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Kiss of Monster 03  作者: 奏路野仁
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小室宅には10分程前に着いた。厳守。

呼び鈴には小室母が応対してくれた。

「キズナ君また怪我したんだって?」

すみません。少しだけ。大した事はないです。

「うちの絢呼びなさいよ。強いんだから。」

あ、いや。すみません。

「心配してたって言うか怒ってたわよ。」

すみません。

「何で1人で勝手にとか呼べよとか。久しぶりにあんな絢見たわ。」

その、すみません。

俯いて謝るだけの僕に彼女は言ってくれた。

「絢を、姫様を守ってくれたのにね。」

え?いやそんな。

「ありがとね。」

彼女は僕の頭を撫でながら言った。

「あの時纏ちゃんに怒られた理由がよく判るわ。」

ああそうか、昼間三原先生が言ったのはこの人から聞いた僕の母の言葉だったんだ。

「絢には、皆には謝ったの?」

いやまだです。

「ちゃんと謝ってきなさい。絢ももう怒ってないから。」

はい。

5分前に客間の引き戸を開けようとすると

廊下をバタバタと慌てたように宮田杏と栄椿が走って僕の脇から部屋に入ろうとする。

「あーもう5分前にくるなよ。丁度に来いよっ。」

え?あゴメンなさい。

「約束の5分前に来るとか最低だぞっ。」

ええ?

「それはちょっと酷いわ杏ちゃん。」

「自分達が遅れて何て言い草だ。」

「しかもこんなとこで謝らせるとか。」

「うっ。すまにゃい。」

皆笑い出した。

僕もつられて笑ってしまった。

「キズナ君も立ってないで座って。」

あ、はい。あ、いや。あの。

ご、ごめんなさい。

と深く頭を下げて謝った。

「えーーっ渡す前に受取拒否かよーーーっ」

栄椿が吠えた。

はい?

「違うでしょキズナ君はほら、もう。」

「椿は相変わらずだなー。」

「杏ちゃんが言うかそれっ」

「綴ちゃんも座布団被って震えてないで何か言ってよ。」

「も、もうダメ。だって2人がアホの子過ぎて。」

「何だとっ」

「にゃにおうっ」

あれ?


去年のように小室絢の受け取ったチョコの仕訳作業が始まる。

「ナニコレ。凄いわね。」

サーラも驚く。当たり前だ。去年より多いってどういう事だ。

「さすが王子。」

「王子言うな。」

まるで何事も無かったかのように僕も昨年のようにその仕訳を手伝わされる。

チョコレートは当然だが他にもクッキーにバウムクーヘンやらまで。

ぬいぐるみも大小3つ。そしてまた今年もボクシンググローブ。

サーラはそれを見てお腹を抱えて笑っていた。

USBメモリーとSDカードが合わせて3つ。自作の詩、自作の歌。自作の踊り。

「聞いたらダメなのかも知れないけど、彼女達はどうしてコレを絢に贈ったの?」

「ダメなの判っていたら聞かないのが日本流よ。」

「褒められない時は黙ってろって諺は欧州にもあるわよ。」

そしてまたボクシンググローブを見て笑う。

「どういうつもりなの?贈ったのって女の子なんでしょ?」

「まあ、ね。」

「ワタシを殴ってくださいって事だとしたら大変じゃない。」

やっぱりそう思うよね。僕も去年そう思った。

「態々髪まで伸ばしたり制服だってちゃんと着てるのにね。」

「後何が足りないだろうね。ボクが言うのも何だけど絢ポン乙女なのに。」

「乙女王子。」

「うるさいよ。」

雰囲気と言うか、橘さんと話している姿とか。立ち振る舞いとか。

「どういう事?」

簡単に言うと姉御肌。

「アネゴハダ?」

何か美味しそうな魚だ。えーっと、頼ってしまいたくなる。甘えたくなる。

「ああ。そうね。それはあるわね。」

南室さんもそうだけど、厳しい口調や表情をした後で突然微笑んだりするから。

「うあああ判るぞキズナ。綴はそれ狙ってやってやがるよな。」

「ちょっと失礼ね。狙ってやってるのはキズナと杏ちゃんにだけよ。」

「やめろっ。」

それともう1つ心当たりがあります。

「何だよそんなに改まって。」

小室さんが橘さんと話す姿。

「は?」

変な意味に取らないでくださいね。

小室さんの事僕も乙女、いやあの女性として魅力的だと

「前置きはいいよ。何だよ。」

そのえっと、小室さんと橘さんて、対極にいるんですよ。

えっと、橘さんがお姫様で、小室さんが王子様。

女子が憧れるのは当然王子様でしょ。

小室さん背が高いから橘さんを見る時に本当に絵になると言うか。

「ずっと前に「結」「絢ちゃん」て呼び合ってた頃はもうヤバかった。アレでボク失神しそうだった。」

ほら、小室さんに対する告白って、姫と別れなくてもいいから的な内容多いでしょ?

僕もそうなんですけど小室さんに真剣にジッと見つめられると何か突き刺さるんですよ。

「アタシは喧嘩売られてるだけとしか思わんけどなぁ。」

それは仲良しだから。

「にゃにか言ったか。」

あ、いやそれにほら、小室さんが誰かに甘えているところなんて見た事な、ないですから。

「何で詰まった。」

い、いや。思いだそうとしただけです。

キスされた時の事は黙っていよう。

「相手も女子だからって警戒しないからズドンて来るんでしょ。」

「じゃあ当事者の姫ぽん何で大丈夫なん?」

「だって姫はキズナが」

「うわーーーっ。慣れてるだけよっ。ずっとそうだったんだからっ。」

「梢の状況と似てるかもなー。」

いずれそのうち小室さんが甘えられる相手が現れれば収まりまますよ。

「じゃあ一生無理っぽくね?コイツが甘えられるような屈強な奴そうはいないぞ。」

いや、相手は関係無いですから。関係ありますけど、要は小室さんの問題ですから。

「ちょっとよく判らないわね。」

人が人に頼るのって腕力とか体の大きさとかだけじゃない。

例えば経済力。お金に困っていない人はそれだけで頼れる。

だから小室さんがその相手に対してどんな頼り方をするのかって問題。

「なるほどー。キズナはやっぱりたまにいい事言う。」




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