の事はゆ「姫様って呼べよこの下衆共」」って。」

「言ってねぇよ。」

「まあでも2人がずっと姫って呼んでたからねー。」

「そうな。アタシ達が姫ちゃんの事話すときだって姫ちゃん呼びだったもんな。」

「そうそう。姫ぽんは姫ぽん。」

今更なんですけど、どうしてお姫様って呼ぶんですか?

「お姫様だからよ。」

いや、僕ね、橘さんとお2人の関係性の事で気を使って名前で呼ばないだけなのかと思ってたんです。

「それもあったわよ。ねえ絢ちゃん。」

「うん。あれ?私が姫って呼ぼうかって言い出したんだっけ?」

「そう。2人で姫の事何て呼ぼうかって話していて。」

「橘様とか結様じゃ学校で気まずいだろうって。結構悩んだよな。」

「ああ、お嬢様かお嬢で揉めたりしたわね。」

「そうそう。あー思い出した。綴がフロイラインにしましょうって決まりかけたんだよな。」

「だって絢ちゃん、フフ、「もし?」とかでいいんじゃね?とか言うから。」

「それはお前がマダムとかマスターとかカイザーとか何かそんな事言うからだろ。」

うわ完全に遊んでますね。

「その時何故か全然姫って言葉が出て来なかったんだよな。」

「何だっけ。絢ちゃんが「もうお姫様って他になんか呼び方無いのかよっ。」って突然言って。」

「じゃあ姫でいいじゃないって笑ったんだよな。」

大変だったんですね。

でも知らない人からしたらなんでどうして?て思うと思いますよ。

「そうかな?」

「皆真似して姫の事姫ちゃんとか姫様って呼ぶようになったよな。」

「そうなのよね。小学生の頃結ちゃんて呼んでた子まで」

「中学になったら皆変わっちゃって、何で?て思ったくらいだもん。」

「やっぱりイヤだった?」

「ううん。綴ちゃんも絢ちゃんもその時大好きになったの。」

「やーん。」

「あーもう。」

2人は橘さんに抱きついた。

「私も姫のこーゆーとこが好きなんだよー。」

「何だよズルイぞ。ボクだって姫ほんの事好きなんだからなっ。」

「そんな事より早くっ。」

はい?

「つ、綴って呼んでよ。」

「ぎゃーーーっ。」

「やめろっソレ。」

「ボクの事はダーリンでもいいよ。何だったらオマエって呼んで?アナタって呼ぶから。」

下の名前で呼ばない理由は恥ずかしいからなのと、もう1つ。

彼女達は僕を「下の子」のように感じている。

僕が名前で呼んだら、まして呼び捨てになんてしたら怒られそうだ。

「馴れ馴れしいんだよっ。」みたいな。

ずっとインチキ敬語を使って話しているのが突然ため口になるような。

「少しくらい馴れ馴れしいくらいでイイよ。」

例えば、オイ絢ジュース持って来いよ。とか言ったら怒るでしょ。

「馴れ馴れしいっつーか上からになってるじゃねぇか。」

えーっと、絢様、何味買って参りましょうか。

「下過ぎるって。中間無いのかよ。」

絢っぺ、水かお湯ならあるぜよ。

「意味ワカンネーよっ。何処から突っ込むのが正解なのかもワカンネーよっ。」

「あっ、今思いだした。お前うちの桃にはちゃん付けで呼んでるな。」

「あーっそうだ。あと楓ちゃんと柚ちゃんにも。」

あの子達は年下だから。

「何それ、キズナは年下がタイプなの?」

そういうつもりは

「ああそうか。キズナは私達がアナタの事「下の子」みたいに思ってるとか思ってるんでしょ。」

柏木さんはどうしてこうも僕の心を読むのか。

「呼び捨てにしたりちゃん付けしたら怒ると思ってるのね?」

怒りはしないでしょうけど、気分悪くするかなとは思ってます。

「どうして?」

どうしてって、そんな馴れ馴れしくしたら。

「私達充分馴れ馴れしいよな?」

「もうベッタベタじゃない?」

「もう今更じゃない。」

「そうなー出会ってすぐの頃だったら「サン付けろよこのデコスケ」とか言ったかもだけど。」

「アタシ男子からいきなり下の名前で呼ばれるとイラッとするわ。」

「でも実際いるねー「女子は初対面でもちゃん付けが喜ばれる」って勘違いしてる男。」

あ、それ僕も聞いた事あります。ただ女の子同士だと最初からちゃん呼びが多いですよね。

それを勘違いしているんだと思いますよ。

「相手によるっつーの。」

「基本苗字にさんよね。」

「ある程度親しくなってから、こっちから名前でいいよ。て言うからいいんじゃないねぇ。」

「ねえ?」

「ほら、ねぇ?」

なんですか一体。

「逆に仲良しなのに何時までも苗字にさんだとちょっと不安になるよね。」

「なるなる。この人私の事本当は嫌いなのかなーって。」

「まだ距離置かれてるなーって思っちゃうよねぇ。」

「ねぇ?」

「ほらほら、ねぇ?」

だからなんなんですか一体。

「何ですかじゃねぇっ。名前で呼べこのヘナチョコっ。」

ヘナ・・・

「あーっ待って待って、ちゃんがいい?さんがいい?それとも呼び捨て?」

「お風呂?食事?それともみたいな言い方するなっ。」

「綴はサマが似合いそう。」

「似合うって何よ。」

「あー判る。でも梢はサンが似合うって言う。」

「すげぇよくわかる。何だろうな。」

「何かどっちもイヤラシイんだよ。」

「イヤラシイって何よっ。」

「キズナも納得したような顔してんじゃねぇよっ」

「椿ちゃんは殿って読んでもらったらいいじゃない。オタっぽいわ。」

「あ、ちょっとイイかも。キズナ殿。」

何ですか椿殿。

「ああっオタ会話だっ。同士だっ。」

「そんな呼び合いしてたら少し距離取るけどいい?」

「それならそれで二人っきりになれひゃひゃひゃ。」

「やっぱり変態だ。」




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