リミッター、解除
リミッター、解除
俺がコイツにハマったのは、免許取ってすぐに放映されていたとあるカーアクションアニメだった。それまでは普通に乗って、雨の日に使うだけの存在だった。
だが、アニメにハマりだした時から俺もいつか難易度の高い峠へ出向いて、タイムアタックに挑んでみたい。そう思った。そして、走るのが好きな奴とつるみ出し、週末の夜にゼロヨンに見学に行くようになった。
「お前どれぐらい上がるようになった?」
「あぁ、今は0,8くらいだ。お前は? てか、油圧計付けたんかよ!? マジかよ、羨ましいな、おい」
「お前足回りと見た目だけにこだわってっけど、俺は内装と走りにこだわってるからな」
「で、お前のFD3SはSW20に勝てるんか?」
「余裕だろ? 同じリアタイでもあっちは後ろにエンジン詰んでて重いしよ。俺は前にエンジンあっても最強のロータリーだぜ? 旧車のエスダブに負けるわけねえよ」
「でも今夜は直線なんだぜ? 峠とはちげーし。それでもヨユーか?」
「そらそうだろ! 俺のはスピリットRだぜ? しかもこの日の為にリミッター外してきたしな」
「それはずりいな。それなら勝てるだろいくら何でも」
「だろ?」
ダチの愛車はFD3S……つまりRX-7。相手はSW20……MR2だ。どっちもツーシーターだが、直線勝負だと一瞬の煌きが勝負を分ける。峠なら腕の問題と曲がりの程度だ。
時間になり、スターターの姉ちゃんが手を頭上に上げて合図を送る……と、思っていたらポリが来たと言う無線が流れた。俺たちはクモの子を散らすように、一斉にその場を離れ近くのコンビニに車を置く。
これも一つのスリルだが、未だ走ったことのない俺の愛車……180SXのタイヤは新品そのものだった……
この話は実話を元にしたフィクションです。
出てくる旧車は全て、わたし自身が昔乗っていたこともありまして……懐かしさと思い出に浸るために書きました。
また機会があれば本格的に書きたいです。