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Kiss of Monster 03  作者: 奏路野仁
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111

お昼も保健室で済ませて戻ると教室は落ち着いていた。

屋上とか凄い事になっているんだろうな。あとは放課後か。

少し寝ようとイヤホンを取り出すが、見た事の無い女子生徒に呼ばれた。

「真壁君。」

はい?

「あ、えっと私2組の」

はい、エリク?それとも小室さん?

「え?」

チョコレート渡すんでしょ?橘さん?

「え?あ、いえ、真壁君に。」

はい?

「えーーーっ」

教室の奥で小室絢らしき叫びが聞こえた。

そちらを見ると慌てて目を逸らす3人。

当の小室絢は何やら慌ててPDAを取り出している。

あ、で、何でしたっけ。

そう言えば2組って言ってましたね。ルー、いやグンデ?それとも宮田さんとか?

「え。あの、だから真壁君に。」

はい?

「えーーーっ」

廊下で宮田さんらしき叫び声。顔を出すと宮田杏と栄椿。

が、目を逸らされた。

何なんだ一体。

えーと、僕に、ですか?

「は、はい。あの、甘い物嫌いでしたか?」

いえ?好きですよ。

え?ええ?ももももももしかしてババババハレンタインの?

「は、はい。」

何でだ?

「え?」

柏木さんからの指示ですか。何だこの遠隔攻撃。

それとも宮田さん?いや彼女はこんな手の込んだことをしない。

誰ですか誰に頼まれましたか。

それとも気付かない内にアナタのクラスで僕は標的になってて開けたら泥団子ですか。

それともアレですか?気付かない内に野良犬からアナタを助けたとか

何か妖怪みたいな奴からアナタを救ったとか、そんな事しましたか。

「なんですかそれ。」

あ、いや。ごめんなさい。えっと。そのー。

「それでそのお付き合いとかじゃなくてですね。」

「いきなりで私の事なんて知らないでしょうし、その、えーっとですね。」

「お友達になっていただければと思って。」

何とも嬉しい話だが

大丈夫この話にはしっかりオチがある。

3日後、彼女は泣いて僕に謝り全て話してくれた。

お友達になりたい相手はは当然のようにエリクだった。

簡単に説明すると、隣の2組の女子はその殆どがルーに好意を抱いている。

でも彼女はエリクが気になっていた。

それだけの事。直接エリクと仲良くするとクラスから弾かれると恐れた彼女は

彼が仲良くする連中から一番「害の無さそうな子」を選んだに過ぎない。

事情は判るから大丈夫。そんなに泣かないで。

この前のチョコは申し訳ないけど食べてしまったから

あ、チョコレート代払いますよ。

「ああっいやそんなイイですよっ。」

何か別に贈り物をしてあげてよ。チョコじゃなくてもいいと思う。

あと1ヶ月で居なくなってしまうかららその前に。呼び出すくらいは手伝いますから。

「はい。ありがとうございます。ホントにゴメンなさいっっ。」

どうやら僕は「普通の子」とは縁が無いらしい。

自分がこんな目に合っていながらちょっと楽しかった。

青春と言うか、恋の悩みって

きっとこんな風に悩んで小賢しい事を考えて、

たくさん苦しんで想いを伝えるものなのだろうなと思っていたから。


放課後。帰り支度をしていると南室綴からメールが届く。

同じ教室にいながらメール。つまりそういう事だ。

「小室宅に集合。17時着厳守。」

時間指定って事は皆とは一緒に来るな。の略。向かう時間を考慮しても30分程空く。

保健室に寄って呼び出しを受けた旨を報告。

「行けよお前。」

どうして逃げようとしたのが判るんですか。

あ、それとは別にチョコを戴きましたがどう思います。

「どうって友達になりたいって言ってきたんだろ?

「なってやれよ。お前にもやっと普通の人の子の友達できるんだぞ?」

普通って何かね。

「だよなー。実際お前みたいな奴珍しいと思うぞ。」

珍しいって自分達の事を棚に上げて。なんて言ったらどつかれるかな。

「近頃はどうだ?」

突然漠然とした質問をするのは何か理由があるのか。

どうって何です。

「あれから変わりないか?体調とか。」

ええ大丈夫です。

「ならいいよ。うん。」

何ですか急に。

「うるせーな心配しただけだよ。」

うるせーなって。口悪いなもう。

でもありがとう。




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