辿る 前編
初投稿です。好きなことを、好きなだけ書きます。よろしくお願いします。
動物達の鳴き声。
木が葉と葉を擦らせる音。
太陽の眩しい光。
苔や水の独特な匂い。
それらが発している莫大な情報量を、あっても無いような僕の脳味噌がゆっくりと咀嚼して、目が覚める。
ここは一体何処なのだろうか?
全く身に覚えが無い場所だった。僕を囲むようにして木が乱立していて、右手には川らしきものが見える。地面は苔で覆われているようだ。見たことの無い花もある。
だめだ、全然思い出せない…。
何故自分がここにいるのか分からない。ここに来る以前の記憶が全く無い。そして、自分の名前さえも…全く思い出せない…。
外へ、出ないと…。
そう思って身体を起こそうとすると、初めて、自分が何も着ていないことに気づく…身体には、無数の傷が刻まれていた。
何かに追われていた…?
無数の傷のは、獣の爪によってできたものがほとんどだ。新しいものからかなり古いものまで、盛りだくさんである。あんまり嬉しいものでは無いけれど…。
「…ここに長居してるとまずそうだな…」
傷は痛むが動けない程じゃ無い。僕は傷だらけの身体をゆっくりと起こして、考える。外へ出ようと思ったが、この森、かなり…いやものすごく面積が広いのだろうか。見渡す限り木。木。木だった。
そこで僕は右に川があったことを思い出す。この川を辿って行けば外に出られる。幸運にも川の近くで倒れて(?)いたのが幸いだった。
まぁ全裸で傷だらけっていう時点で幸運とは言い難いものがあるのだけれど…。
外へ出れば人に会えるかも知れない…その時なんて言おうか…何故全裸なのか説明しなければ…なんて考えながら川のほとりへと向かおうとして、僕は足を止める。
いや…止めざるを得なかった。
それは僕の行く手を阻むが如く、その場に直立していたからだった。
ありがとうございました。続きはモチベがある限り書きますのでよろしくお願いします。