等しく在るもの
詩に初挑戦。
あなたがこの世に生まれた同じ日に
私が生まれた
何も出来ぬ
無垢なる赤子のあなたが
両親の愛を受け
すくすくと育つ様を隣で見守った
私は常にあなたの隣にいる
姿見えずとも確かに存在している
私は赤子であったあなたが
やがて己の足で歩き
言葉を発し
世界を学び
友達と関わり
背丈を伸ばし
自立し
恋をし
また新たな命を生み出すのを見つめ続けた
ただ与えられる愛情のみの世界から
自らの手足を動かし
広がっていく世界
きらきらと全てが輝き
私はあなたと共に胸を高鳴らせた
行動できる範囲が広がり
動ける速度も速くなると
転んだり
ぶつかったり
痛い思いもしたね
私の姿を見付けそうになって
ひやりとしたこともある
あなたは愛されることを喜び
自分の思いが通じぬことを怒り
力及ばぬことを哀しみ
何気ない日々を楽しみながら進み続けた
私は傍らでひっそりとそれを見てきた
いつ私という存在を
あなたに示す時が来るのだろうと思いながら
私が存在を顕にするのは
いつ如何なる時であるか分からない
場所を選ぶことすらない
心構えなど出来ぬことがほとんどだろう
静かに備えて待つ者もいる
時には私を自ら呼び寄せる者もいる
私を迎えるのは安寧のうちか
はたまた苦痛に満ちた訪れか
私はあなたと共に歩み
見守り
私という存在を
顕わにする機会を伺っている
勘付かれぬよう息を殺し
その時が来るのを待っているのだ
願わくばその時が
まだ先であるよう
あなたという存在が
儚くも力強く最後まで続くことを祈ろう
私は全ての存在に平等に訪れる
あなたという生に寄り添う
私の名は 死
表と裏、相反する性質は、実はセットなのではないかと思う。
ヤオヨロズ企画、二つ目です。
ヤオヨロズの神様と、黒井羊太さまに捧ぐ。