Ⅹ 探求者達の旧所名跡ツアー(2)
ほんの短く輝いた瞬間、キャメロットという名の場所があったことを忘れてはならない。
アラン・ジェイ・ラーナー&フレデリック・ロウ『キャメロット』より
そんな刃神とマリアンヌの向かう方角から、逆にストーンヘンジの方へと歩いてくる同じく若い男女の二人連れがあった……。
「こんな有名な観光地でも、ヤツらは何か犯しているのでしょうか?」
ブロンドの長い巻き毛をした英国美人の方が、隣を歩く男性の端正な横顔を見上げながら訊いた。
「わかりません。あなたの方がよくご存じだと思うが、今のところ、そうした報告は何もないようだ。しかし、ここにもアーサー王伝説がある以上、円卓の騎士団を気取った者達が何かを行う可能性、あるいは誰も気付いていないだけで既に何か行っている可能性は充分にありうる。今日はこの近くでの公務だったのでここへ来てみましたが、英国警察が動いてくれない以上、こうして我々だけで虱潰しに一つ一つ片付けていくしかないでしょう……」
一方、長身に古代ギリシャ彫像を思わす顔立ちをしたゲルマン人の美青年は、その碧い瞳を女性の方へ向けることなく、草原に巨石の屹立する不思議な景色を見つめたまま、淡々と答える。
「すみません。わたしが上を説得できていれば、もっと広範囲に捜査ができましたし、クーデンホーフ捜査官ご自身にこんなご苦労をさせずにもすんだのですが……」
「いや、あなたのせいではありませんよ、オーモンド刑事。犯人は狂信的なアーサリアンの一団で、アーサー王にちなんだ場所や物に拘って事件を起しているなどという話、普通ならば信じないのも無理はない。そうでなくとも私のような部外者の指示で動くなど、英国警察としてはおもしろくないでしょうからね」
申し訳なさそうに謝る女性に、男は自身の発言が少々無神経過ぎたことに気付くと、不意に彼女の方を振り向いて補足した。
その言葉の遣り取りからもわかる通り、彼らはICPOのマクシミリアン・フォン・クーデンホーフ特別捜査官とスコットランド・ヤードのジェニファー・オーモンド刑事。立場は違えど、刃神達、法の外にいる者と同じく、二人も同様の目的で、しかも同じような方法論によって、この場所へ捜査に来ていたのだった。
「しかし、一連の事件の犯人がそのような者達であるのは明らか。そちらの美術骨董課の調べでも、奪われた品が裏マーケットに流された形跡はないようですからね。おそらく次なる事件が起こるのは必至でしょうし、より深刻な大事件を起こす危険性だってある。あなたの前で言うのもなんですが、もう少し英国警察の頭が柔らかければと思うと残念です。遺留品である〝円卓のカード〟から、今回の旧トゥルブ家邸博物館襲撃、ディヴィッド・アダムス殺害の二件と過去の十二件に及ぶ連続現金強奪事件の犯人が同一であると認めたところまではよかったのですが……サマセットの〝幽霊の狩猟〟も同一犯と捉えなかったのは大きな失敗だ」
「まったくです。わたしもその組織の一員として腹立たしく思っています。現金強奪事件と同一犯だと認識したことも、それが却って犯人は金品が目的の現実的な強盗団だと誤った犯人像を描かせてしまったようですし、アダムス殺害については怨恨の線も捨ててはいないようですが、それだって仕事上でのトラブルだと上は考えています。アダムスは金貸しばかりでなく、古美術品ブローカーの方でも裏で悪どいことをしてたようですから」
丁寧で抑えた口調をしてはいるが、その心の内では大変な苛立ちを覚えていることを瞳の色に表すマクシミリアンに、ジェニファーもよりいっそう、申し訳なさそうな顔をして同調する。
「そのようですね。過去の事件もあれほど徹底して、アーサー王の伝説と絡めているというのに……」
「過去の事件の起きた地域は、すべてアーサー王の宮殿があったと考えられている場所だということですね?」
「そう。もしくはそれに準じるローマ時代の都市に批定される場所だ……最初にキャッシュ・ポイントの強奪事件が起きたコーンウォール州内の地域には、『三題歌』にアーサー王の宮廷があったと記される〝ケリウィック〟の候補の一つ〝キリベリー〟という鉄器時代の丘城や、地元の伝承でアーサーの城だったという〝トレリン・ディナス〟がある」
ジェニファーの質問に、マクシミリアンは昨日、彼女と別れた後に調べてわかったことを再確認するように告げる。
「次の現金輸送車襲撃事件の起きたコルチェスターは、ローマ時代に〝カムロドゥヌ〟と呼ばれ、キャメロットの候補と考えられている場所だ。三つ目のシルチェスター―かつての〝カレウァ・アトレバトゥム〟は、ジェフリー・オブ・モンマスによればアーサーが戴冠したというローマ人の町。四つ目の宝飾品店を襲ったウィンザーもまた、アーサー王の居城の一つだ」
詳細を聞くのは初めてだったので、博識かつ異様な記憶力を持つマクシミリアンの講釈に、ジェニファーはじっと耳を傾ける。
「五つ目のカーディガンも、クレティアン・ド・トロワの『エリックとエニード』でアーサー王が宮廷を開いたとされる城市。六つ目……ここは同じサマセット州のサウスキャドベリー丘城の方がキャメロットの候補としては相応しいが、そちらではなく、ジェフリーいわくアーサー王がサクソン人に大勝した〝バドンの戦い〟の起こったバースの方を選んだらしい」
「そこだけ少しぶれてますね……どうしてでしょうか?」
「これは推測の域を出ないが、現金輸送車を襲うのに長閑なサウスキャドベリー村よりも、多くの観光客が押し寄せ、大金が集まるバースの方を選んだのかもしれない。バース自体もアーサー王の時代以前から存在したローマ都市だし、キャメロットのお膝元なら範疇ということだろう。もっとも、ジェフリーの説は語源学的には間違っているようだがね。それでも古い時代〝モンス・バドニクス〟と呼ばれていたバース近郊の丘では、中世にアーサーの遺骨と称されるものも発見されているし、まあ良しとしたのだろうな」
「なるほど。そういう理屈ですか……多少牽強付会気味ではありますが、夢想家のように見えて、そこら辺は現実的なんですね」
「前にも少し話しましたが、そこがヤツらの恐ろしいところでもある。行動理念は妄想的だが、そのくせ、その目的を達成するための手段となると極めて論理的だ……で、七つ目、カナーヴォン。ここには〝フィノン・ケギン・アルスゥール〟という井戸があって、その水は油が混じっているように見えるが、それはアーサー王の厨房より漏れ出た動物の脂肪のためだと云われている。八つ目のエアから約三マイルの位置にある〝グリーナン城〟という鉄器時代の要塞跡もキャメロットの候補地だ。九つ目のファルカーク郊外もカメロンと呼ばれており、そこにある〝アーサーのオゥ・オン〟という2世紀のローマ神殿跡をアーサー王が用い、ここが円卓の原型になったものだと主張する学者もいる」
「10番目のエディンバラもそうだというのには少し驚きました」
現在は英国王室所縁の場所というイメージの強いこのスコットランドの大都市とアーサー王の関係に、ジェニファーが意外だという様子で口を挟む。
「そう。エディンバラには〝アーサーの座〟と呼ばれる場所があるし、〝タネボルク〟というアーサーの居城の候補地でもある。11番目のエクセターも二世紀にローマ軍の駐屯地として築かれた町で、実在のアーサー王がいたとしてもおかしくはない場所だ。さらにその町の西に〝アーサーの囲炉裏〟と呼ばれる石があるのを見たと、1113年に何人かのフランス人司祭が報告しているが、これはおそらくデヴォン州ダートムアの〝王の炉〟のことであるらしい。そして、最後のカンタベリー……ここに宮殿があったという直接的な話はないが、この町もアーサー王との関わりは深い」
「確か、チョーサーの『カンタベリー物語』で、カンタベリー大聖堂への巡礼の一行の中のバースの女房が〝ガウェイン卿と醜い女〟の話をするんでしたよね」
「その通り。だが、そればかりでなく、カンタベリーはかつて〝ドゥロウェルヌム〟と呼ばれたローマ人の都市でもあり、伝説の中ではカンタベリーの大司教がアーサーの助言者の一人になっている。他にもアウカンディナビアの『ブレタ・ソグール』という本の中では、アーサーはカンタベリーに葬られたことになっていたかな……いずれにせよ、彼らは徹底してアーサー王伝説に拘った行動を取っているということです」
「わたしも英国人としてアーサー王伝説は嫌いではないですが……そこまでアーサー王に狂信的な犯罪者集団というのは、一体、どういった人間なんでしょう?」
話を結んだマクシミリアンに、ジェニファーがそんな感想を洩らしたちょうどその時、前方から来た奇妙な男女二人連れと彼女達はすれ違った。
「――でも、ベドウィル・トゥルブってどんな人間なのかしら? もし本当にこの件に関係してるとして、なんであんなことしてるわけ?」
「俺が知るか、んなこと。ま、それはヤツを捕まえてドロ吐かせりゃわかるだろうさ」
…!?
すれ違い様、男女が交わしていたその会話に、マクシミリアンは急に立ち止まって彼らの方を振り返る。
「ベドウィル……?」
「んん?」
マクシミリアンが思わずその名を繰り返すと、刃神とマリアンヌの方も足を止める。二人の瞳には一瞬、鋭いものが宿ったが、次の瞬間にはもう、その獲物を前にした野生動物が見せる攻撃的な色を意識して完全に消していた。
「今、ベドウィルとおっしゃったように聞こえましたが、それはアーサー王伝説に出てくるベドウィル卿――またはベディヴィエール卿のことですか?」
「…………あんたは?」
マクシミリアンの質問に、刃神は不審感たっぷりの目付きで彼とその連れの女性を品定めするかのように眺めて問い返す。
「あ、いや、突然にすみません。私は大のアーサー王ファンでしてね。こうして妻とアーサー王伝説所縁の地を回っているのですが、不意に気になる名前が聞こえてきましたものでつい……」
目付きの悪い東洋人の男とまだうら若き娘の不釣り合いなカップル……しかも、なんだかわからぬが、男の方は肩に巨大な包みを抱えている……マクシミリアンは二人に何かを感じ取って咄嗟の芝居を演じる。
「あら、それは奇遇ですわね。実はわたくし達もなんですのよ。伝説ではマーリンが立てたというストーンヘンジを彼と見に来たんですの。ね?」
マリアンヌも相手の放つ雰囲気から、彼らが自分達にとって危険な存在であることを即座に嗅ぎ分け、即興の演技で刃神の腕に抱き付いた。
「あ、ああ。まあ、そんなとこだ……」
この時ばかりは刃神も、心とは裏腹に嫌そうな顔を微塵も見せぬよう懸命に努力する。
「おお、そうでしたか。同じ趣味の方とお会いできるとは嬉しい限りです……ところで、先程はなぜベディヴィエール卿のお話をされていたのですか? ここはマーリンとは関係ありますが、ベディヴィエール卿との関わりについては聞いたことがないのですが」
そんな二人に対し、マクシミリアンは愛想の良い笑顔でカマをかけた。
「あ、そのことですの? それには特に意味などございませんわ。ただ、わたくし、円卓の騎士の中ではベディヴィエール卿が一番好きですので、つい話がそちらの方へ」
「ほう。そうですか。それはまたマニアックなところを攻めてきますね……それから、トゥルブという言葉も言っておられましたよね? トゥルブがどうとか……あれは一体、どのような……もしかして、コーンウォールの旧トゥルブ家邸博物館のことですか?」
平然と嘘の受け答えをするマリアンヌへ、マクシミリアンはさらに突っ込んだ質問を投げかける。
「ええ。まさにその旧トゥルブ家邸博物館のことですわ。あそこ、強盗に襲われてエクスカリバーやアーサー王関連の品々が盗まれてしまったじゃないですか? 実はその前日、わたくし達も遺跡の見学会も兼ねて見に行ってましたの。ほら、トゥルブ家はベディヴィエール卿の子孫という話ですので、それでそのことを思い出したんですわ。それが、あんなことになってしまうとは……本当に残念ですわ」
「ああ、あの日、あなた方もあそこにいらしてたのですか。それもまた奇遇ですね。かく言う私どももその日に行っていたのですよ。アーサー王の貴重な遺産を盗むとは本当に許されざる行為です……では、あの事件の起きた日の夜も博物館の近くにお泊りで?」
「どうしてそんなこと訊くんだい? あんたら、もしかして警察の関係者か何かか?」
だが、少々直球過ぎたのか、それまでずっと黙っていた刃神が口を開くと、マクシミリアンの顔を険悪に細めた目でまじまじと見つめた。
「ちょっと、初めて会った人にそんな質問ばかりするのは失礼よ、マックス(・・・・)。どうもすみません。この人、かなりのアーサリアンなものですから、あの事件のことには憤りを覚えていまして……」
すると、刃神らの疑いの目を察して、ジェニファーが即座にフォローを入れる。
「おお、そうだね。確かに君の言う通りだ。いや、すみません。少し興奮してしまったようです。これもアーサリアン故のこと、どうぞご無礼をお許しください」
「いやなに、別に責めてるわけじゃねえさ。ただ、そうなのかなと思っただけだ。俺もあの事件への憤りはあんたと一緒だぜ」
「ええ。わたくしも気にしてはいませんわ。アーサー王ファンならば、怒って当然ですわよね」
マクシミリアンもジェニファーに合わせて謝ったが、表面上はそう述べつつも、刃神とマリアンヌの目から警戒の色は消えなかった。
「そう言っていただけるとありがたい。そうなのです。あのような犯罪行為、アーサー王を汚す以外の何物でもありません。犯人はアーサー王ファンだったら絶対許せない下劣なヤツらですよ……ところで、あなたとは前にもどこかでお会いしたような気がするのですが、そんな記憶はございませんか?」
「さあ? 記憶はございませんが、同じ日にあそこを訪れていたのなら、遺跡の説明会か博物館で知らず知らずの内にお会いしているのかもしれませんわね」
今度はマリアンヌの方へ碧い瞳を向け、何食わぬ顔でそんなことを訊いてくるマクシミリアンに、彼女も澄ましてそう答える。
「そうかもしれませんね……いや、足をお止めしてしまい、どうもすみませんでした。このようなアーサー王伝説所縁の場所で、自分と同じ目的を持った方達にお会いできて大変うれしかったです」
「いえ。こちらこそ。では、わたくし達はまだ行く所がございますのでこれで」
「あんたらも、いいアーサー王伝説巡礼の旅をな」
そして、話が一段落したのを契機に、マリアンヌと刃神は彼らに別れを告げ、駐車場の方向へと再び歩き出す。
「ええ。それでは」
「お二人も良い旅を」
マクシミリアンとジェニファーの側も二人に背を向けると、いたって自然に見える素振りで巨石のそびえ立つ方へと足を向けた――。
「――ねえ、あの二人……」
しばらく恋人同士のように並んで歩いた後、小声でマリアンヌが囁く。
「ああ、サツに違えねえな。一瞬、ヤツらの一味かとも思ったが、あの感じは明らかにサツだ。どうやらあちらさんも、俺達と同じ読みで動いてるらしいぜ」
刃神も後ろを振り返ることなく、潜めた声でそう答える。
「周りも調べてから帰るつもりだったけど……どうする?」
「向こうも俺達のこと何か感付いただろ。特にあの男の方だ。愛想イイ顔して、目は完全に俺達を獲物として見てやがった」
「あの男……ね……確か、マックスとか……」
マリアンヌは今見た男の端正な顔を思い出し、どこか心に引っ掛かるものを感じていた。
「うーん…なんか、あの男、どっかで見たような気がするのよねえ……本人もそんなこと言ってたし……全然、思い出せないんだけど」
「サツ関係ならどっかで見かけたんだろ。いずれにしろ、まだヤツラの尻尾も摑んでいねえのに、ここでサツと事を起こすのは面倒だ。しゃあねえ、今日は早々に引き揚げるとするか」
「ええ。そうね。どうやらそうした方が良さそうな感じね……」
二人は背中で後方を気にしつつ、傍目ではわからない程度に歩く速度を徐々に速めていった――。
「――どうします? つけますか?」
一方、ジェニファー達も二人から充分に距離をとると口を開く。
「いや、つけても無駄でしょう。途中でまかれて、無駄にこちらへの警戒心を強めるだけおちだ」
「ですが、もし犯人達の一味だとしたら……」
「たぶん、それはない」
ジェニファーの疑念を、マクシミリアンは静かに、だが、きっぱりと否定する。
「私はかなり挑発するようなことを言ってみたが、あの二人はそれになんの反応も示しませんでした。人の眼というのは、いくら演技をしたところで感情を隠し切れるものじゃない。もっとも、ただのアーサリアンのカップルっていう訳ではなさそうだったがね。しかし、ヤツらの一味という感じにはどうにも見えなかった」
「では、あの二人は一体……?」
「わかりません。ただ、どういう魂胆でいるのかは知らないが、こちらと同じ獲物を追っているような気配は感じられた………旧トゥルブ家邸博物館……エクスカリバー……まさか……いや、まさか、そんな偶然がな……」
マクシミリアンは先程の若い娘との会話から、自分の追い求めているある女性のことを不意に思い出したが、その都合の良過ぎる推測を彼の理性が瞬時に打ち消した。
「それよりも、彼女は気になることを言っていました。確か、ベドウィル・トゥルブとか……どこかで聞いたような気がする。コーンウォールの事件にそんな関係者がいるかどうか調べてみる必要がありそうですね」
「わかりました。では、帰ったら早速に……それはそうと、先程はやむを得ぬこととはいえ、〝マックス〟などと気安くお呼びしてすみませんでした」
話題を変えたマクシミリアンの意見に頷くジェニファーだったが、先程の芝居のことを不意に思い出し、自分のしてしまった非礼を詫びる。
「いや、構いません。賢明な対処でしたよ。家族や親しい友人達も私のことをマックスと呼びますしね。ただ、もう少し本名のわからない渾名を言ってくれた方が、調べられた時にこちらの素生がバレる可能性が少なくて良かったのですがね」
それに、マクシミリアンは微かな笑みを浮かべて、やや冗談交じりに答える。
「あ、すみません。咄嗟のことでそこまで思い至りませんでした……ハァ…わたしも刑事としてまだまだですねえ……」
「だが、あの場で即座にああいう芝居ができるというのは大したものです。やはり、あなたは優秀な刑事ですよ。そうだ、クーデンホーフというのも、マクシミリアンというのも呼びにくいでしょうから、同じ事件を追うパートナーとして、これからはマックスと呼んでいただいても結構ですよ」
「えっ? ……はぁ! …あ、ありがとうございます!」
普段は滅多に見せることのない笑顔で語るマクシミリアンに、暗かった彼女の表情も一瞬の驚きの後にパァッと明るくなる。
「でも、なんだか恐縮してしまいますね……それじゃ、わたしだけではなんですから、わたしのこともジェニファーとお呼びください」
「フフッ…いや、それは気恥かしいので遠慮させてもらおう」
笑いながらそう返すマクシミリアンの後をジェニファーもどこか楽しげな様子で、前方に見える〝巨人の指輪〟へと向かった――。
To Be Continued…
A suivre…




