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「キズナはいつ行くんだ?」
はい?
「結婚。するんだろ?」
そのうち招待状が届きますよ。
フィンランドの法律でどうなっているのか知りませんけど
その年齢になったらするんじゃないてすかね。
「するんじゃないんですかねって、そんな事くらい知っておけよっ」
なんで怒ってるんですか。
「アタシ達トモダチだぞっ。お前がどうあったってトモダチには変わらないんだからなっ。」
宮田杏は泣き出した。
ええっどうしたの。そんなに寂しいの?
見ると全員泣いている。そんなに別れが辛かったのか。
そんなに仲良くなっていたんだ。
「ホントに今後の予定とか聞いてないの?」
はい。気になるなら本人にメールでもすればいいじゃないですか。
「オマエが本人だろうがよっ」
はい?
あーーーっ
ごっごめんなさいっ
違いますよっサーラの結婚相手って僕じゃないですよっ
僕はこの時の皆の「キョトン」とした顔を忘れないだろう。
僕は皆に二人の秘密を話した。秘密にしていたのではなく
ただ黙っていただけなのだが。
「知ってたなら何で教えないのよっ」
いや最終的に確認したのってつい最近で
それにどうやら2人が内緒にしているみたいだったし。
「全く。ワタシの涙返して。」
「ホント、泣き損だわ。」
皆怒っている中、橘結だけが泣いている。
ごめんなさい。いやサーラが私が帰るまで黙ってろって言うから
「ううん。違う。」
うわっ。彼女が僕に抱き付いた。
「キズナ君が何処にも行かなくて、嬉しい。」
「ギャーーッ。」
「やろうっ少女マンガの主人公みたいな事言いやがってっ」
「それはアタシんだぞ。」
「だからワタシのだって言ってるでしょ。」
朝から人の家の前で騒がしいなぁ。
祖母が出てきて中でお茶を薦める。僕も手伝うよに言われるが
「私やります。」
「オマエは引っ込んでろ。」
「ボクお茶淹れるの上手いよ。」
一息付いたら今度は皆で柏木さんを迎えに行こう。
「何時頃って?」
3時頃成田って言ってたよ。
「それじゃお昼食べても結構空くな。カラオケでも行く?」
「あ、いいかも。私何か大きな声出したい。」
「ボクもー。」
「キズナが結婚するとか言うんだもんなー。」
祖母がいるのにそんな誤解をさせるような。
「でもさでもさ、もしもよ、もしあの子がキズナと結婚したいって言ったらどうした?」
どう間違ってもそれは無いからもしが成立しま
「うるせいよ。成立させろよ。」
うーん。その時の状況にもよるでしょうけど、お断りしたと思います。
「なんで?」
「あんなカワイイ子ボクなら即答だけど。」
「そうよ勿体無い。」
国際結婚でしょ?大変そうですよ。フィンランド語なんて知らないし
「えー。じゃあキズナは打算であの子の事振ったの?」
振られたの僕ですよ。
「どうなんだ二度も同じ女に振られるってのは。」
もう立ち直れないかも。恋なんてしたくないですね。
「フン。振られたとか言ってるけど実際惚れてもいなかったんだろ?」
好きなのは本当で。彼女も僕の事を好きだと言ってくれた。
でもそれが恋だとしても実る事が無いのは最初から判っていたから。
あの子の笑顔に何度もクラクラしたから惚れていたのかも知れないけど
でもそれを言ったら
「それ言ったら?」
皆の笑顔を見る度にクラクラしていますから。
「なっ何でそんな恥ずかしい事言えるの?」
「キズナちょっと変わったー。こんなキズナいやー」
「返してっ純粋だった頃のボクのキズナを返してっ」
最初からずっとそうだった。僕は彼女がそうである事をずっと知っていた。
それでもあの夏、僕は太陽の暑さと彼女の笑顔に打ちのめされてしまった。
そして再会した僕達は、お互いが親友である事を理解していた。
そのままずっと2人で恋人ごっこをして遊び、皆を揄っていた。
「シアトルからって10時間とか11時間くらいかかるのよね。」
「不思議な感じでしょうね。10時間くらいしか経って無いのに着いたら明日になってるなんて。」
「行った時は昨日になったんだけどな。」
それも不思議ですね。
「そうかーもう帰ってくるのかー。」
「嬉しい?キズナは嬉しい?ファーストチューの相手。」
ファーストチューって。柏木さんは数に入れなくていいって言ってましたよ。
そう言えば皆さん数に入れなくてイイって言ってましたよね。
「ああつまりキズナの唇はまだバージンなんだなっ。」
なっ
「ボクがっボクのっ。」
「椿ちゃんまだなんだっけ。ホラ姫。最後でもいいの?」
「最後でもその後ずつと独り占めできるなら。」
「ぎゃーっ。」
「こんな変な奴独り占めさせてたまるかっ。」
「覚悟しなさい。これからも振り回してあげるから。」
「あーあ。綴が言う以上相当覚悟しないと。」
お手柔らかにお願いします。




